底辺ジョブ【清掃師】で人類史上最強~俺はドワーフ娘たちに鍛えてもらって超強力な掃除スキルを習得する~

名無し

文字の大きさ
上 下
55 / 61
第二章

清掃師、叱咤する

しおりを挟む

「ど、どうしよう、無理だよ。オーガを相手にするなんて……」
「怖いよぉ……」
「み、みなさん……死ぬときは、どうか一緒にいぃ……」
「お……おおおっ、お、終わりだあぁぁぁっ……!」
「……」

 それまでの明るい空気があっという間に黒い絶望によって塗り替えられていく。オーガやエルフに普通のスキルが通用しないことは有名な話で、それに挟撃されてるのだから当然といえば当然か。

 俺としてもみんなを守りながら、かつ力を抑えた状態でやり合わなきゃいけないわけで、正直焦りもあったがよくよく考えてみると、むしろ挟み撃ちというどうしようもない状況が有利に働くような気がした。ここで一方から来るとかのほうが、慌てて逃げようとしてさらなる泥沼を生みだす可能性があったからだ。

 ただ、このままの状態でもいずれオーガが現れるわけで、大混乱に発展する可能性はある。

「みんな、最後まであきらめるな」
「「「「……」」」」

 俺の言葉はきっと気休めにしか聞こえないだろうが、次の台詞の伏線にはなるはずだ。

「俺たちは、あの『アバランシェ・ブレード』の自然現象も乗り越えたじゃないか……」
「「「「あっ……!」」」」

 みんなの顔に、生気という名の希望が浮かんだのがわかる。これを待っていたんだ。

「たっ……確かに、あたしたちには幸運の女神がついてるようなものじゃない……?」
「……うん。もしかしたら、大丈夫……かも……?」
「ア、アルファさん、でも、どうすればよいのですぅ……?」
「ア、アアアアッ、アルファ君、どうしたら、どうしたらいいのだっ……!?」

 溺れる寸前のような眼差しが俺に掴みかかってくるのがわかる。

「挟撃されてるなら、それをしてやればいい」
「「「「えっ……?」」」」
「オーガは残虐だが、臆病という性質もある。だから怯えてたら向こうの思うつぼだし、こっちから行くんだ」
「「「「ええぇっ……!?」」」」

 みんな俺の提案に対し、酷く驚いた顔を見合わせている。

「とにかく、どっちにしろオーガはやってくるんだし、こっちから逆に行ってやれば相手も怯む可能性が出てくるし、何か起きるかもしれない」
「で、でも、アルファ。オーガにスキルは通じないんだし、結局やられちゃうよ……」
「サーシャ、それはこっちのスキルを相手に使用したら、の話だろ?【見切り】はあくまでも受け身のスキルだから別じゃないか……?」
「あ……」

 サーシャがはっとした顔になってる。一方でミュートは何か違和感を覚えたのか難しそうな表情をしてるが、何も言ってこないし上手くごまかせたようだ。ってなわけで俺の考えた作戦を聞かせると、みんな一様に納得した様子でうなずいてくれた。

『――お、おおおっ、人間だ……。こっちからいい匂いがすると思ったら、やっぱり人間だったあぁ……』

 まもなく、前方から涎を垂らしたオーガが現れる。ここからが腕の見せ所だ。

「なんだ、オーガか。大したことないな、だ」
「「「「ププッ……」」」」

 よしよし、みんな怯んだ様子は隠しきれなかったものの、ちゃんと俺の言う通り笑ってくれた。

『なっ……なんだと……?』

 オーガは一瞬怯んだような顔をしたあと、見る見る表情を険しくしていった。

『ハッタリだ……ハッタリに決まってるううぅぅっ――』
「――サーシャ、今だ!」
「うんっ!」

 飛び掛かってくるところで、俺たちは背中を壁につけてサーシャに【見切り】を発動させる。

『おおっ……?』

 その結果オーガは勢いよく後方に流され、そのままもう一匹のオーガの悲鳴とともに消えていった。よし、成功だ。

「「「「「やったああぁぁっ!」」」」」

 みんな飛び上がる勢いで喜んでる。実をいうと、オーガが手刀で攻撃してくるという行動を読むことで俺が神気を【一掃】したので【見切り】が効いたというわけだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...