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第二章 イシェラ王国
エリザベス様の登場です
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笑顔で入ってきたエシャルロット公爵様の後ろにのんちゃんの姿を見つけ私はホッとした。
「ファラス。勝手に入ってくるなど礼儀がなってないんじゃないか?」
「おやおや、リチャード。君が言う?
僕の親友と未来の娘を連れ去って勝手な相談してくれちゃって。」
「一つの選択肢として提案しただけだ。
希少な魔力を持つ才を途絶えさせてしまうのではと憂いているんだよわたしは。」
わぁ、私とアロイスの間に子供ができるのか…とかを心配してくれてると?
私たちまだ七歳と九歳ですけど?!
呆れを通り越してちょっと気持ち悪い。
ユーグ公爵の発言にフフフッと柔らかく軽やかな笑い声が聞こえてきた。
「まぁ、ユーグ公爵。そんなにも当家とスリジェ家のことを親身に考えてくださり感謝いたしますわ。」
フワッと百合の花のような甘く涼しげな香りがしてプラチナブロンドの髪を美しく結い上げた美女がエシャルロット公爵様の隣に立った。
「これはお久しぶりです。エリザベス様。」
ユーグ公爵が立ち上がりプラチナブロンドに飾られた真珠のように白く滑らかな手をとりキスをしようとする。
「本当に久しぶり。二人が会うのは僕とエリザベスの結婚式以来じゃない?」
エシャルロット公爵様がエリザベス様の手を離させて自分の手を滑り込ませ握ったままブンブン振って握手している。
「離せ!まったく…一体何年前の話をしている。」
「いやぁ、もう何年も経ったと思えないほど変わらずラブラブだからさ。ね、エリザベス。」
「ふふ、さあ、どうでしょう。」
「くっ、エリザベス様。最後にお会いしたあの美しい月夜を覚えていらっしゃいますか?二人で長く語り合いましたね。」
「はぁ?前シーズンの夜会で僕が陛下に呼ばれている間にエリザベスを捕まえてさんざん家族の愚痴を聞かせてたあの日のことを言ってるの?」
「な、エリザベス様この男にそのように伝えていらしたのですか?」
「僕の心まで美しい妻がそんなことするわけないでしょ。僕の代わりに側につけていた従者から聞いたの。
彼女のことを信じきれないなんてね。僕は何があったってエリザベスを疑ったりしないよ。」
ガウガウ吠え合うように睨み合っている二人の公爵様を前にエリザベス様は黙ってニコニコしているし、イライザは呆れた顔を隠そうともしない。
「マリーベル・スリジェ嬢。前々からお会いしたいと思っていたの。
アロイスの母、エリザベス・エシャルロットです。」
急に自己紹介されて、私はつつかれたようにパッと立ち上がりエリザベス様に深く頭を下げた。
「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。
アラン・スリジェが娘、マリーベル・スリジェと申します。」
顔を上げるとエリザベス様は満足そうにうなずいた。
「さすが、貴婦人の中の貴婦人と謳われるセリーナ様のお孫さんだけあるわ。
私、貴女とこうしてお話しするのを楽しみにしていたの。滞在中に我が家へも来てくださるわね?」
私はお父様に目線を向け、深くうなずかれたので再び頭を下げる。
「大変光栄に思います喜んでお邪魔させていただきます。」
エリザベス様はにっこりと花がほころぶような笑みを浮かべるとユーグ公爵様に向き直る。
「お分かりいただけましたかしら?私からこのかわいい娘を取り上げないでくださいますか?」
真っ直ぐに見つめられたユーグ公爵はグッと息を飲み頬を染めながら下手な作り笑いを浮かべた。
「もちろん貴女を悲しませるようなことをする私だと思いますか?
まぁ本人たちの気持ちが変わった場合はどうすることもできませんが」
エリザベス様は再び柔らかく微笑んだ。
「それを聞いて安心いたしました。
大丈夫、アロイスとマリーベルはそれは仲良しで親がやきもちを焼いてしまうくらいですから」
ゴホッゴホッと紅茶を飲んでいたお父様がむせ返る音がした。
大丈夫かな?
「ファラス。勝手に入ってくるなど礼儀がなってないんじゃないか?」
「おやおや、リチャード。君が言う?
僕の親友と未来の娘を連れ去って勝手な相談してくれちゃって。」
「一つの選択肢として提案しただけだ。
希少な魔力を持つ才を途絶えさせてしまうのではと憂いているんだよわたしは。」
わぁ、私とアロイスの間に子供ができるのか…とかを心配してくれてると?
私たちまだ七歳と九歳ですけど?!
呆れを通り越してちょっと気持ち悪い。
ユーグ公爵の発言にフフフッと柔らかく軽やかな笑い声が聞こえてきた。
「まぁ、ユーグ公爵。そんなにも当家とスリジェ家のことを親身に考えてくださり感謝いたしますわ。」
フワッと百合の花のような甘く涼しげな香りがしてプラチナブロンドの髪を美しく結い上げた美女がエシャルロット公爵様の隣に立った。
「これはお久しぶりです。エリザベス様。」
ユーグ公爵が立ち上がりプラチナブロンドに飾られた真珠のように白く滑らかな手をとりキスをしようとする。
「本当に久しぶり。二人が会うのは僕とエリザベスの結婚式以来じゃない?」
エシャルロット公爵様がエリザベス様の手を離させて自分の手を滑り込ませ握ったままブンブン振って握手している。
「離せ!まったく…一体何年前の話をしている。」
「いやぁ、もう何年も経ったと思えないほど変わらずラブラブだからさ。ね、エリザベス。」
「ふふ、さあ、どうでしょう。」
「くっ、エリザベス様。最後にお会いしたあの美しい月夜を覚えていらっしゃいますか?二人で長く語り合いましたね。」
「はぁ?前シーズンの夜会で僕が陛下に呼ばれている間にエリザベスを捕まえてさんざん家族の愚痴を聞かせてたあの日のことを言ってるの?」
「な、エリザベス様この男にそのように伝えていらしたのですか?」
「僕の心まで美しい妻がそんなことするわけないでしょ。僕の代わりに側につけていた従者から聞いたの。
彼女のことを信じきれないなんてね。僕は何があったってエリザベスを疑ったりしないよ。」
ガウガウ吠え合うように睨み合っている二人の公爵様を前にエリザベス様は黙ってニコニコしているし、イライザは呆れた顔を隠そうともしない。
「マリーベル・スリジェ嬢。前々からお会いしたいと思っていたの。
アロイスの母、エリザベス・エシャルロットです。」
急に自己紹介されて、私はつつかれたようにパッと立ち上がりエリザベス様に深く頭を下げた。
「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。
アラン・スリジェが娘、マリーベル・スリジェと申します。」
顔を上げるとエリザベス様は満足そうにうなずいた。
「さすが、貴婦人の中の貴婦人と謳われるセリーナ様のお孫さんだけあるわ。
私、貴女とこうしてお話しするのを楽しみにしていたの。滞在中に我が家へも来てくださるわね?」
私はお父様に目線を向け、深くうなずかれたので再び頭を下げる。
「大変光栄に思います喜んでお邪魔させていただきます。」
エリザベス様はにっこりと花がほころぶような笑みを浮かべるとユーグ公爵様に向き直る。
「お分かりいただけましたかしら?私からこのかわいい娘を取り上げないでくださいますか?」
真っ直ぐに見つめられたユーグ公爵はグッと息を飲み頬を染めながら下手な作り笑いを浮かべた。
「もちろん貴女を悲しませるようなことをする私だと思いますか?
まぁ本人たちの気持ちが変わった場合はどうすることもできませんが」
エリザベス様は再び柔らかく微笑んだ。
「それを聞いて安心いたしました。
大丈夫、アロイスとマリーベルはそれは仲良しで親がやきもちを焼いてしまうくらいですから」
ゴホッゴホッと紅茶を飲んでいたお父様がむせ返る音がした。
大丈夫かな?
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