19 / 62
十九話
しおりを挟む「――ガッ……!?」
まず、俺が黒竜に対してやったのは、あらゆるものを氷漬けにする『エターナルスノーデス』だ。
なんせやつは巨体のくせに俊敏すぎるので、とりあえず凍らせることで動きを封じたかった。
「グギャギャギャギャギャギャアアアァァァッ……!」
次に唱えてみせたのは、100回連続で雷が落ちる『ディバインサンダー』で、強烈な稲妻がやつの頭上にこれでもかと降り注ぐ。
「グ……グルルルゥゥ……」
「おいおい……」
それでもまだ生きてるとか、この世界のモンスターは一体どうなってるんだ。しかも氷結が解除されたあと、現在進行形で雷に打たれながらもこっちに迫ってきたので、俺は既に詠唱が終わっていた『アースデーモン』を発動させる。
「ガアアアアアッ!」
手元から繰り出される岩石の乱れうちに対し、やつは全身から血を噴き出して見る見る骨になっていったが、それでも果敢に向かってきたかと思うと大口を開いた。
「コオオオォォッ……」
その奥に不気味な青い光が覗く。まずい、何かブレスのような攻撃を仕掛けてくるみたいだ。そこで俺は『ヘルファイヤ』を放ち、10000度の炎の槍をたっぷりと食わせてやった。この魔法は一番持続するし相当にきついはず。
「ガッ……? ウギャアアアアアアアアアアアアァァァッ!」
燃え上がった黒竜の断末魔の悲鳴がこだまする。骨まで溶けてるしさすがに死んだか。いやー、やけにしつこいモンスターだったな。
お、なんか音がすると思ったら、向こうのほうから馬車が来るのが見えた。
ほどなくして止まると、中から高貴な衣装を身に纏った二人が出てくるなりこっちへ近付いてくる。背の高い女性と、クールな感じの女の子だ。
「そ、そこのお方、も、もしや、あれを一人で倒されたのですか……!?」
「ん、そうだけど、あんたらは一体?」
「あ、失礼いたした。それがしはホルンという名の護衛でありまして、ここにおられるのは王女のプリンさまであらせられます」
「なるほど……」
「……ぷいっ……」
あ、プリンっていう子に視線を逸らされた。やっぱり王女っていうだけあってプライドが高そうだな……と思ったら、手を差し伸べている。握手しろってことかと思って手を出したら、ちらっとこっちを見つつ握ってきた。なんだ、シャイなだけか。
「俺は優斗っていうんだ。よろしく、ホルン、プリン」
「よろしく頼みますぞ、ユートどの!」
「あっそ……。よろしく、ユート。強いのね、あなた」
「あ、そうでもないよ。モンスター一匹倒しただけだし」
「ほぇ?」
「いやいやいや! ユートどの、お待ちくだされ!」
「え?」
「貴殿が倒したのは、災害級のモンスター、アビスドラゴンですぞ!」
「なっ……!」
災害級のモンスターだって?
「それってどれくらい強いんだ?」
「そ、それを知らぬということは、ユートどのはこの世界の人間ではないのですか?」
「うん」
というわけでホルンという女性に説明してもらったわけだが、俺はそこで酷く驚かされることになる。
モンスターの階級は低級、中級、高級、超高級、虐殺級、災害級、大災害級、異次元級、未知級、神級といった具合に十段階まであり、五段階目の虐殺級からは人間が到底かなうような相手ではないので逃げるしかないとのこと。
アビスドラゴンはそれより一段階上なのか。道理でしつこく食い下がってきたわけだ……。
131
お気に入りに追加
1,428
あなたにおすすめの小説

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる