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第一章 リトア王国

襲撃現場でティータイムです

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無事に私のもとへ戻ってきたお祖母様に私は気持ちが高まってしまった。

「お祖母様、素敵でした。本当に優雅で強くてかっこよかったです。」

椅子から立ち上がり、おもわずお祖母様に抱きついてしまう。
お祖母様は真っ赤になって固まっている。

「いいな~僕もかっこいいとこマリーちゃんに見せたかったな~
信じられないかもしれないけど僕もそこそこ強いんだよ~?」

「エシャルロット様は常に魅力溢れるお姿ですのでご心配には及ばないかと。」

いつの間に部屋に入ってきたのかダミアンさんが腕にナプキンをかけ紅茶のポットを持って公爵様の後ろで微笑んでいる。

みんなでテーブルを囲み、ダミアンさんが入れてくれた温かい紅茶(私はホットミルク)で喉を潤していると何人もの足音が聞こえてきてお父様とアロイス様、アンディーブ様が扉を開けて入ってきた。

後ろには辺境伯騎士団の方々も数名いる。

「皆、無事か?」

お父様は魔法で拘束されている二人に視線を走らせてからこちらに歩いてくる。

アロイス様とアンディーブ様は呆れた顔と驚いた顔でお父様の後をついてくる。

「やぁ、お疲れ様アラン。お先にくつろがせてもらってるよ。」

公爵様はだらしなく片腕を背もたれにかけて反対の手に握ったカップを持ち上げてみせる。

「大丈夫だったか?マリーベル。」

ジッと私に向けられた視線にいたわるような優しさが滲んでいて何だか胸がギュッとなった。
いつも威厳に満ち溢れた無表情だと思っていたけれど、公爵様たちがいらしてから僅かではあるけどお父様も、怒ったり、笑ったり、呆れたり、呆れたり、呆れたり…するんだと分かった気がする。

「ありがとうございます。お父様。大丈夫でした。
お祖母様が守ってくださいましたから。」

にっこりお祖母様に微笑むと、お祖母様はふいっと顔をそらした。
ダミアンさんがやれやれという感じに眉尻を下げる。

「お父様も、エシャルロット家の皆様も戦ってきてくださったんですよね?
ありがとうございました。」

私は立ち上がり深く頭を下げた。

「無事で良かった。嫌な目に合わなかった?」

心配そうなアロイス様に両手を握られたが、答える前にお父様に引き剥がされる。

「まだだ、陛下たちとの話が済み両家の婚約を認められたならば二人の婚約を許す。
それまでは過剰な接触は避けてもらおうか?」

「アランってば大人げな~い。」

公爵様は心底楽しそうにこちらを見ている。

お父様はアロイス様のことを警戒してるのだろうか?アロイス様はのんちゃんだから大丈夫ですよ~と言いたいけど通じるわけないしな~
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