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第一章 リトア王国
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いったん部屋に戻り服を着替えて一息ついた頃、そのアロイス様が部屋を訪ねてくれてやっと二人で話ができた。
もちろん部屋にはアイリーンがいるが、彼女は気配を消して黙っていてくれるので気にせず話すことができる。
「のんちゃん、あのキノコまた生やせるの?お祖父様の足に試してみたいんだけど。」
「待って、最初の話がそれ?まぁ全然いいけど。」
のんちゃんはアロイス様の仮面を外して椅子の上で伸びをしている。
「ていうか、私聞いてない話多すぎるんだけどのんちゃん。
私がお祖父様の命を助けたとか本当なの?
光の魔力なんて私知らないよ~」
「本当だよ。ゲームの中でも出てきたから。ヒロイン、マリーベルは生まれつき強い光の魔力を持って生まれてきた。」
向かい側に座った私をじっと見ながらのんちゃんは姿勢を正した。
「光の魔力を持つ人間は滅多に生まれてこない希少な存在でその人間がいる国は幸運に恵まれ栄えることができると言われてる。表向きはね、裏では光の魔力を持つ人間を巡って争いが絶えずそこで光の魔力を持つ者を保護することを目的として聖女として崇めるリド教ができたんだ。」
「リド教ってあのグレーのマントの人たち?
何か聖女を望みを叶える便利屋みたいに言ってたけど…保護することが目的…だから赤毛おじさんは助けに来たって言ってたのか。」
アロイス様は嫌そうに顔をしかめた。
「あいつらはリド教を自分たちの都合が良いようにとらえて光の魔力を利用しようとしてるんだよ。リド教の改革派を唱えてるけどただ私欲に走った金と権力目的の連中。リド教の長にも知らせがいってるから明日あたりから忙しくなるよきっと。」
私はテーブルに置かれていたのんちゃんの手にそっと自分の手を重ねた。ゆきより小さいけど真っ白でまだ子供らしいフワフワした手。
「のんちゃんは帰っちゃうの?そうしたらしばらく会えない?
私たち、これからどうなっていくのかな…」
「大丈夫だよ、ゆき。
親父さんの出した条件は満たしたはずだから俺たちは晴れて婚約者同士。
堂々と会いに来られるし、俺は…片付けなきゃいけないことがあるけど…」
「そうそれ、のんちゃんの片付けなきゃいけないこともちゃんと説明して。」
う~ん。って煮えきらない様子ののんちゃんをジト目で見つめ続けたら観念したらしい。
「ゆきはゲームのこと覚えてる?」
「え?うん、辺境伯令嬢のヒロインと婚約者がいるくせにナンパな第二王子と…」
「それそれ、第二王子リークの婚約者。悪役令嬢のリノア・エシャルロットが俺。」
私はポカンとのんちゃんを見つめる。
「リノアはヒロイン、マリーベルに嫌がらせをする悪役なんだよ。リークルートが成功すると婚約破棄されて国外追放、ヒロインはリークと結婚する。失敗ならヒロインは自国へ帰り、リノアは婚約者のままだけど病死。
他のルートでもリノアはヒロインが光の魔力持ちなのが気に入らなくて意地悪をしてくる。最後は修道院送り、他国の高齢な貴族の後妻、謎の失踪、毒をもられ死亡、顔に生涯癒えない傷を負い引きこもり。などなどバッドエンドが盛り沢山。」
「え?それが本当に起きるかもしれないってこと?」
「分からないけど、男なのに無理やりリーク王子の婚約者にされたことを考えると起きうることだと思う。」
青ざめた私を見て心配そうな顔をしながらのんちゃんは席を立って私の前に来た。
「ほら。そんな顔させたくないから言わなかったんだよ。」
ギュッと抱きしめられながら私は頭を振った。
もちろん部屋にはアイリーンがいるが、彼女は気配を消して黙っていてくれるので気にせず話すことができる。
「のんちゃん、あのキノコまた生やせるの?お祖父様の足に試してみたいんだけど。」
「待って、最初の話がそれ?まぁ全然いいけど。」
のんちゃんはアロイス様の仮面を外して椅子の上で伸びをしている。
「ていうか、私聞いてない話多すぎるんだけどのんちゃん。
私がお祖父様の命を助けたとか本当なの?
光の魔力なんて私知らないよ~」
「本当だよ。ゲームの中でも出てきたから。ヒロイン、マリーベルは生まれつき強い光の魔力を持って生まれてきた。」
向かい側に座った私をじっと見ながらのんちゃんは姿勢を正した。
「光の魔力を持つ人間は滅多に生まれてこない希少な存在でその人間がいる国は幸運に恵まれ栄えることができると言われてる。表向きはね、裏では光の魔力を持つ人間を巡って争いが絶えずそこで光の魔力を持つ者を保護することを目的として聖女として崇めるリド教ができたんだ。」
「リド教ってあのグレーのマントの人たち?
何か聖女を望みを叶える便利屋みたいに言ってたけど…保護することが目的…だから赤毛おじさんは助けに来たって言ってたのか。」
アロイス様は嫌そうに顔をしかめた。
「あいつらはリド教を自分たちの都合が良いようにとらえて光の魔力を利用しようとしてるんだよ。リド教の改革派を唱えてるけどただ私欲に走った金と権力目的の連中。リド教の長にも知らせがいってるから明日あたりから忙しくなるよきっと。」
私はテーブルに置かれていたのんちゃんの手にそっと自分の手を重ねた。ゆきより小さいけど真っ白でまだ子供らしいフワフワした手。
「のんちゃんは帰っちゃうの?そうしたらしばらく会えない?
私たち、これからどうなっていくのかな…」
「大丈夫だよ、ゆき。
親父さんの出した条件は満たしたはずだから俺たちは晴れて婚約者同士。
堂々と会いに来られるし、俺は…片付けなきゃいけないことがあるけど…」
「そうそれ、のんちゃんの片付けなきゃいけないこともちゃんと説明して。」
う~ん。って煮えきらない様子ののんちゃんをジト目で見つめ続けたら観念したらしい。
「ゆきはゲームのこと覚えてる?」
「え?うん、辺境伯令嬢のヒロインと婚約者がいるくせにナンパな第二王子と…」
「それそれ、第二王子リークの婚約者。悪役令嬢のリノア・エシャルロットが俺。」
私はポカンとのんちゃんを見つめる。
「リノアはヒロイン、マリーベルに嫌がらせをする悪役なんだよ。リークルートが成功すると婚約破棄されて国外追放、ヒロインはリークと結婚する。失敗ならヒロインは自国へ帰り、リノアは婚約者のままだけど病死。
他のルートでもリノアはヒロインが光の魔力持ちなのが気に入らなくて意地悪をしてくる。最後は修道院送り、他国の高齢な貴族の後妻、謎の失踪、毒をもられ死亡、顔に生涯癒えない傷を負い引きこもり。などなどバッドエンドが盛り沢山。」
「え?それが本当に起きるかもしれないってこと?」
「分からないけど、男なのに無理やりリーク王子の婚約者にされたことを考えると起きうることだと思う。」
青ざめた私を見て心配そうな顔をしながらのんちゃんは席を立って私の前に来た。
「ほら。そんな顔させたくないから言わなかったんだよ。」
ギュッと抱きしめられながら私は頭を振った。
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