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最終話 道具屋のおっさん、一つになる。
しおりを挟む今から俺たちが向かう場所はもちろん、神様のいるところだ。
散々悪人モルネトが世話になったし、最後にちゃんとお礼を言わなきゃいけないからな。魔王討伐だのなんだのはそのあとでもいいだろう。
大通りを左方向に向かってしばらく歩くと見えてきた。例の怪しい灯りが……。
「――よく来たの、モルネト」
「……なっ……」
神様、今度はどんな恰好をしてるのかと地味にワクワクしてたんだが、やっぱり最後まで楽しませてくれた。ローブを着ているだけのように見えて、そのお腹がぽっこりと膨れていたのだ……。
「「「わあぁ」」」
「……ちょ、ちょ、くすぐったいから止めぬかお前たちぃ!」
エレネ、リュリア、ミヤレスカが興味津々で神様の大きなお腹を触っている。
「今度はボテ腹かよ神様……」
確かに幼女のボテ腹とか好きなやつはいそうだが、いくらなんでもニッチすぎる……。
「……へ? なんかお前たち、色々勘違いしとるようじゃの……」
「「「「ええ?」」」」
「これを見るがよい!」
神様がドヤ顔でローブを脱いで全裸になると、そこにはリュックがあった。
「……神様、これは?」
「わしが一旦神を休止し、下界で人間としてお前たちと旅をするための服や道具一式、おやつのバナナ等が入っとる」
「な、なんで……」
「な、なんでって……わしがモルネトのことがだーいしゅきじゃからに決まっとるじゃろ……。バカァ!」
「……」
悪人モルネトよ、神様にここまでさせるなんて、お前はどこまで罪深き男なんだ……。
「ふぅ。モルネトはとんでもない勘違いしとるのお」
「ど、どういうこと?」
「もう気付いておるはずじゃ。光があるところに常に影があるように……一枚のカードに裏と表があるように……悪人モルネトも善人モルネトも、どっちもお前自身の真の姿なのじゃ」
「……どっちも、俺自身……?」
「そうじゃ。お前は何か都合が悪くなるとすぐ悪人モルネトに頼るくせに、そんな卑怯者が善人だと言い張るのか?」
「……あ……」
そういえば、俺は何かあればすぐ悪人モルネトに頼っていたような気がする。これじゃ神様の言う通り、善人とは言えないよな……。なるほど、見方次第では善人も悪人もあまり変わらないような気がする。そこには善と悪、両方の性質をその場その場で巧みに切り替え、利用するモルネトがいるだけだったのか……。
「よくぞ理解した、モルネト……」
「神様、それに仲間……いや、性奴隷たちのおかげさ……」
「わしも性奴隷にする気じゃな……」
「やってやるぜ!」
「ホッホッホ……こんの罰当たりめが!」
俺たちは大いに笑った。
「……ふふっ。モルネトさん、私、あなたの暴力的なところも優しいところも大好きですよ」
「……エレネ……」
「……モルネトさん……」
「「ちゅうううぅぅっ……」」
俺とエレネのキスは永劫に続くかのようだった……。
「「「じー……」」」
「……はっ……」
リュリア、ミヤレスカ、神様の三人がじっと白い目で見ていた。しゃーねえな。善と悪が一つになった記念にみんなとアレやるか……。
「「「「「ちゅー……」」」」」
クインティプルキッスの大成功とともに、俺たちは祝福の白い光に包まれた。気が付くと、明るい大通りの中央に立っていた。ようやくループの輪から抜け出せたようだ……。
「「「「ジーク・モルネト!」」」」
「……お前ら……」
エレネ、リュリア、ミヤレスカ、カミサマ……いつの間にか全裸になって俺を囲んでいた。まったく、性奴隷どもは気合が足りん。俺が手本を見せてやる……。
まず、全裸になるのはもちろんのこと、歯茎と覚醒キノコを剥き出しにして腰に両手をやる。
「ジイイイィイィイイイイィィイイイクッ……モルネェエトオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォオオ!」
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