底辺ジョブ【清掃師】で人類史上最強~俺はドワーフ娘たちに鍛えてもらって超強力な掃除スキルを習得する~

名無し

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第二章

清掃師、パニックに陥る

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「お……」

 倒したキラーアントを解体してみたわけだが、色々と使えそうなものがうじゃうじゃと出てきたので驚いた。触覚、牙、脚についたギザギザの刃、卵、蜜といった具合に。従来通り外ればかりだったとしてもいい金になりそうなものばかりだったのだ。

「どうぞ」
「はいですう」

 俺が一瞬で【収集】したものをミュートに【鑑定】してもらったわけだが、いつもと違って難しそうな顔をしていた。どうしたんだろう?

「……レ、レアが出ましたぁ……」
「「「「ええっ……?」」」」

 俺を含めてみんなの上擦った声が被る。

「この触覚さんには、地属性が付与されてますう。それに、蜜さんも純度が高くてお金になりますねぇ」

 確かキラーアントは蜜自体中々出さないことでも知られてるが、その純度が高いものが出た上にまさか属性のついた触覚まで取れるとはな。これはあまりにもホクホクだったので、みんなの顔にも自然と喜びが溢れていた。

 こういうこともあろうかと一応小さな壺を持ってきたので、早速とれたてホヤホヤの蜜を流し込んだわけだが、みんな興味深そうに覗き込んできて面白かった。

「どうせだから、みんなで一口ずつ舐め合おうか?」

 俺の提案に全員が何度もうなずく。そりゃそうか。ここで取れる蟻の蜜は極上の味とも言われてて、疲労回復に効果があるだけじゃなく舌が痺れるほど甘みがあることでも知られてるからな。

「……お、おおおっ、なんという甘さだああぁぁっ!」
「もう、リーダーったらいくらなんでも大袈裟……って、す、凄いっ、何これえぇっ……!?」

 サーシャもロディ並みに驚いてるな。

「あ、あまーいっ! 舌が蕩けちゃううぅ」

 シェリーなんて涙目になってる。一体どんな甘さなんだか。

「あぅ、あ、あ、あっ――」
「「「「ミュート……!?」」」」
「――まい、ですうぅぅ……」
「「「「……」」」」

 ミュートが眩暈を起こしたかのように座り込むほどの甘さだたらしい。さて、俺も味わってみるか……。

「……」

 なんだ、これ……。一口舐めただけで、舌だけじゃなく脳に蜜がドバドバと塗りたくられたかのような甘さの大洪水が起きて、僅かな間だったがパニックに陥るほどだった。みんながこれだけオーバーリアクションだったのもうなずける。

「うっ――」
「「「「アルファ!?」」」」
「――い、いや、なんでもない……」

 実はこれ、甘さゆえではなくのあまり出した声だった。マリベルたちが何を訴えてるか予想できるが一応耳を傾けてみる。

「ア、アルファよ……早く欲しいのじゃあぁ……」
「わ、我も……アルファどの……」
「アルファ様、早く、早くくださいまし……」
「アルファしゃん、早く来てほしいのれふう……」
「わ、わかったよ」

 普通に聞かれたら色々と誤解されそうな口調でねだられたので、彼女たちに指で少し掬って分け与えることにした。

「おぉう、これじゃっ、この味なのじゃ……」
「ふうぅ。なんとも癖になる味だ……」
「まろやかで安らぎますわ……」
「クリーミーれふう。おかひくなりそうでしゅう」

 あはは……どうやらドワーフたちもこの甘さには勝てなかったらしい。しばらくは俺たちも甘さの余韻に浸っていたが、ここが迷宮山の不気味な洞窟内ということもあって、まもなく俺を含めて正気に返ったらしく神妙そうな顔つきで歩き始めるのだった。

 なんせ、今日を入れてあと八日で登頂しなきゃパーティーが自動的に解散、『アバランシェ・ブレード』登頂もリセットさせられるという事実がある上、オーガという存在もあるため少しでも前に進まなきゃいけないという現状があるからな。

 とにかくまずは第一セーブポイントを目指してひたすら登っていくのみだ。ほかのみんなも同じ思いなのか、ちょっとしたオアシスを楽しんだあとは一様に前を向き、口元と気持ちを引き締めてる様子だった。
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