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第一章 リトア王国
悪女扱いはごめんです
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朝食を終えて食堂を出ると玄関にピシッと直立不動で騎士が2名立っていて私に気づくと何故か目を見張った後頭を下げてくれた。
私も頭を下げながら彼らの前を通り過ぎ、左右を守るようにアロイスとディルが立ってくれている。
「すげ~本当に元団長と同じ色だ。でもかわいくて似てね~しかももう男を侍らせてるぜ。将来が怖いな。」
「お前、辺境伯に殺されるぞ。馬鹿な発言するのは勝手だが俺を巻き込むなよ?」
「辺境伯ってどっちの?」
「どっちもだよ。」
は、は、侍らせてる?!
彼らの会話がしっかり聞こえた私は左手でディルを、右手でアロイスをぐいぐい押しやった。
「2人とももっと
離れて。」
ディルは大人しく二歩ほど離れてくれたけどアロイスは更にピッタリくっついてきた。
「あんな言葉気にしない気にしない。」
「嫌だよ~気になるよ。」
「じゃあ魔法であいつが言葉を発しても聞こえないようにする?」
「え?ヤダよ怖いよアロイスやめてよ。」
前はこんな人じゃなかったのに~
嘆く私の頭を冗談だよとポフポフしてるけど、あの顔は結構本気だった。
簡単だよ?って思ってるのが伝わってきたもん。
そうこうしているうちに応接間の前に差し掛かり、お父様がちょうど出てきた。
「「おはようございます。スリジェ辺境伯様」」
「お父様おはようございます。」
挨拶する私たちにお父様も挨拶をかえしてくれる。
アロイスがいることには何の違和感も感じていないらしい。
「マリーベル。陛下に呼ばれて王宮に行ってくる。皆と一緒に留守番していてくれ。
私が帰る前にクルートが到着したら必ず引き留めておいて欲しい。できるか?」
わぁ、お父様に頼まれるなんてしっかり頑張らなきゃ。
「はい、お任せください。」
久々に丁寧なカーテシーをする。
お父様の後ろにいたお客様たちがホゥと声をあげている。
どうだ、お祖母様仕込みの作法にはちょっと自信ついてきたんだから。
「昨日から陛下のご様子が以前の姿を取り戻したかのように調子がよく生き生きしていらっしゃるらしい。
決して良い状況というわけではない今だというのに。
アロイス、何もしてないだろうな?」
アロイスはまた天使のような輝く笑顔を浮かべている。
「そんなまさか、あの短い謁見の間に何をするとおっしゃるのですか?
何もしてないです。
あ、ちょっとした贈り物はしましたが…」
「してるじゃないか。何を贈ったんだ?」
「キノコです。デューク様も大変喜んでくださったので陛下にも是非と思って。」
お父様は右手で顔を覆いため息をついた。
「キノコを配り歩くのはやめなさい。
誰にでも合うか分からないだろ。」
「そんな~あらゆるサンプルをとって検証したのに…
でもそんなにすぐ効果が現れるなんて。もしかして食べちゃったのかな…」
「身体に危険が及ぶのか?!」
焦ったように身を乗り出すお父様にアロイスは笑いながら両手をふる。
「いえいえ、大丈夫です。あのキノコ小さかったし。陛下なら毒見役も複数名いらっしゃるでしょうから口にされたとしても少量です。
心も身体も浄化されてすこぶる調子が良いはずです。」
お父様は眉をひそめたまま慌ただしく出かけてしまった。
きっと自分の目で見ないと不安なんだと思う。
それにしてもクルートさんもう来るんだ早いな~
私はアロイスがアリアドネ様に言い出した提案を思い出していた。
私も頭を下げながら彼らの前を通り過ぎ、左右を守るようにアロイスとディルが立ってくれている。
「すげ~本当に元団長と同じ色だ。でもかわいくて似てね~しかももう男を侍らせてるぜ。将来が怖いな。」
「お前、辺境伯に殺されるぞ。馬鹿な発言するのは勝手だが俺を巻き込むなよ?」
「辺境伯ってどっちの?」
「どっちもだよ。」
は、は、侍らせてる?!
彼らの会話がしっかり聞こえた私は左手でディルを、右手でアロイスをぐいぐい押しやった。
「2人とももっと
離れて。」
ディルは大人しく二歩ほど離れてくれたけどアロイスは更にピッタリくっついてきた。
「あんな言葉気にしない気にしない。」
「嫌だよ~気になるよ。」
「じゃあ魔法であいつが言葉を発しても聞こえないようにする?」
「え?ヤダよ怖いよアロイスやめてよ。」
前はこんな人じゃなかったのに~
嘆く私の頭を冗談だよとポフポフしてるけど、あの顔は結構本気だった。
簡単だよ?って思ってるのが伝わってきたもん。
そうこうしているうちに応接間の前に差し掛かり、お父様がちょうど出てきた。
「「おはようございます。スリジェ辺境伯様」」
「お父様おはようございます。」
挨拶する私たちにお父様も挨拶をかえしてくれる。
アロイスがいることには何の違和感も感じていないらしい。
「マリーベル。陛下に呼ばれて王宮に行ってくる。皆と一緒に留守番していてくれ。
私が帰る前にクルートが到着したら必ず引き留めておいて欲しい。できるか?」
わぁ、お父様に頼まれるなんてしっかり頑張らなきゃ。
「はい、お任せください。」
久々に丁寧なカーテシーをする。
お父様の後ろにいたお客様たちがホゥと声をあげている。
どうだ、お祖母様仕込みの作法にはちょっと自信ついてきたんだから。
「昨日から陛下のご様子が以前の姿を取り戻したかのように調子がよく生き生きしていらっしゃるらしい。
決して良い状況というわけではない今だというのに。
アロイス、何もしてないだろうな?」
アロイスはまた天使のような輝く笑顔を浮かべている。
「そんなまさか、あの短い謁見の間に何をするとおっしゃるのですか?
何もしてないです。
あ、ちょっとした贈り物はしましたが…」
「してるじゃないか。何を贈ったんだ?」
「キノコです。デューク様も大変喜んでくださったので陛下にも是非と思って。」
お父様は右手で顔を覆いため息をついた。
「キノコを配り歩くのはやめなさい。
誰にでも合うか分からないだろ。」
「そんな~あらゆるサンプルをとって検証したのに…
でもそんなにすぐ効果が現れるなんて。もしかして食べちゃったのかな…」
「身体に危険が及ぶのか?!」
焦ったように身を乗り出すお父様にアロイスは笑いながら両手をふる。
「いえいえ、大丈夫です。あのキノコ小さかったし。陛下なら毒見役も複数名いらっしゃるでしょうから口にされたとしても少量です。
心も身体も浄化されてすこぶる調子が良いはずです。」
お父様は眉をひそめたまま慌ただしく出かけてしまった。
きっと自分の目で見ないと不安なんだと思う。
それにしてもクルートさんもう来るんだ早いな~
私はアロイスがアリアドネ様に言い出した提案を思い出していた。
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