道具屋のおっさんが勇者パーティーにリンチされた結果、一日を繰り返すようになった件。

名無し

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五十三話 道具屋のおっさん、お仕置きする。

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「なら、僧侶ミヤレスカ。オラの力、ここで試してみっかぁ?」

「……はい? 今なんて言いました? くすくすっ……」

 こいつ、この状況で笑ってやがる。少しも怯んでる様子がない。オラ、すっげぇワクワクしてきたぞ……。

「……ジーク・モルネトの偉大なる力を試してみるかって言ってんだよ、このエクストラクソブスがよぉ……」

「……は、はあ? え、エクストラ……クソ、ブス……? 私がそうなら、あなたはエクストラ底――おごっ……」

 オラの拳が唸りを上げてミヤレスカの腹部にめり込んでいった。ミヤレスカの余裕ぶった目が驚愕で見開かれるのがわかる。

「……くぉっ……? この、威力……な、何故ぇ……エクストラヒールッ……!」

 やっぱり特上のヒールじゃねえと回復が間に合わねえみてえだな。でもそれってよぉ、普通のヒールと違って連打できなさそうだよなぁ。顔も歪んだままで焦ってるの丸わかりだぞ……。

「ほらな、オラの言った通り、やっぱりおめぇエクストラクソブスじゃねえか……」

「……はぁ、はぁ。うえっぷ……何故……道具屋のおっさんごときにこんな力が……」

 まあそりゃ驚くか。俺の見た目はただのおっさんだし……。

「次は手加減しねぇ。さー、耐えろよ……」

 俺は両手でファイティングポーズを作ってミヤレスカを見下ろす。

「え、ちょ、ちょっと待ってくだ――」

「オラオララオラオラオラオラオラロアオラオラオラオアアロオアッラオアロラオラオアロアロアロアオッラオアロアオラオアロロアラオラオラオアロオアラオロローラッ!」

「ヒールヒールヒールヒールッ! ヒルヒルッルヒルッルヒルルルヒルルヒルヒッルアラヒッラララアララリャヒリャヒリャアアァァッ! ァッ……?」



「――フシュウウゥ……」

 狂気オラオラモード解除。正常モード移行。冷却開始……。

 気が付くと、俺は変わり果てたミヤレスカを見下ろしていた。異臭が鼻を突く。ヒールをする精神力も尽きて小便まで漏らしやがったか。

「ひゅぅ、ひゅー……」

 かろうじて意識だけはある感じだった。かなり酷い状態だな。もうちょっとで殺すところだった。そろそろだと思って止めて正解だったな。

「ミヤレスカさん、羨ましいです……んっ……」

 エレネ、ズタボロの僧侶を見ながら自分で弄ってやがる。ビッチすぎだろ……。

「ほら、リュリア、こいつに恨みがあるだろ」

「はい。……いい気味だ。鬼畜め……」

 リュリアがミヤレスカの顔に片足を乗せて勝利宣言だ。俺とエレネもブス顔に足を乗せてやった。

「「「ちゅー」」」

 その際、トリプルキッスも忘れない。

「――あ……」

 しばらくしてミヤレスカが目を覚ました。ここからが大事だ。俺はすぐさまこいつの長ったらしい髪を掴んで持ち上げた。

「ひっ……あ、あの、なんでもしますので、殺さないでほしいのですっ……」

「なら裸になれ」

「は、はい。今すぐ……」

 こいつ、震えながらもスムーズに脱いでる。ビッチの素質は充分だ……。

「いいか? 逃げようとしたり許可なく回復したりしたら、またボコボコの刑だからな。今度こそぶっ殺すぞ」

「わ、わかりましたの……」

 おっ、こいつ結構胸大きいな。リュリアほどではないが。

「ひぅ……」

「隠すな!」

「は、はいです……」

 ミヤレスカがおっぱいと股間を隠そうとしやがったから怒鳴りつけてやった。ほお、小柄なのに薄く生えてるんだな。色んな意味で生意気なやつ……。

「ひっ……」

 ナイフで剃って綺麗にしてやった。これでペェペン三姉妹ってわけだ。

「おい、ミヤレスカ。これからおめぇはオラたちと一緒に勇者パーティーを殲滅する。異論はねぇな?」

「も、もちろんなのです。もちのろんですっ……」

 こうも簡単に寝返るんだな。まあ偽勇者パーティーの絆なんてこんなもんか。
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