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第一章 リトア王国

二人でお話しいたしましょう 2

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顔をあげたのんちゃんはゆっくりと口を開いた。

「ゆき。一番最後のゆきの記憶は何?」

私の両肩に手を置いてこちらを見つめる美少年に私は少し照れてしまう。

「わ~、のんちゃんずいぶん美少年になっちゃって。」

言いつつ記憶を思い出す。のんちゃんはなんだか赤くなったり青くなったりしている。

「私の最後の記憶はのんちゃん家で乙女ゲーム?をして遅くなっちゃって急いで帰ろうとして…
そうだ!のんちゃんに好みのタイプを聞かれて答えようとしたら急に眩しくなって…のんちゃんが、駆け寄ってきて…あれ、あれ?」

なんだか嫌なことを思い出しそう。聞いたことがないくらい大きな車のブレーキの音、身体に受けた衝撃、そして身体が宙を飛んでた。のんちゃんがギュッと抱きしめてくれて、それで、それで。

今度は私の身体が震えてきた。

「私たち、死んじゃったの?」

肩にかかっていたのんちゃんの手がそっと背中に回って私をギュッと抱きしめてくれた。

「待って、じゃあのんちゃんは私のせいで…」

「それは違うから!」

のんちゃんの少し怒ったような強い声に言葉が出なくなった。

「それを言い出したら俺が家に誘わなきゃ事故に合わなかった。
もっと早くゆきを帰してたら…俺とゆきが出会ってなかったら…」

のんちゃんの言葉に私はすぐ頭を横に振った。

「ヤダヤダ、そんなの聞くのも嫌だ。
私、分かってた。なんだか変だなって最初は夢かと思ってたけど何度寝ても覚めないし。もしかしてって思ってたけど考えないようにしてた。だから、のんちゃんに会えて嬉しくてホッとして涙が出たんだよ。マリーになってから色々あったけど、全然泣かなかったのに。」

のんちゃんはそんな私に笑顔を向けてくれた。

「マリー様、アロイス様。大丈夫ですか?」

オロオロしたアイリーンが首を伸ばしてこちらを見ている。

「心配させて申し訳ない。
少し、マリーベル様と落ち着いて話がしたいのですが?」

のんちゃんがアロイス様の凛とした顔つきになってスッと立ち上がった。
私もゆっくりと立ち上がり近づいてきたアイリーンに笑顔を向ける。
でも確かに立ち話で済ますにはしんどいからどこかに座って話したい。
アイリーンは私たちの気持ちに答えて庭園に作られたガゼボへ先導してくれる。
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