学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し

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四四話

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「やつらが現れたあぁぁっ!」

「殺されるぞ!」

「逃げろーっ!」

「嫌あぁぁっ! 助けてえぇっ!」

 声がした方向へ向かうと、あちらこちらで村人たちが悲鳴を上げながら逃げ回っているところだった。

 どうやら相当な強さのモンスターが襲来してきたみたいだな。

「「「「「――ギョフェフェッ……」」」」」

「…………」

 ん、まもなく不気味な笑い声とともに俺たちの前に現れたのは、なんの変哲もなさそうなゴブリンの群れだった。

 ファンタジーの世界じゃ雑魚同然のモンスターだと思うが、この世界だと違うんだろうか? 数も20匹ほどで、そこまでいるわけじゃないし。

 あれ? ファグたちが黙り込んでると思って顔を見たら、みんな一様に青ざめていた。

「ユ、ユート、この村はもうダメだ……。そういうわけだから今すぐ逃げるぜっ!」

「えっ……?」

 俺はファグの言ってることが理解できなかった。

「ぼ、ぼ、僕も、早く逃げたほうがいいと思う!」

「わ、わしもじゃ」

「あ、あたしも。逃げるべきだと思うわ……」

 ミア、キーン、リズも例外なくゴブリンたちを前にしてたじろいでいる。妙だな。俺が傭兵としてついているわけで、イモータルモニターの群れを魔法で瞬殺したのを見ているはずだが……。

 しかし、この反応は不気味だと思って、一応ゴブリンたちのステータスを【慧眼】で確認してみることに。
__________________________

 名前 アンチマジックゴブリン
 種族 ゴブリン族

 HP 7300/7300
 MP 1150/1150

 攻撃力 1220
 防御力 1750
 命中力 1200
 魔法力 1150

 所持能力
『魔法無効化』

 ランク 虐殺級
__________________________

 なるほど。やつらのステータスを見て、なんでファグたちが恐れているのかよくわかった。

 魔法が効かない上に防御力も高いなんて、まさに雑魚の皮を被ったチート級のモンスターだからだ。虐殺級っていうのも納得できる。

「あ、あいつらアンチマジックゴブリンは、ゴブリン族の中でも中位のほうだからな。いくらユートでも、ありゃ無理だ。魔法が一切効かねえんだから」

「うむ。しかも、防御力も滅法高いと来た。あんな連中とは絶対に戦ったらダメじゃ」

「う、うん。この村が滅ぼされるのは嫌だけど、命のほうが大事だから……」

「しょうがないわね。あたしたちも早く逃げましょ」

「いや、倒そう」

「「「「え……ええぇっ!?」」」」

 みんなこれでもかと驚いた様子で俺の顔を見てくるが、決して冗談を言ったつもりはない。

「折角キーンに絶影剣をマックスまで精錬してもらったんだから、あいつらで試し斬りするよ」

「で、でもよ、確かにそれはつええ剣だと思うが、ユートは魔法職スキル持ちだろ? 無茶だぜ。なあ、みんなもそう思うだろ?」

 ファグの言葉にみんなうなずいている。なるほど、そういう風に思われてたか。まあ魔法しか使ってないからしょうがない。

「はああぁっ!」

 とりあえず、俺は殺気を込めて横なぎに絶影剣を振るい、ゴブリンどもに剣風とやらを試してみることに。

「「「「「グギッ……?」」」」」

 あれ? 効いてない……? そう思ったら、やつらはこっちに向かおうとして胴体と下半身が徐々に分離し、さらに後ろの樹々までなぎ倒してしまった。

「す……すすっ、すげえええっ!」

「一発でみーんな倒しちゃったあぁ!」

「な、なんという破壊力じゃ……」

「……め、目眩がしちゃったわ。物理でも滅茶苦茶強いのね……」

「…………」

 みんな『ストップ』をかけたみたいに固まってしまっていた。

 俺は元々【攻撃力上昇・大】のおかげで破壊力が抜群にあるわけで、さらに絶影剣の本来の力が解放されたからこれだけのことができたんだろう。

 とはいえ、倒したやつらもあの抜群のステータスで中位のほうなんだから、この世界はどうなってんだと改めて思うのも確かだった。
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