悪役令嬢とヒロインはハッピーエンドを目指したい

ゆりまき

文字の大きさ
上 下
16 / 247
第一章 リトア王国

衝撃の事実です

しおりを挟む
まだ何も話せていないがとりあえず公爵様たちにもご挨拶をとお祖母様に連れられて私はお父様達のもとへ向かった。

公爵様はまだ情け無い顔をしてお父様に何かを訴えているが、お父様はそれを無視して近づいてきた私の肩に手を乗せた。
ゴツゴツした手が予想外に暖かく、優しい仕草に私はちょっと動揺する。

「話を遮って申し訳ないが、紹介がまだだった。私の娘のマリーベルだ。」

「マリーベル・スリジェと申します。」

張り切ってお祖母様仕込みのカーテシーをする。

「やあやあ、初めまして。エシャルロット家の当主ファラスだよ。
君が見つかって良かった良かった。
ベルさんにそっくりと言いたいところだけど髪色も目の色もお父さん譲りなんだね~」

公爵様の言葉に驚いて私はお父様を仰ぎ見た。
瞳の色は確かに空色だが、お父様の髪がこのファンシーな桜色?
まったく想像できない。
私がジッと自分のスキンヘッドを見つめていることに気づいたのかお父様は居心地悪そうに身じろぎしてから公爵様を睨んだ。

「お前は本当に…少し会わない間にましになったかと思ったのにちっとも変わらないな。余計なことばかり口にして。」
お父様の言いように驚いて私はあわわと焦ってしまうが、公爵様はニコニコしたままだ。

「僕は永遠の少年だもの、アンディーブやアロイスの方がしっかりしているよ。」

恥ずかしげもなくうれしそうに言い放ったファラス公爵に息子たちがひきつった笑を向けている。

「ところで、アロイスとマリーベルちゃん知り合いなの?
なんか、感動の再会みたいになってたし愛称?みたいなので呼び合ってたよね?」

ニコニコと突っ込まれて私は固まってしまった。
のんちゃん、もといアロイスが私の横に急いで並ぶ。

「いや~正直、昔からおよそ子供らしさがひとかけらもないアロイスのあんな姿見たことなかったからさ。びっくりしたよ~」

「いい身分のいい大人が、挨拶もなしに入ってきてすぐに当主に泣きついてくる方がよほど驚くだろう。」

「いやいや、だから大変なんだって。
ちゃんと僕の話を聞いてよ~」

「アラン・スリジェ辺境伯様。父に代わってお詫び申し上げます。
失礼の数々お許しいただけるとは思えませんが…」

緊張した私たちをよそに公爵様とお父様、アンディーブさんが話し続けている。
困惑して三人を眺めているとそっと肩に手が置かれた。
振り返るとお祖母様とアイリーンが立っている。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

その国外追放、謹んでお受けします。悪役令嬢らしく退場して見せましょう。

ユズ
恋愛
乙女ゲームの世界に転生し、悪役令嬢になってしまったメリンダ。しかもその乙女ゲーム、少し変わっていて?断罪される運命を変えようとするも失敗。卒業パーティーで冤罪を着せられ国外追放を言い渡される。それでも、やっぱり想い人の前では美しくありたい! …確かにそうは思ったけど、こんな展開は知らないのですが!? *小説家になろう様でも投稿しています

執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~

犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…

ざまぁされるのが確実なヒロインに転生したので、地味に目立たず過ごそうと思います

真理亜
恋愛
私、リリアナが転生した世界は、悪役令嬢に甘くヒロインに厳しい世界だ。その世界にヒロインとして転生したからには、全てのプラグをへし折り、地味に目立たず過ごして、ざまぁを回避する。それしかない。生き延びるために! それなのに...なぜか悪役令嬢にも攻略対象にも絡まれて...

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!

春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前! さて、どうやって切り抜けようか? (全6話で完結) ※一般的なざまぁではありません ※他サイト様にも掲載中

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

他には何もいらない

ウリ坊
恋愛
   乙女ゲームの世界に転生した。  悪役令嬢のナタリア。    攻略対象のロイスに、昔から淡い恋心を抱いている。  ある日前世の記憶が戻り、自分が転生して悪役令嬢だと知り、ショックを受ける。    だが、記憶が戻っても、ロイスに対する恋心を捨てきれなかった。

処理中です...