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第一章 リトア王国
親娘みずいらずでお話しです
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お父様と二人っきりの馬車の中は緊張だったけれど、いつも忙しいお父様とこんなにゆっくり話せたのは初めてかもしれない。
ようやくリラックスしはじめて外の景色のあれこれをお父様に質問したりしていたら、私の顔を見てフッと笑った。
貴重な笑顔だ!目に焼き付けなければ。
「前にも話したが、嫁に行ったとしてもそなたが私の娘であることに変わりはない。
それに、婚約はしても嫁に出すにはまだまだ時間があるしな。
これからも共にいる時間を作ろう。」
「はい、ありがとうございます。」
嬉しくなった私はつい気になっていたことを聞いてしまった。
「お父様と公爵様は昔から仲良しなんですか?」
「あぁ、」
私の質問にお父様は少し顔をしかめた。
「仲は悪くはない。昔からなにかと縁があるのは確かだな。」
ほほう、お父様はお祖母様からツンの気質も受け継いでいるらしい。
「私も聞きたかったのだが、夢の中でアロイスと会っていたというのは具体的にどのようなものなんだ?」
「え?えっと…それはですね。」
目を泳がせる私を観察するように見つめてくるお父様。
「何か秘密があるようだな?」
ああ、のんちゃん。私にはごまかしきれなそうだよ…
意を決して私は全てを話した。頭がおかしくなったと思われてもいい。真実を話さなければお父様は納得しないだろうから。
「なるほどな…」
意外にもお父様はすんなり信じてくれた。
「疑わないんですか?」
「嘘をついていないのは見れば分かる。それに、そなたたちと似たような人物を一人知っているからな。その物はこの世界は乙女ゲームという虚構の世界だと言っていた。」
「え?誰ですか?私も会ったことありますか?」
「いや、会ったことはないがいずれ会うだろう。
イシェラ王国のアリアドネ妃だ。」
え~お妃様が?のんちゃんに報告しなきゃ。きっと知らないよね。
「アリアドネ妃がお父様に話してくださったのですか?」
お父様はまた顔をしかめた。
「話してくれたというべきか…
そうか、そなたならば分かるかもしれないな。
学生時代にアリアドネ妃は無邪気というか、自由というべきか…物怖じせずに皆と交流を持っていてな。私にも何かと話しかけていた。ある日、彼女に呼び出された私に指を突き立てながら自信を持って言ってきたのだ。私は彼女を好きになると、何故なら自分はヒロインなのだからっと。
意味がわからなかったし今のところそんな兆候は見られないが。この意味が分かるか?」
え?何それ…あんまり関わりたくない感じだなぁ。
ヒロインって。あれ?のんちゃんは私がヒロインだとか言ってなかったっけ?
「すみません、私にもよく分からないです。」
しょんぼりした私の頭をお父様は優しく撫でてくれた。
ようやくリラックスしはじめて外の景色のあれこれをお父様に質問したりしていたら、私の顔を見てフッと笑った。
貴重な笑顔だ!目に焼き付けなければ。
「前にも話したが、嫁に行ったとしてもそなたが私の娘であることに変わりはない。
それに、婚約はしても嫁に出すにはまだまだ時間があるしな。
これからも共にいる時間を作ろう。」
「はい、ありがとうございます。」
嬉しくなった私はつい気になっていたことを聞いてしまった。
「お父様と公爵様は昔から仲良しなんですか?」
「あぁ、」
私の質問にお父様は少し顔をしかめた。
「仲は悪くはない。昔からなにかと縁があるのは確かだな。」
ほほう、お父様はお祖母様からツンの気質も受け継いでいるらしい。
「私も聞きたかったのだが、夢の中でアロイスと会っていたというのは具体的にどのようなものなんだ?」
「え?えっと…それはですね。」
目を泳がせる私を観察するように見つめてくるお父様。
「何か秘密があるようだな?」
ああ、のんちゃん。私にはごまかしきれなそうだよ…
意を決して私は全てを話した。頭がおかしくなったと思われてもいい。真実を話さなければお父様は納得しないだろうから。
「なるほどな…」
意外にもお父様はすんなり信じてくれた。
「疑わないんですか?」
「嘘をついていないのは見れば分かる。それに、そなたたちと似たような人物を一人知っているからな。その物はこの世界は乙女ゲームという虚構の世界だと言っていた。」
「え?誰ですか?私も会ったことありますか?」
「いや、会ったことはないがいずれ会うだろう。
イシェラ王国のアリアドネ妃だ。」
え~お妃様が?のんちゃんに報告しなきゃ。きっと知らないよね。
「アリアドネ妃がお父様に話してくださったのですか?」
お父様はまた顔をしかめた。
「話してくれたというべきか…
そうか、そなたならば分かるかもしれないな。
学生時代にアリアドネ妃は無邪気というか、自由というべきか…物怖じせずに皆と交流を持っていてな。私にも何かと話しかけていた。ある日、彼女に呼び出された私に指を突き立てながら自信を持って言ってきたのだ。私は彼女を好きになると、何故なら自分はヒロインなのだからっと。
意味がわからなかったし今のところそんな兆候は見られないが。この意味が分かるか?」
え?何それ…あんまり関わりたくない感じだなぁ。
ヒロインって。あれ?のんちゃんは私がヒロインだとか言ってなかったっけ?
「すみません、私にもよく分からないです。」
しょんぼりした私の頭をお父様は優しく撫でてくれた。
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