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第一章 リトア王国

仲間に引き入れました

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アイリーンにバッチリ色々聞かれていたことに気づいた私はのんちゃんにもそのことを耳打ちした。

のんちゃんは少しだけ悩んだ後、私にアイリーンを呼ばせる。

「お話しが弾んでいらっしゃるようで、ようございました。」

アイリーンは先ほどのキラキラ顔を引っ込めて澄まし顔で私たちの前に立つ。

「おかげさまで、マリーベル…マリー様と色々お話しできています。
ところで、アイリーンはマリー様の侍女として仕えているとか?」

「はい、マリー様がお屋敷にお戻りになってからお側に控えさせていただいております。」

「では。貴女はマリー様と一番長く側にいらっしゃるということですね。」

「さようでございます。」

ふむ、とのんちゃんは少し考えるような素振りを見せてから彼女を手招いた。

「マリー様の様子からも貴女が信頼できる方だと分かります。
そこで、貴女に我々の事情を打ち明けたいのです。」

え?っと思ってのんちゃんを見つめるが彼は私を見ずに、安心させるように右手を握ってきた。

のんちゃんに見つめられたままのアイリーンは戸惑いも見せずに静かに頭を下げる。

「先ほどまで話していた声が聞こえていたかもしれませんが、私たちは以前から想いあっていました。
この世に生まれ落ちる前からです。
前の世では想いを伝え合う前に命を落としてしまい、その記憶を持ったままこの世に生を受けました。
もっとも、マリー様の記憶が戻ったのはここ最近のことのようですが。」

アイリーンは呆れた様子も見せずにうなずいている。
目がキラキラし始めたから、恋話好きなのかな…
のんちゃんの言い方だと大層な話に聞こえるけど、実際は告白する前に事故死しちゃった幼なじみなだけなんだけど…

「え、の…アロイス様は初めから記憶が?」

「うん。後で説明するからマリーはちょっと待ってて。
アイリーン、貴女には幼い我々の味方になって欲しいのです。

これから家族にも説明することになりますが、前世の記憶を持っていることは大勢に知られてはならない話です。
家族には私が誤魔化して説明し、打ち明けるのは貴女だけにします。
マリー様も、これからそれを隠すことに苦労するでしょう。彼女の助けになってほしいのです。」

アイリーンは背筋を伸ばし私たちを見つめた。

「何かご事情があるのだとは感じておりました。
幼いながらにしっかりとしたお二人が私に嘘を話していらっしゃるとも到底思えません。打ち明ける相手に選んでいただけたことをありがたく思います。
私の全てをかけてマリー様のお力になるとお約束いたします。」

その微笑みが頼もしくて私はホッと安心した。
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