道具屋のおっさんが勇者パーティーにリンチされた結果、一日を繰り返すようになった件。

名無し

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六十四話 道具屋のおっさん、平和を守る。

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「それにしても、ミヤレスカ。お前よく勇者パーティーを抜けられたな……」

「ええ。モルネト様と結婚すると言ったら、みんな笑って許してくださいましてよっ……」

 あいつらって結構適当なんだな……。

「ミヤレスカさん……勝手なことしないでください。モルネトさんと結婚するのは私です」

「……あら。まあまあ、エレネさん、あなたみたいなお子様では、モルネト様も夜のスエェックス……失礼、営みが物足りないと思いますわよ?」

「むうぅ。確かにつるぺたですが、そこは技術でカバーしますっ……」

「お黙りっ」

「……」

 争ってるのかじゃれ合ってるのかよくわからない会話だ。まあエレネもミヤレスカもず俺の性奴隷の仲間だしな……。

 ……って、性奴隷? 悪人モルネトの真似をしたせいか、とんでもないことを考えてしまった。これじゃやつと変わらん。反省、反省……。

「お前たち、これからみんなと会いにいくぞ」

「いいですねぇ」

「魔王討伐の準備ですわねっ。クリスたちより先に倒してしまうのも面白いかもしれませんわ……」

「あ、ああ……」

 そういや悪人モルネトのやつそんなことを言ってたな。俺としては道具屋を経営したいんだが……。そういや、俺たちの記憶が維持されてるってことは、まさか……。

 試しに雪にまみれた石を拾い、空に向かって投げてみたんだが、物凄い速さで飛んでいった。……どうやらレベルもリセットされてないっぽいな……。

 駅に到着し、しばらく待っていると馬車がやってきて例の三人家族が降りてきた。悪人モルネトが散々迷惑をかけたんだよな。俺が代わりに謝っておくか……。

「すまなかった……」

「なんだ? 君は。おかしな人だなっ!」

「まったくザマス……貧すれば鈍するザマス……」

「おじさん、貧乏は辛いだろうけど、がんばれー!」

「「「わははっ!」」」

「……」

 なんかむかっと来た。

「――いでえ! うわーん!」

「「リューク!」」

 とか思ってたら、俺が投げた石が今更落ちてきてデブガキの頭に当たった。すげー痛がってる。ざまあねえなあ……って、俺これじゃ悪人モルネトみたいじゃないか。猛省だ……。

 馬車に乗り込み、武器屋『インフィニティ・ウェポン』を目指す。

「出発しますじゃ」

「……」

 御者の爺さん、すげーちんたらと馬車を走らせてる。

「ふわぁ……」

 しかも眠そうに欠伸までしちゃって。あー、腹立つな。急がせたい。でもそれだと悪人モルネトみたいだしなあ……。

「モルネトさん、私が脅しましょうか?」

「いえいえ、私がやりますわっ」

「……」

 いかん。こいつらの手を汚すわけには……。

「俺がやる」

「「はい!」」

「おいこら爺さん、とっとと走らせろ! ぶっ殺すぞ!」

「……は、はいですじゃっ! お慈悲をっ……」

「早くしろ!」

「ハイヤアァァッ!」

 よしっ。気持ちいいくらい馬車が加速していく。爺さん、悪く思うな。あくまでもこれは演技だ。演技なんだ……。



 ――武器屋『インフィニティ・ウェポン』に着いたわけだが、急に店の中から誰か飛び出してきたと思ったらリュリアだった。

「モルネトどの! エレネどの! ミヤレスカどの! 待っていたぞ!」

「やっぱりリュリアも記憶が残ってたんだな」

「はい。それでモルネトどのの道具屋を目指そうかと思ったのだが、道がわからなくて、迷子になるくらいならここで待とうと……」

「……」

 リュリアは方向音痴なのかもしれないな。騎士団の道具屋襲撃のときも一人だけ遅れてきてたし……。

「あ、あの……」

「ん? なんだ、リュリア」

「唇を頂戴したい……」

「あ、ああ……」

「「ぶちゅっ……」」

 あれ? 俺の手が勝手に彼女の大きなおっぱいとお尻に……。

「……んっ……ん……」

 俺、本当に善人モルネトなのか……? い、いや、リュリアの体があまりにもけしからんのが悪いんだ。俺は悪くない……。

「「じー……」」

「……」

 エレネとミヤレスカが冷たい目を向けている。紛争に発展しそうな気配だな。仕方ない。これはこの場を穏便に済ませるための手段なんだ……。

「「「「ちゅううぅ……」」」」

 俺は仕方なく、クアドロプルキッスで平和を守った……。
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