道具屋のおっさんが勇者パーティーにリンチされた結果、一日を繰り返すようになった件。

名無し

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三十一話 道具屋のおっさん、ダメだしする。

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「今日はなんのカード貰えるだろうなー、エレネ」

「んー、わくわくしますねぇ……」

「ああ……」

「「ちゅー」」

 神様のところに行く前にエレネと今日最後のキスだ。ここまで来て、嫉妬されてカードを貰えないなんてのが一番困るからな。

 武器屋前の大通りを左に曲がって歩いていくと、例の灯りが見えてきた。なんか今回はやたらと早いな。まさか……。

「……モルネトッ、エレネッ、会いたかったのじゃ……」

「「神様……」」

 なんてこった……神様、自分で歩いてきたかと思ったらほぼ全裸で、乳首やアソコをカードで隠している状態だった……。

「前回、恥じらいとか言ったじゃろ!? 今回は自信があるんじゃ。どうじゃ!? ホレホレッ……あっ」

 神様、ニヤニヤしながら腰をくねくねさせるも、カードが局部から落ちてくっつけていた。

「どうじゃー!?」

「……」

 恥じらいってのを完全に履き違えてるな……。

「ど、どういうことじゃ、モルネトよ? カードじゃなくてパンツのほうがよかったということかの?」

「……」

「こっ、心を無にするなモルネト! 焦るじゃろうが!」

「……」

「さ、さては興奮を我慢しておるんじゃな! 遠慮はいらん! ホレホレッ!」

 あ、またカードが取れた。今度は乳首のほうだ。

「……み、見られたのじゃ。アソコに加えて乳首っ。こっぱずかしいのじゃー」

「恥ずかしそうに見えないんだけど?」

「いやん。恥ずかしいのじゃー。ホレホレッ。どうじゃ。興奮したか? ありゃ……勃起しとらんな……」

 神様、俺の股間を近くで凝視している。

「クンクン……」

「どさくさに紛れて匂いを嗅ぐな!」

「め、メンゴ……」

 神様、明らかに動揺してるな。俺がまったく興奮してないからだろう。

「お、今心の声が聞こえたぞいっ。どういうわけじゃ、変態モルネトのくせに……恥じらいを覚えたわしに興奮しないのはおかしいのじゃ……」

「……フフ……下手だなあ、神様ちゃん、下手っぴさ……」

「な、なんじゃと……。折角モルネトのために頑張ったというのに……バカァ……」

「……」

 また神様のツンモードが発動してしまった。

「神様、機嫌直してくれよな。ちょっと勉強不足なだけだよ」

「うう。嫌いじゃ。モルネトなんて大嫌いじゃ! バカッ……!」

「……でも、好きなんだろ?」

「……だ、だーい好きなのじゃ! ふんっ、でもだーい嫌いなんだからね、なのじゃっ!」

「……」

 神様、色々混じっててカオスなことになってるな……。

「よーし、俺が恥じらいってのを教えてやる」

「えっ?」

 神様の背後に回り込んで抱っこしてやる。

「ちょ、ちょっと、何をするのじゃ!?」

「さあ、神様。ここでおしっこしろよ」

「……ぇ……」

「できるだろ?」

「い、嫌なのじゃっ。さすがにそれは恥ずかしいのじゃあっ……」

 涙目で首をブンブンと横に振る神様。

「ウププッ……」

 エレネが口を押さえて笑ってる。

「神様、それが恥じらいってもんなんだよ。これは極端な例だけどな」

「……な、なるほどのぉ。もうちょっと恥じらいというものを勉強をする必要がありそうじゃ。それにしても、まさか童貞のモルネトにそんなことを教えられるとは思わんかったわい……」

「神様、それよりカードを……」

 もう何気に時間がなさそうだ。ループの輪のスタート地点に戻ってしまう……。

「あ、そうじゃ。ほれ、わしの体についたものから選ぶんじゃっ」

「んー……じゃあこれっ」

 局部のカードを取って神様に見せた。

「……ほほー。これはパンティ……いや、パーティーカードじゃな」

「「パーティーカード?」」

 エレネと一緒にカードを見やると、そこにはなんともシンプルな人形のマークが四つ描かれていた。

「うむっ。そのカードに名前を念じるだけで四人までパーティーメンバーとなり、経験値を共有することができるんじゃっ」

「「おおっ……」」

 エレネと喜んだ顔を見合わせると、神様がプイッと顔を背けるのが見えた。わかりやすいなあ……。

「わかりやすくて悪かったの……。今度はもっと恥じらいを勉強してお主を悩殺してやるから、覚悟しておくことじゃ! ホッホッホ!」

 腰に両手を置いて豪快に笑う神様の姿が歪んでいく。あーあ。乳首を隠してたカードも落ちちゃってるのに。この様子じゃ恥じらいを覚えるのはまだまだ先だろうな……。
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