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三十六話 道具屋のおっさん、納得する。
しおりを挟む「異父兄妹……?」
聞き慣れない言葉が俺の耳を突く。
「はい。オルグ兄さんと私は、母親は同じですけど父親が違うんです……」
「……ってことは、エレネの父親は……」
「モルネトさんでも抜くことができなかった剣を抜いたわけですし、召喚された勇者……なんでしょうね。私も知らなかったことです……」
夕闇の中、エレネは氷結剣を手に呆然としていた。
「じゃあ今の勇者クリスは偽物ってことか……」
「でしょうね」
多分、勇者の末裔が名乗り出ないことをいいことに、どっかの高級貴族のボンボンが勝手に勇者として担がれたんだろうな。凄く納得できる話だ。
「しっかし、なんで勇者が武器屋なんかと結婚したんだ……」
結婚した理由はわからないが、貧乏だったオルグの武器屋が急に金持ちになったのはこういうことだったんだな……。
それにしても、オルグの母親は確かに美人ではあったが、性格はとてもじゃないが良さそうには見えなかった。普段からオルグと一緒に自慢ばかりして、俺と母さんを鼻で笑って心底見下してたし、そのことを隠す気もなかったからな。
性格も容姿もいい子なんていくらでもいるだろうに。しかも勇者なら選り取り見取りだと思うんだが、なんでよりによってあんなやつと結ばれたんだか。
「そういえば、母は言ってました。私は浮気性で最初の旦那に逃げられたけど、そういうのがいいんだって言ってくれる人がいたって」
「どういうことだ?」
「その……お父さんは寝取られ性癖だったみたいで……」
「……」
NTRか。さすが勇者。性癖も変わっている。というかエレネの母親、最初の旦那に逃げられるくらいビッチなんだな。そりゃ娘もウサビッチになるか。
「もしかしてこの迅雷剣も、父親が?」
「そうです。冒険者時代に洞窟の中で偶然見つけたって言ってましたが、多分勇者として最初からずっと使っていたものなんでしょうね……」
「……なるほどなあ」
よく考えりゃこれも伝説の武器なわけで、オルグがどんだけ頑張ろうとゲットできるはずもないんだよなあ。
「なんで勇者であることを黙ってたんだろうな」
「もしかしたら、父は一般人として生きたかったからなのかもしれませんね。それに、自分が勇者だとわかれば家族も巻き込むことになりますし……」
「……なるほど。魔王討伐なんてよく考えりゃ命がけだろうしな。それを自分の息子や娘にさせたくないのは当然か」
「ですねぇ……」
「エレネ、お前は勇者の末裔として生きることを選ぶか? それとも、俺の性奴隷として生きるか?」
「……断然後者です。私はただのドスケベなウサビッチです……」
「それでいい」
「「ちゅうぅぅ……」」
……っと、いちゃいちゃするのはいいがもう夜になりそうだ。パワーアップしたスノードラゴンに食べられてしまう前に自害しよう。
「んじゃ、死に戻りするか」
「ですねっ」
もう全裸になってるエレネはよくわかってる。早速彼女をパーティーから外した。
「エレネ、迅雷剣と氷結剣、どっちで串刺しされたい?」
「……んー。このぶっといのでお願いします……」
「好きだなあ、ホント……」
「はぃ。ひゃうっ……」
氷結剣をエレネの小さなひび割れにあてがうと、冷たかったのかとても可愛い反応をしてくれた。
「んじゃ行くぞ?」
「はーい」
「「ちゅっちゅ……」」
「――ごひゅっ!」
キスをしながら一気に氷結剣をエレネの体内に侵入させてやる。脳天を突き抜ける前にはもう白目剥いて、色んなの垂れ流して……ホントいい顔で死んでる……。ただ凍らなかったな。あれか、迅雷剣と同じ要領で、振るとブリザードが出て相手を凍らせる感じか。
「エレネ、可愛いよ。ちゅー……」
「……」
反応がない。ただの屍のようだ。
さー、次は俺の番だ。とりあえず全裸になると、エレネの死体を引き摺って山のてっぺんから飛び降りた。
「ジイィィィィイイイイック! モルネートオオオオオオォォオォォォォオオオオッ!」
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