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第二章 イシェラ王国

イライザとディル

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庭に用意してもらったティーテーブルでお茶会の準備をしてもらう間、私とディルは交代で身支度を整えに下がった。
汗を流し、ドレスに着替えて庭に戻るとディルとイライザが談笑しながら庭を散策している。
あれ、あの2人ってもしかして…

そっと2人の背後に近づく。

「まぁ、アロイス様がそんなものを?」

「はい。その防御膜は体に悪影響を及ぼすものを弾き良いものは取り込む優れもので頭の先から足先まですっぽり覆うことができます。身につけていて違和感も息苦しさもなく目にも見えないので陛下が騎士団の制服に取り入れたいと…」

「それを作り出した理由が婚約者の鍛錬中の日焼けを心配してって…普通に考えたら信じられない話ですわよね。」

「アロイス様は卓越した方ですから。」

「マリーを大切に思っているのはわかりますが、少し行き過ぎではないかと心配ですわ。」

まさかの私たちの話題で盛り上がっていたとは…ディルは相変わらずアロイスに憧れていて今も目がキラキラしている。

「アロイス様にあんなにも思われているマリーがちょっと羨ましいです。」

ディルの言い方にイライザもちょっと動揺している。

「ディル様とアロイス様も仲がよろしいと伺っていますわ。」

「はい、ありがたいことに。」

頬を染めて嬉しそうにするディルに呆気にとられながら顔を上げたイライザが私を見つける。

「マリーいたなら声をかけてくださいませ。」

「ごめんごめん、なんだか盛り上がってるな~と思って。」

プリプリ怒っているイライザをテーブルまで連れて行き3人とも椅子に落ち着いた時にイライザが恐る恐る口を開いた。

「私、人の趣味趣向には寛大なつもりですの。ディル様は好きな人がいらっしゃるのですよね?」

カップを持ったままキョトンとしたディルは僅かに首を左に傾ける。

「好きな方ってエメラルドグリーンの瞳に金髪。様々な魔法を操るちょっと人より飛び抜けた方なのでは?」

「それってアロイス様のことですよね?」

ふふっとディルはカップを置いて笑いながら答えた。

「アロイス様は好きですよ。」

その言葉に私は固まりイライザは私の片腕に両手を当てた。

「イライザ様もマリー様もリークやカストル、スリジェ家の皆さんも大好きです。
そんな皆さんに会わせてくれたアロイス様に感謝していますし尊敬しています。
ですから特別な存在ですね。
でもイライザ様が言いたいのはそういうことじゃないんでしょう?」

悪戯っぽく微笑む姿が可愛かっこいい~

「気分を害されたなら申し訳ありませんわ。ただ二年生や三年生のお姉様方が噂していらしたので。」

「え!どんな噂?」

悪口だったら承知しないんだから。
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