ゲーム世界の悪役貴族に転生した俺、大ハズレと呼ばれる【錬金術】スキルで、自分だけあらゆるものを超便利な能力にチェンジして無双する。

名無し

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第二四話 巻き戻し

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 俺が王城から無事に帰還し、それから七日間が経過した。

 今でも思い出すと笑えてくることがあって、屋敷へ戻ったときにクロードたちが揃って溜め息をついていたのが面白かった。

 しかも、ほぼ同じタイミングだったからな。あいつら、どんだけ仲がいいんだよって。あわよくば、冷血の王女の逆鱗に触れてくれたらって期待していたんじゃないか。

 中でもクロードは俺に対し、『何をやったか知らないけど、これで勝ったと思わないほうがいいよ』と悪党の下っ端のような捨て台詞を残して去っていった。デモンストレーションのことを言いたいんだろう。

 さて。一週間の修行の成果をそろそろ確認してみるかな。


 名前:ルード・グラスデン
 性別:男
 年齢:15
 魔力レベル:3.3
 スキル:【錬金術】
 テクニック:『マテリアルチェンジ』『レインボーグラス』『ホーリーキャンドル』『クローキング』『マンホールポータル』『インヴィジブルブレイド』『スリーパー』『ランダムウォーター』『サードアイ』『トゥルーマウス』

 死亡フラグ:『呪術に頼る』


「よし……」

『レインボーグラス』で久々に自身のステータスを鑑定したところ、王女に関する死亡フラグが消えているのはもちろんのこと、魔力レベルは3.0から3.3になっていた。

 例の祠でみっちり修行を重ねた結果だ。もう祠の周囲はいつの間にかとっぷりと日が暮れていた。それだけ集中力を持ってトレーニングに打ち込んでいた証拠ともいえるだろう。

 たった七日で、それもただでさえ高い3レベルの状態から0.3も上がったんだ。これは地味に見えるかもしれないが物凄い成果だ。それだけ、修行する前に中身のある体験をしてきたからこそともいえる。

 伝統の魔物狩りで父ヴォルドのデモンストレーションを目の当たりにし、さらに【シルルの思念】も倒すことができた。また、第一王女マズルカとの命懸けの謁見を経験したのも大きい。

 もちろん、その訓練する場所というのが、特別な力を持つ聖人ヨークの礼拝堂というのもあるが、あの衝撃的な経験の連続が糧になったのは間違いない。

 今じゃ魔力レベルがここまで上がったことで、燭台どころか祭壇さえ宙に浮かせることができるようになった。それでも結構な重さを感じるので、燭台のようにスイスイとまではいかないが。とにかく、俺が目指すのはきりのいい数字といえる魔力レベル3.5だ。

「――ふう……」

 これだけ魔力が高くても、祭壇を長く浮かせているとやっぱり疲れる。筋肉痛、もとい精神痛のようなものか。

 とはいえ、魔力レベルが上がったときの達成感が凄いのでやめられない。成長痛ともいえるものだからな。3.3まで上がったんだし、もうそろそろ休むか。

「……」

 そこでふと、俺の脳裏に浮かんだのは第一王女マズルカの微笑んだ顔だ。もしあのとき、俺が殿下の唇に口づけしてたらどうなってたんだろう? 俺を殺す確率は高くなったとか本人は言ってたが、果たしてそれが本音かどうかもわからんしなあ……。

「ルード様」

「なっ……!?」

 気づくと背後からアイラの声がして、俺は驚きの余り祭壇ごと跳び上がってしまった。

「……ご、ごめんなさい! でも、そんなにびっくりしなくても……。何か考え事をされてたんですか?」

「……あ、いや、なんでもないんだ」

「……ルード様? なんだか怪しいです……」

 アイラがずいっと疑いの眼差しを向けてくる。やはり鋭い。

「いや、不意を突かれただけで、なんでもないんだって。それより、風邪が治ったばかりなんだからじっとしてなって」

「もう完治してるので平気です! それよりルード様、もしかして……王女様との間に何かあったんです……?」

「い、いや、大丈夫……じゃなくて、本当になんもないよ」

「……それならいいんですけど。なんか、ルード様だけじゃなくて侍従様もおかしいんですよ。ご自身の頬を撫でながら、『これぞ侍従のジレンマだ……』とか呟いてるんです」

「……」

 ロゼリアの言う『侍従のジレンマ』ってなんなんだ。一体なんの板挟みに遭ってるのやら。もしかして、ロゼリアは嫉妬してるんだろうか?

 俺は別に大したことはしてないと思うが、その可能性もありうるように感じた。なんせ、彼女は侍従というだけあって、殿下とずっと一緒にいたわけで。

 でも俺はあくまでも頬に口づけしただけだからな……。大体、ロゼリアだって初対面の俺にやったことなんだ。そんなのお子様レベルなんだし、わざわざ自分からバラす必要もないように思う。言ったら逆に笑われそうだし。

「ルード様……本当に本当に本当になんでもないです?」

「だから、ないって!」

 そういう事情もあり、俺はアイラの攻勢に対してなんでもないと言い張り、『マンホールポータル』で自室へ戻って技能変換を試すことにした。魔力レベル3.3だから、相当に良い効果の能力が手に入る可能性も高そうだ。

「……はあ」

 そうは言ったものの、俺の心は早くも折れかかっていた。ただでさえ魔力のトレーニングで疲れ切っていたのもあり、気力が限界に達そうとしていたんだ。今日はもう休んで明日からにしようか……。

「――お……」

 諦めかけていたまさにそのときだった。気力を振り絞り、動かなくなった懐中時計に『マテリアルチェンジ』を敢行したら、成功したらしくウィンドウが現れたんだ。

 てかこれ、前にも変換しようとしたけど何も起きなかったやつだ。どれどれ……。

『マンホールポータルが強化されました。過去の出来事を思い浮かべることで、一分以内であれば時間を遡行することができます。使い過ぎによる気力の消耗に注意してください』

 おおおっ、今度はマンホールで遂に時間旅行までできるようになったのか……。時間の遡行、すなわち過去に戻れるっていっても一分以内なので効果も限定的だし、わざわざ注意喚起がなされてることから気力の消耗も大きそうだが、それでもこれは普通に有用だ。

 時間を戻す能力はいつか欲しいと思ってたのでかなり嬉しい。それに、今後他のアイテムを技能変換していけばこの能力を強化できるかもしれないしな。

 とはいえ、この能力をなんに使おう? 自分の今の魔力レベルだと、時間を戻すような展開はそうそう考えられないしな……。

「そうだ。があるか」

 俺はポンと手を叩いた。この能力で効率よく従魔を得ようと考えたんだ。魔物っていうのは、かなり弱体化させないと従魔にできない。そのため、従魔にする前に倒してしまう可能性もあった。時間を逐一戻せば、そういうのを避けることができる。

 また、魔物というのはそれくらい弱らせると一層兇悪になって暴れ回るため、障害物にぶつかって自滅する可能性がある。下手するとこっちが窮地に陥る危険性だってあるんだ。従魔にする作業は普通に戦うよりも危険なので、もし何かあったら時間を元に戻せばいい。

 屋敷内で従魔を従えるのは国賊扱いされるので無理だが、遠方なら従魔を連れて歩くことで気分転換になるし、魔物狩りもさらに快適になりそうだ。
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