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十七話
しおりを挟む「すや……」
【ダストボックス】へ戻った俺を待っていたのは、テーブルに突っ伏したラビの寝息だった。
美味しそうな手料理が置いてあるから、待ちきれずに眠ってしまったんだろう。『クリエイト』でキッチンや冷蔵庫を作っておいた甲斐があった。ニンジンをふんだんに使ったらしくて赤みが多かったが、味は普通に旨かった。
俺はラビを抱っこしてベッドに寝かせると、部屋の片隅にあるゴミ箱の蓋を開けた。実はこれ、初期からあるもので中はブラックホールになってるんだ。ここに捨てたものは二度と復元できないと表示されたし、【慧眼】スキルでもそれは証明済みだった。
んで、俺がこれからやろうとしてるのは、このブラックホールに向かって作った魔法を試すことだ。ここにならどんな強力な攻撃魔法を何発撃ち込もうと、無に帰すだけで周りのものが壊れるリスクはないからな。
そういうわけで、俺は早速【魔法作成】で色んな攻撃魔法を作って試すことに。
うーん、ああでもないこうでもない……。
魔法の威力や範囲を大きくしすぎると、詠唱時間やMPの消費量も増大するため、威力を抑えめにして対象は単体のみですぐ発動する魔法を作るほうがよさげだ。
ちなみに、一度作った魔法を消すには同じ魔法を作ればよくて、そうすることで相殺されて消えるみたいだ。
「――ふう……」
こんなもんでいいかな。かなり精神力、すなわちMPを消耗したこともあって、俺は『マジックリカバリー』を使って全快させた。
途中で【魔法作成】のレベルも上がったし、久々にステータスを覗いてみようか。
__________________________
名前 如月 優斗
HP 23015/23015
MP 7018/7018
攻撃力 1057
防御力 1215
命中力 1005
魔法力 7018
所持スキル
【ダストボックス】レベル2【魔法作成】レベル4【超魔力】【慧眼】【隠蔽】【命中力上昇・大】【防御力上昇・大】【攻撃力上昇・大】【HP+23000】【MP+5000】
所持魔法
『エクセレントヒール』『マジックリカバリー』『カタストロフィ』『ディスペル』『レイン』『クリエイト』『アウェイク』『ラージ』『スモール』『フローズン』『ワープ』『サイレント』『タライ』『スリープ』『クール』『ドライ』『スリップ』『ヘルファイヤ』『ディバインサンダー』『エターナルスノーデス』『アースデーモン』
所持装備
絶影剣
インヴィジブルジャケット
称号
《スキルコレクター》《マジックコレクター》
__________________________
「…………」
『ヘルファイヤ』は、10000度の炎の槍が発動するもので、中々消えない上に誘導効果もある。『ディバインサンダー』は、対象に100回連続で雷が落ちる無慈悲すぎる魔法だ。『エターナルスノーデス』は周辺の敵を全て凍らせる効果で唯一の範囲魔法であり、『アースデーモン』は対象に鋭い岩石をこれでもかとぶつけてミンチ化させる。
これら全部、3秒以内に発動するから敵にしてみたらたまったもんじゃないはず。
しかし、こうして見ると改めて魔法をいっぱい作ったもんだと思う。そうだな、あまりにも多いとアレだし、少し纏めてみるか。
『エクセレントヒール』と『マジックリカバリー』を合わせて『エリクシルヒール』、『ラージ』と『スモール』を合わせて『ラージスモール』、『スリープ』と『スリップ』が紛らわしいので、『スリップ』のほうを『バナナ』にする。
よし、こんなもんでいいかな。ただ、例の四つの攻撃魔法に関してはまだ威力のほどを試せてないので、学校の外にいるであろうモンスターに使ってみようと思う。
とはいえ、もう疲れたので明日の早朝にするか。ってなわけで、俺はラビの眠るベッドに潜り込んだ。
「ん……私を抱きしめながら寝なさいっ……」
「ははっ……」
こんな寝言を聞いたら簡単に眠れるわけがないってことで、『スリープ』の魔法を自分自身に使うことに。この魔法、シンプルだが何気に便利なんだ。
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