なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

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第51話

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「……み、見事だよ、ラウル……。完璧のはずだった、新しい我が子まで手にかけようとしている……。けど、何がなんでも、命を懸けてでも……絶対に、このまま終わるわけにはいかない……」

「何……?」

 ハンスの台詞が纏わりつくように耳に残り、妙な胸騒ぎを覚えた直後だった。

『『『『『ウゴオオオオオォォッ!』』』』』

 ルエスが抱えていたゴーレム群の一部が、後方にいる『暗黒の戦士』パーティーのほうへ猛然と向かっていったのだ。

 これは……明らかにハンスが俺の性格を理解した上でやったことだ。今すぐ変異種の本体に対する攻撃をやめてダリアたちを助けなければ、どうなっても知らないぞと。

 しかも、向こうには眠った状態のクレスに加え、受付嬢のイリスもいる。ダリアたちの実力に疑いはないが、あの二人を守りながらまともに戦えるはずもない。

「この卑怯者が……!」

「フフッ、なんとでも言えばいいさ。戦場ではなんでもありだからねえ」

 俺は迷うことなく攻撃をやめてダリアたちのところへ向かう。ハンスの意図がわかった時点で全力で駆け出したものの、それでも追いつけるか不明なくらいギリギリのタイミングだった。

 頼む、どうか間に合ってくれ……。そう願いながら懸命に走るが、無情にも先にゴーレムたちはダリアたちのもとへ雪崩れ込もうとしていた。

「あっ……」

 視界が絶望に染まりかけたそのとき、黒い影が見えたと思った途端上空へ舞い上がっていき、その背中にはクレスとイリスの姿があった。

 変異種カラス……そうか。お前がいたんだった……。

「あ、ありがとう――」

『――人間よ、礼など不要だ! 今のうちに早くやつを倒せっ!』

「ああ、わかった! ダリア、セイン、リシャール、オズ、あとは頼む!」

「「「「ラジャー!」」」」

 俺は残ったゴーレムの処理を彼女たちに任せて踵を返すと、本体のもとへ駈け込むとともに怒涛の攻撃を再開する。

『ウゴオオオォッ……!』

「くっ……」

 以前に比べると手応えが明らかになくなっている。俺自体に変化はないが、一方的な攻撃を食らってから再生した時点でやつは深く学習してしまっているようだ。

「フフッ、ラウル。おかげさまで我が子にとっては良い経験になったよ……」

「…………」

 ハンスが一転して余裕の笑みを浮かべるのもわかるくらい、俺にとっては唇を噛みしめるほどにまずい状況だった。

 今からゴーレムを劣化させるにしても、もうそんな時間はない。変異種ゴーレムの進化の足音が刻一刻と近付いてくるのがわかる。だからすぐにでも倒さなければならないのに、やつは明らかにパワーアップしていて中々崩れない。

 それでも、心身の消耗は凄まじいが『治癒力強化魔法』で活性化エネルギーそのものを強化させたことで、ほんの少しずつだが再生能力に勝るくらい削ることができている。

 頼む……間に合ってくれ――

『――ウッ……ウゴオオオオオオッ!』

「なっ……!?」

 変異種ゴーレムが断末魔の悲鳴であるかのように吼えた瞬間だった。忽然とその姿を変えてしまったのだ。それも、今までのものとはまったく別物に……。

『…………』

「……お前、は……」

 俺の目の前にいたのは、表情といえるものが欠片もない一人の女性だった。

 感情のようなものを一切感じないが、モンスターというよりまるで人間そのものじゃないか。これが変異種ゴーレムの進化した姿だというのか……。

「……フ、フフッ……。勝った……。僕は遂にあのラウルに勝ったんだ……」

 ハンスが涙を浮かべながらいたく感激した様子で、おもむろにゴーレムの女性のもとへと歩み寄っていく。

『……お前は、誰だ……?』

「僕はね、君の飼い主のハンスさ。危ないところだったね……」

 ハンスが人型ゴーレムを優しく抱き寄せる。どうやら変異種カラスのように会話することが可能らしい。進化したことで知恵の部分も大幅に改善されたということだろうか。

「でも、こうして進化することができて、本当によかった――ごはっ……!?」

「…………」

 俺自身、声も出せないほどのことが起きてしまった。人型ゴーレムの右手が、主であるハンスの腹部を貫いたのだ。

「……ど、どうし、て……」

『…………』

 信じられないといった様子で倒れるハンスを尻目に、人型ゴーレムは無表情のまま俺のほうをちらっと一瞥してきたかと思うと、その姿をフッと消失させた。

『探知魔法』や『感知魔法』でも全然追えないくらい、完璧すぎる消え方だった。一体どうなったっていうんだ……って、今はとにかく錬金使いのハンスの治療をしないとまずい。このままでは間違いなく死んでしまう。
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