道具屋のおっさんが勇者パーティーにリンチされた結果、一日を繰り返すようになった件。

名無し

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三十三話 道具屋のおっさん、精を出す。

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「……うぐっ。レベル幾つになった? エレネ……」

「……ひゃっ、125です……んっ……」

「おー、すげーなあ……はぁ、はぁ……」

「も、モルネトさんのほうが凄いですよ……ん……もぉ359レベルですから……」

「「ちゅー……」」

 確かに夜のフィールドの経験値は凄く美味しかった。

 でも俺としては、散々ゾンビアタックしたのにこんなもんかという感じだ。まあ元々がスライムとかだしな。スノードラゴンを初めて倒したときの感動に比べればかなり落ちる……っと、そろそろ秘密道具のイツデモキノコがポーションを精製しそうだ……。

「――で、出るぞっ。エレネッ! ポーション出すぞ!」

「は、はぃ。ください。モルネトさんの熱い白ポーションいっぱいください! ――ひゃうぅっ……!」

「……ふうぅ……」

 勢いが良すぎてかなりエレネにかかったが、十五個めの特性白ポーション(満タン)完成だ。勇者パーティーに献上するものだからかなり頑張ったつもりなんだ。ちょっと余計に作りすぎたかもしれんが……。

 レベルが上がって体力が有り余ってるのもあるし、エレネが協力してくれるから作成も早い早い。359レベルだと、イツデモキノコから精製される量もこんだけ上がるんだなあ。

「……あの……」

「ん? どうしたエレネ」

「……今度は直でポーション飲んでもいいですか……?」

 エレネ、目をうるうるさせてめっちゃ物欲しそうに見上げてくる。しょうがねえなあ。

「贅沢なやつだな。わかった、飲ませてやる」

 もうそろそろ朝が来てしまうからな。さすがに疲れてきたし、これで最後フィニッシュだ。

「わあい。モルネトさん大好き……」

「本当にスケベだなあ、エレネは……」

「はい、ドスケベです……」

「正直でよろしい」

「「ちゅうぅ……」」

 ――出るぞ出るぞ……ファイナルッ……エクストラッ……ミラクルッ……ハイポーションッッ……!

「うっ! 完成だああぁぁぁぁ! 飲め! 飲めっ!」

「ゴクッゴク……」

 最後のポーション精製はエレネの口内で約1分間も続いた。さすがに出すぎだろう……。

「……ふぅ。私お腹いっぱいです……幸せ……」

『父さん、お休み……』

 お腹が膨らんで幸せそうなウサビッチとは対照的に、俺も息子もかなりげっそりしていた。さすがにもう打ち止めか……。



 ※※※



「おげええええぇぇぇっ!」

「ヴォエェェエエッ!」

 やっぱりこれを聞かないと一日が始まらない……。

 本当は勇者クリスや戦士ライラだけじゃなく、魔術師アルタスや僧侶ミヤレスカにも一矢報いたいんだけどな。順番的にミヤレスカは回避してしまうし、アルタスはむしろ喜んでしまう……。まあこいつらへの制裁はあとのお楽しみってところだ。

 というわけで、俺たちは馬車を使って近くの山に向かうことにした。やっぱ今の旬はスノードラゴンでしょ。

 駅で例の家族が乗った馬車がやってくるのを待ち伏せして、下りてきたところを迅雷剣でまとめて仕留めたあと、御者の爺さんを脅して乗り込んだ。なんていうかもうこういうことに慣れ過ぎて欠伸が出るくらいだった。爺さんはいつものようにプルプル震えてたが……。

「おい、わかってるな? 爺さん……」

「は、はいですじゃ……」

「あ、モルネトさん、ちょっと待ってください」

「ん?」

「今回は私が脅します」

「ええっ? エレネ、お得意の悲劇のヒロイン役やらないのか……」

「それもいいですけど、私もモルネトさんみたいに悪人やってみたくて……」

「……」

 このウサビッチ、どこまで進化するんだ……。

「おじいさん……見ての通り私たちは凶悪犯ですっ。大人しくしないと命がないですよ……」

「……は、はいですじゃ。お慈悲を……」

 爺さん、肩震わせてすげー怖がってる。どんだけ臆病なんだ。エレネなんて確かにレベルは高いが見た目はただの女の子なのに……。

「……てへっ。やっちゃいました」

 俺に向かって小さく舌を出すエレネ。なんだか新鮮なもん見たなあ。

「頑張ったな、エレネ。ご褒美をやろう」

「はぃ……」

「「ちゅうぅ……」」

 これから先どんなに未来が変わろうと、俺たちの愛は永遠に不変だ……(ドヤッ。
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