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第一章 リトア王国

驚愕の事実です

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「キルライトは彼と約束したんですって。時期がきたら私を開放するって。彼の第二妃に下賜するつもりだって。
それで渋々うなずいたらしいけど…

それから事あるごとにアプローチされ続けてついに私もその話を受け入れたのよ。
もうゲームとだいぶシナリオ変わっちゃったしどんどん大人になっていく推しの魅力にあらがえなくて…
あ、誤解のないように言っておくと私とキルライトはさっき言った通り偽装夫婦だったから本当にお友達な関係よ?公共の場でダンスを踊る時以外手だって触ったことないくらい。」

だけどね…
アリアドネ様は困ったように頬に手を添えた。

「国王の義務としてキルライトはエライザと私、平等に寝室を共にしてたの。
私たちはもっぱらカードゲームに興じてたんだけどね。キルライトからずいぶん巻き上げたものよ。」

嬉しそうに胸を張っていらっしゃるけど、国王陛下から巻き上げる妃…なんだか面白い情景だ。

「彼はそれが嫌だったみたい。いくら潔白だって口で言ってもね~信じはしても嫌なものは嫌みたいで…
エライザがエドワードを無事に出産して一年経った頃に私を開放しろって言いに来たのよ。
ちょっと早いでしょ?
まだ正妃も決まってないし。

そう言ったら怒っちゃってね~
自分が正妃を持ってもいいのか?って聞くから仕方ないことだって言っちゃったのよ。だって世間から見たら国王の第二妃が下賜されたとはいえ王弟の正妃になったらおかしいでしょ?
さんざんもめて、ケンカになって…

その流れのまま、まあ。ね。」

ごにょごにょ言い始めたアリアドネ様はパッと扇子を開いた。

「ちょっと順番が違ったというか…
まぁ、予定より早く恋人になってしまって…
しかも一度の触れ合いでリークを身ごもって…
まぁ事情を知らない人は大喜びよね、事情を知っている人は…」

えぇ、待ってじゃあリーク様って国王陛下の子供じゃないってこと?

目を泳がせてアリアドネ様はため息をついた。

「キルライト陛下は怒りを越して呆れかえっていたわ。
彼はまだ学生だったし、私だってまだ陛下の第二妃という身分。
世間にバレたら私と不義の子としてリークが責めを負うことになる。

私たちは会わせてもらえなくなり、彼は卒業後、他国へ遊学に出された。
そして現在に至るってわけ。」

私は話された内容に驚愕して目を見開いたまま固まってしまった。

アロイスは何かを考えこんでいるようすだけど、そんな場合じゃないよ。
私じゃ、対応できないよ~助けて。
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