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第三六話 真偽
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「んぅ……あら。もう朝ですのね……」
シルウが目覚め、ベッドで上体を起こす。
(……久々にあの汚らわしい男の夢も見ずによく眠れたわ……)
彼女はカーテンを開けると、朝陽の中で輝く受肉の壺にうっとりと頬ずりしてみせる。誰もが羨む至高の器は、今までに殺した冒険者の血で今にも溢れ返らんばかりであった。
(とうとう、あとたった5人の犠牲でこの苦労の結晶が喜びで満たされるのね――)
「――マスター、大変なことが……」
「ひっ……?」
はっとした顔で振り返るシルウの背後にはエルフィの姿があった。
「どっ、どうしたのです。というかエルフィ、また気配を隠してましたね!? どうしてあなたはいつもいつも……」
「……申し訳ない。というかマスター、それどころではないかと。監視対象であるルザークの姿をようやく発見したところ、とんでもないことが判明したので」
「とんでもないこと……?」
「それが……ゴニョゴニョ――」
エルフィに耳打ちされ、シルウの目や口が見る見る開かれていく。
「――そ、そんなはずはありませんわ。ファルナス様は確かに永眠なされたのです」
「しかしマスター、実際にこの目で……」
「ただのそっくりさんでしょう! 姿は真似できても、あの強さは到底――」
「――では、これをご覧に……」
エルフィがシルウに見せたのはタブレットであり、そこに映っていたのは『ダンジョンに行こう』のサイトにおけるギルドランクで、一月ほど前に登録された『デスペラード』というギルドが一覧の中心に表示されていた。
「これがなんだというのです……?」
「この『デスペラード』とかいう、一カ月前に登録されたギルドが最近になって活動し始めたわけだが、たった一日でランクを100も上げたとか」
「えっ……」
シルウが唖然とするのも当然であり、普通のギルドでランクを1上げるのに最低でも一日はかかるものなのだ。それが100ともなれば、『サンクチュアリ』のような強豪ギルドのマスターでも達成不可能な数字に見えるほどであった。
「このギルドマスターこそ、先程話したファルナスに似た男なのだ」
「……そ、そんな。じゃあ、本当に復活なさったのです……?」
「それはわかりかねるが、そうでもなけえばありえない数字かと。しかもメンバーの中にルザーク、さらには……」
「……どうしました? エルフィ」
「いえ。我々ホムニ族の同胞であるエリンの姿も……」
「……」
シルウの目つきがにわかに鋭くなる。
「ただの偶然ってわけでもなさそうですね。もっと詳しく調査してくださいまし」
「了解」
エルフィが立ち去ったあと、シルウはベッドに座ってぼんやりと壺を眺める。
(もし……もし本当にファルナス様が復活なさったのなら……私を許してくださるのかしら……)
◇◇◇
51 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 18:45:02 ID:sBcd33wW[3/6]
おい、本当だって!あれはファルナスで違いねえ!
56 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 18:54:55 ID:M4tRbz7h
>>51
お前いい加減しつこい。前もこういうやついたよね。
スレ荒らすなよ。
58 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 19:09:23 ID:9fvcdA8o[1/2]
NGしとけ
62 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 19:11:14 ID:sBcd33wW[4/6]
マジだって!ガチマジ!ダンジョン行ってみりゃわかるし、ほかに目撃したやつもいるだろ!
65 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(木) 19:14:08 ID:Ytr3456a
どうせ顔が似てるだけってオチだろ
ファルナスが失踪して何年経つと思ってんだよ
今更戻るわけねえよ
71 名前:ガウロ◆gauroww 投稿日:2117/12/02(土) 19:18:11 ID:sBcd33wW[5/6]
いや、ありゃ本物だろ!
ちらっと見たけど、腕は以前よりは落ちてたが、一度やり合ったことがあるからわかるぜ!負けたけどな!
73 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 19:21:37 ID:sBcd33wW[6/6]
>>71
うおお!古参のガウロさんじゃん!これで確定だな!ファルナス復活でギルドの勢力図が変わるぜ!『ダンジョン管理部』ざまあぁwwwww
75 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 19:24:41 ID:9fvcdA8o[2/2]
ただの荒らしかと思ったらガウロさんかよw
つか自演適当杉w
シルウが目覚め、ベッドで上体を起こす。
(……久々にあの汚らわしい男の夢も見ずによく眠れたわ……)
彼女はカーテンを開けると、朝陽の中で輝く受肉の壺にうっとりと頬ずりしてみせる。誰もが羨む至高の器は、今までに殺した冒険者の血で今にも溢れ返らんばかりであった。
(とうとう、あとたった5人の犠牲でこの苦労の結晶が喜びで満たされるのね――)
「――マスター、大変なことが……」
「ひっ……?」
はっとした顔で振り返るシルウの背後にはエルフィの姿があった。
「どっ、どうしたのです。というかエルフィ、また気配を隠してましたね!? どうしてあなたはいつもいつも……」
「……申し訳ない。というかマスター、それどころではないかと。監視対象であるルザークの姿をようやく発見したところ、とんでもないことが判明したので」
「とんでもないこと……?」
「それが……ゴニョゴニョ――」
エルフィに耳打ちされ、シルウの目や口が見る見る開かれていく。
「――そ、そんなはずはありませんわ。ファルナス様は確かに永眠なされたのです」
「しかしマスター、実際にこの目で……」
「ただのそっくりさんでしょう! 姿は真似できても、あの強さは到底――」
「――では、これをご覧に……」
エルフィがシルウに見せたのはタブレットであり、そこに映っていたのは『ダンジョンに行こう』のサイトにおけるギルドランクで、一月ほど前に登録された『デスペラード』というギルドが一覧の中心に表示されていた。
「これがなんだというのです……?」
「この『デスペラード』とかいう、一カ月前に登録されたギルドが最近になって活動し始めたわけだが、たった一日でランクを100も上げたとか」
「えっ……」
シルウが唖然とするのも当然であり、普通のギルドでランクを1上げるのに最低でも一日はかかるものなのだ。それが100ともなれば、『サンクチュアリ』のような強豪ギルドのマスターでも達成不可能な数字に見えるほどであった。
「このギルドマスターこそ、先程話したファルナスに似た男なのだ」
「……そ、そんな。じゃあ、本当に復活なさったのです……?」
「それはわかりかねるが、そうでもなけえばありえない数字かと。しかもメンバーの中にルザーク、さらには……」
「……どうしました? エルフィ」
「いえ。我々ホムニ族の同胞であるエリンの姿も……」
「……」
シルウの目つきがにわかに鋭くなる。
「ただの偶然ってわけでもなさそうですね。もっと詳しく調査してくださいまし」
「了解」
エルフィが立ち去ったあと、シルウはベッドに座ってぼんやりと壺を眺める。
(もし……もし本当にファルナス様が復活なさったのなら……私を許してくださるのかしら……)
◇◇◇
51 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 18:45:02 ID:sBcd33wW[3/6]
おい、本当だって!あれはファルナスで違いねえ!
56 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 18:54:55 ID:M4tRbz7h
>>51
お前いい加減しつこい。前もこういうやついたよね。
スレ荒らすなよ。
58 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 19:09:23 ID:9fvcdA8o[1/2]
NGしとけ
62 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 19:11:14 ID:sBcd33wW[4/6]
マジだって!ガチマジ!ダンジョン行ってみりゃわかるし、ほかに目撃したやつもいるだろ!
65 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(木) 19:14:08 ID:Ytr3456a
どうせ顔が似てるだけってオチだろ
ファルナスが失踪して何年経つと思ってんだよ
今更戻るわけねえよ
71 名前:ガウロ◆gauroww 投稿日:2117/12/02(土) 19:18:11 ID:sBcd33wW[5/6]
いや、ありゃ本物だろ!
ちらっと見たけど、腕は以前よりは落ちてたが、一度やり合ったことがあるからわかるぜ!負けたけどな!
73 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 19:21:37 ID:sBcd33wW[6/6]
>>71
うおお!古参のガウロさんじゃん!これで確定だな!ファルナス復活でギルドの勢力図が変わるぜ!『ダンジョン管理部』ざまあぁwwwww
75 名前:名無しの冒険者 投稿日:2117/12/02(土) 19:24:41 ID:9fvcdA8o[2/2]
ただの荒らしかと思ったらガウロさんかよw
つか自演適当杉w
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