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五十九話 道具屋のおっさん、色々いらなくなる。
しおりを挟む「おっさん、だと……」
俺を見たアルタスの目が驚愕で見開かれると同時に、その股間がむくむくと盛り上がった。
……認めたくないが俺よりでかい。こいつは……殺さなきゃダメだ。この世に生きてちゃいけない存在なんだ……。
「アルタス、ここからいなくなれええぇぇっ! ……ぐううっ!?」
「フンッ……」
なんてこった。やつが放ってきた火の玉……ミヤレスカのバリアがあっても、自分を水属性に変えてもクッソ熱い……。それでも、もう少しの我慢だ。やつの姿が間近に迫ってきた……。
「エレネエエェッ!」
「はいっ……!」
俺がエレメンツカードでアルタスの属性を火に変えた直後、エレネの氷結剣が凍てつく波動を放つ。
「何っ……?」
驚愕の表情のままアルタスが凍るが、すぐ溶けてしまった。弱点属性の火属性になったことで0.5秒程度氷結時間が伸びただけだった。それでも今の俺には充分な時間だ。
「つらぬけええぇぇぇぇぇええっ!」
「……むごぉっ……」
やつが向けてきた手から火の玉が現れたときには、俺の迅雷剣が胸板をズブリと貫いていた。
「勝った……勝ったぞおおおぉぉっ!」
俺は拳を突き上げて喜びを表現する。一方でアルタスは両膝を落とし、既に息も絶え絶えだが、股間は激しく隆起したままだった……。
※※※
「満足したか? ハメガキ」
「はい。とても気分がいい……」
リュリアがアルタスの口に入れた氷結剣を満足げに抜き抜くと、ブリザードによってやつを氷漬けにした。放火魔に相応しい死にざまといえるだろう。勃起したままっていうのも最高に笑える。
「「ちゅうぅ……」」
もちろん氷像前で勝利のキスも忘れない。
彼女がとどめを刺したことで、俺たちのレベルは滅茶苦茶上がったのがわかる。まあもう最大の敵であるアルタスを倒したわけだし、レベルを上げる必要もステータスをいちいち確認する必要もないがな。パーティーカードもステータスカードもいらないし神様に返すか。あと、逃げ隠れする必要も小細工する必要もないから透明カードやエレメンツカードも。
「兄さん……」
エレネがアルタスの氷像前で切なそうに佇んでいた。まあ気持ちはわかる。こいつの異母兄妹なわけだからな。オルグ兄さんに関しては毎日死んでるからもう慣れてるだろうけど。
しかも、だ。勇者パーティーを殲滅したことで俺は無限のカードも神様に返却しようと思っている。つまり、ミヤレスカを除いた勇者パーティーはもう生き返らないってことだ。これからは毎日違う日が待ってるわけで、早く見てみたいから覚醒カードもいらないな。
「ヒールッ! モルネト様、これからどうするおつもりなのです?」
「そりゃ、エクブス。俺たちが魔王を倒すに決まってるだろ? ちょうど勇者の末裔もいるんだしさ」
魔王は女の姿をしていると聞いたことがある。当然、ぶっ倒して俺の性奴隷にするつもりだ。これからは自分で運命を切り開ける自信があるし、そのうち神に等しい存在になれるだろうから占いカードもスターカードも返してしまうか……。
「さすがモルネト様、素敵なのです……」
「「ちゅー……」」
お次はミヤレスカとの祝福のキスだ。
「……じー……」
気が付けばエレネがじっと側で見ていた。
「なんだ、エレネ。もう兄さんとのお別れは済んだのか?」
「はぃ。私もモルネトさんと早くチューしたいです……ちゅー、ちゅー……」
エレネが爪先立ちで俺とチューしようと必死だ。
「ったく。ウサビッチは節操ねえなあ」
「「ちゅうぅううっ……」」
エレネとは特別に長くキスしてやる。長く俺を支えてくれた嫁(ペット)だからな。
「エレネどの、ずるい」
「ずるいですわ……」
「ったく、しょうがねえなあ……行くぞ!」
「「「「ちゅー……」」」」
最後はクアドロプルキッスで優雅に決めてやった。……もうこいつら、俺が黙ってても勝手に吸い付いてくるレベルだし、吸盤カードも必要ないな。そういや、町が壊滅状態になってるけど、火も収まってきてるしまあいっか……。
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