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四十五話 道具屋のおっさん、ヒントを聞く。
しおりを挟む「ま、まさか、モルネトどのが本当に神の関係者とは……」
リュリアが戸惑うのも無理はない。これから俺たちは神様のところに出向くのだからな。まあ今や向こうから来るようになってるレベルだが。
「リュリアさん。モルネトさんは、神様からも好かれてるんですよ」
「なんと……」
リュリアは目を丸くするばかりだ。
……っと、噂をすれば来た来た。例の灯りが近付いてくる。
「ははあっ」
リュリアのやつ、ひざまずきやがった。まあ仕方ないか……。
「――ふっふっふ……」
俺たちの前にツインテールの幼女が現れる。おや? 神様、いつものようにドヤ顔だが普通のエプロンをつけてる。恥じらい路線を諦めてしまったんだろうか……。
「こ、これが神様……? ただのお子様にしか見えない……ププッ……」
「こりゃ、リュリアとやら、それ以上笑うと天罰を下すぞ!」
「ひいっ!」
「まあまあ神様、そんな色気もひったくれもない姿なんだし仕方ないよ」
「そう言うと思っとったぞ、モルネト!」
「ん?」
「これを見るのじゃああああぁ!」
「「「なっ……」」」
神様が俺たちに背中を見せたわけだが、何も着てなかった。すなわち、後ろ半分だけ裸だったのだ……。
「どうじゃ、裸エプロンというやつじゃ。参ったか! ホッホッホ――」
「「「――ウププッ……」」」
「な、なんで笑うんじゃ……!?」
ダメだ……。声を出そうとすると笑ってしまう。胸もお尻も大きいリュリアがやるならともかく、幼女がこれやっちゃうと貧相なだけに見えてキツい。こんなんじゃ前の恰好のほうがマシだよ神様……。
「……ぬう。外したか。ギャップ萌えとかいうのを狙ったんじゃが……」
ギャップ……? はー、また意味をはき違えちゃってるな。
「ふむう。難しいのう。恥じらい道というのは……」
「どうせならリュリアみたいに巨乳にすりゃよかったんだよ、神様」
「……嫌じゃ」
「なんで?」
「おっきなおっぱいはなんとなく恥ずかしいから嫌なのじゃ! 陰毛も同様! つるぺたなら平気なのじゃあぁ!」
「……うぅ。神様、それ私への当てつけですか……」
「ふむぅ?」
エレネが胸を押さえてうずくまっている。ずっと一緒にいる俺だからわかるが、かなり精神削られてるな、ありゃ……。
「神よ。意見を言わせていただくが、この胸が恥ずかしいとは、人聞きが悪い……。このおっぱいは恥ずかしくなどない!」
胸を揺らしながら自信満々に吼えるリュリア。この子も大分ズレてるなあ。
……っと、そろそろカードを貰わないと、ループのスタート地点に戻ってしまう。
「ホッホッホ。モルネトよ、引けるのはあと四枚じゃからな」
「あ……」
そうだった。しかもそのうちの一つは決して引いてはいけないカードだったか。
「この辺で止めとくか? わしに会いに来るだけでもいいじゃろ?」
「……」
とはいえ、勇者パーティーはただレベルが高いだけじゃ倒せそうにない。実際、2026の迅雷剣の電撃がほとんど効いてなかった。だから勝利を確実にするためにもっと有用なカードが欲しいのも事実だ。
「ふむう。じゃあ引くがよい」
「あ、ちょっと待って神様」
「なんじゃモルネト、臆したのかの?」
「いや……引いてはいけないカードの効果、教えてほしいんだけど」
「効果は秘密じゃ!」
「……ヒントだけでも……」
「ダメじゃっ」
「……そこをなんとか……。神様、可愛いよ。ちゅー」
「ちゅ、ちゅうぅ……。ば、バカァ! ヒントが目的なだけの癖にぃ!」
「……」
神様、俺とチューしてる間めっちゃ幸せそうな面してたのに、急にツンモード入れてきちゃって素直じゃないなあ……。
「う、うるさいわい! ヒントならくれてやる! このわしじゃ!」
「……えっ……」
どういうことだろう? まさか、本当に神になれるカードじゃないだろうな……。もしそうなら、もうカードを引く必要もなくなる。当然、俺はここに来なくなる。だから神様が引いてはいけないとカードって言ってるんじゃ……?
「……想像にお任せするわい!」
「……」
ただ、神様にとってそんなリスクのあるカードをここに並べるとも思えないんだよな。
引いたら、俺の持ってるカードが全部なくなって神様の下僕にされるとかのほうがありえそうだ。さすがにそれは嫌だしやることはやっとくか……。
「エレネ、ステータスカードで三人の数値を見てくれ」
「え?」
「誰が一番運がいいのかをな」
「あ、はい……」
その結果、運の数値が7895とずば抜けていたリュリアがカードを引くことになった。
「では、参るっ……」
リュリアがカードを引き、神様に見せる。
「おおっ、それは……」
神様、驚いた顔をしてる。おいおい、それは? それはなんだよ……ああああっ、景色が歪んでいく。また説明を聞く前に道具屋に戻っちゃうのか……。
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