勇者パーティーを追放された召喚術師、美少女揃いのパーティーに拾われて鬼神の如く崇められる。

名無し

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19.犯人探し

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 いよいよ、俺たちは巨大地下牢の迷宮に足を踏み入れた。

 中は薄暗いものの、五人で並んで歩いても余裕があるくらい充分な幅と、巨人でも通れるような高さがあって、歩きやすいはずなんだがそうじゃなかった。一歩一歩が不思議とどうしても重くなるのは、おそらくこのダンジョンに漂う雰囲気が原因だろう。

 誰かに覗かれてるような、纏わりつかれてるような……そんないかにも邪悪な雰囲気に満ち溢れていた。実際、出てくるのは足枷をつけた囚人服姿の骸骨スケルプリズナー等、アンデッド系のモンスターばかりだしな。

 ただ、ここのモンスターは初心者用のダンジョンってだけあって、見てくれは怖いが基本的に雑魚ばかりなんだ。

 俺は勇者パーティーに所属してた頃ここに一度だけ行ったことがあって、その際は幼馴染の僧侶ミーヤが空気が陰鬱だからと嫌がり、戦士バイドンもでかい図体を震わせながら怖がってて、勇者マイザーが宥めていたのを思い出す。

 そうだ……確か地下十階層辺りまで行って、強敵のサイクロプスに苦戦してる最中に俺がやかんで倒したあと、周りの冒険者に笑われて引き返したんだった。散々味方から間抜けだの赤っ恥だの罵られたが、あれで怖さも大分紛れたと思うんだがなあ。あいつら、今頃元気にしてるだろうか?

 確かに不気味だが、正直個人的にこういう場所は嫌いじゃない。俺が悪党になりつつあるせいもあるのか、むしろ好きになりそうなくらいだ。今じゃこうして自分を追放した勇者パーティーを気遣う余裕さえあるしな。

「ああん、ディル様、リゼ、こわーい……」

「あうぅ、わたくしもですわ、ディル様……」

「ディル様ー、あたしもなのー……」

「あっしもっす、ディルの旦那……」

「お前たち、情けないな。それでも大悪党である俺の仲間なのか!?」

「「「「ひぐうっ……」」」」

 ラルフは俺の後ろに隠れ、リゼ、ルリア、レニーは俺にしがみつきながら歩いている。女の子三人衆はまあわかるがラルフくらいの大の男がなあ。まあそれくらい俺が頼りになる男になりつつあるってことかもしれない。なんせ巷じゃ【魔王の右手】だなんて言われてるくらいだからな。

 ……っと、それどころじゃなかった。今は犯人探しに集中しないと。ただ、この状況だとろくに先に進めないしモンスターだって倒せない。俺の召喚術はここぞってときに使うもんなんだから、雑魚はこいつらに倒してもらわないとお話にならない。さて、どうしたもんかな……。

 そうだ、こいつらを動かすためのいい手段が見つかった。これは俺が【魔王の右手】だからこそ思いついたことだ。

「おい、お前ら……なんでも俺任せにするつもりか? 動かないなら、わかってるだろうなあ?」

「「「「えっ……?」」」」

「【魔王の右手】を食らええええぇぇぇぇっ!」

「あっ……やあぁん、そんな汚いとこ、ダメッ。リゼ、変な気持ちだよぉ」

「そ、そんなに揉んじゃだめぇん、ですわぁ……」

「ん、んんぅ、おし、り、さわさわ、ダメー。とっても感じちゃうのおぉぉー」

「んほおぉっすうう……♡」

 俺は、リゼ、ルリア、レニー、ラルフの色んなところを、右手で直に触ることによって刺激してやったんだ。

 もちろんセクハラではなく、これはだ。正直、ラルフのシャツの下に右手を滑り込ませて胸毛を触ったときはこっちまでゾッとしたもんだが、理性を失わないためにはこうした中和行為は必要不可欠だからな……。

「――ぐっ! あっしが耐えてるうちに倒すっすよ!」

「そおれぇっ! ファイアボール!」

「スピードアップ! プロテクト! ヒーリング……!」

「ブレードクイッケン! せやぁー!」

『『『『『ウギャアアァァッ……!』』』』』

「……」

 異形どもの断末魔の叫び声が響く。戦士ラルフ、魔法使いリゼ、僧侶ルリア、剣士レニー、みんなそれまでとは見違えるように動きがよくなって、タンク役のラルフに集ったモンスターをサクサク倒すことができていた。

 これならダンジョン探索もスムーズに行きそうだが、逆に強すぎてプレイヤーキラーが敬遠しないかっていう不安も出てきたから困りものだ……。
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