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思惑
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「気持ちよかったー!」
マイが風呂から上がってきたのを見ておばあちゃんは微笑んで
「全員入ったね?ご飯の準備できたから食べなさい」
「「「「はーい」」」」
食膳には豪華な山菜料理が並んでいる。
今日の献立は山菜や野菜の天ぷらだ。
「うまそーーーーーー!!」
圭は料理を見るや否や座り込みもう箸を持っている。
僕たちはの隣へと座っていった。
「いただきまーす」
僕は獅子唐の天ぷらを取り抹茶塩につけてハムっとほおばんだ。
サクサクの衣にシャキリとした獅子唐とほのかな塩っ気がとっても美味しい。
「美味しい!」
「そうかいホノカ。いっぱいお食べ」
「おばあさん、おかわり!」
「おお、圭くんはご飯食べるのは早いねえ」
「そういえば父さんとおじいちゃんは?」
「まだ工房だよ。明日までの注文品があるからね。もう少しで終わるそうだよ」
やっぱり需要が高いなぁ。あのガラス工芸品は。
僕はご飯を詰めて飲み込む。
そして椎茸の天ぷら、美味しい。
マイは一口一口噛み締めて堪能していた。マイはグルメなんだな。
ホノカは絶えず可愛い笑顔を見せながらご飯を噛み締めている。
「お、美味しそうだな」
「やっと、終わったぞ」
父さんたちも来た。ガラス工芸師の体感温度はとても暑い。せいぜい40度だ。僕が耐えれるような温度じゃない。
よほど疲れていたのか父さんとじいちゃんは無言で食事を胃の中に放り込むようにして食べていた。
「あ、火傷が…」
父さんの右腕にある火傷の後を目ざとくホノカが見つけた。
父さんはハハッと笑い心配するなって言うように
「長年やってたらなれてくるよこんなの」
おじさんとは対象的で感情的なのがうちの父さんだ。彼女のお父さんは理性的だ。
感心するみんな、それからガラス工芸についてのことをたくさん教えてもらってから食事を食べ終わった。
街灯もあまりないこの地域は夜になると本当に暗くなる。星が降ってきているような綺麗な星空も見えるのだ。
僕が何かしようかと蔵を見ていると花火のセットが置いてあった。
「みんな、ちょっと早い思うけど花火しないか?」
「いいねえ!」
「花火かぁ、久しぶりだな」
「あの河原でしよう」
僕らはあの河原まで歩いた。
そして圭がつけている懐中電灯を頼りに袋を開けてみんなに配る。それからチャッカマンで火をつけた。
僕らにとっては懐かしい音が花火から出て夜の闇に光をもたらす。
「綺麗だなぁ」
肩を丸出ししているゆるい服を着たホノカは僕の隣で微笑む。
涼むためか髪を束ね上げているのでうなじは見放題だ。ふつうに可愛い。
「ねぇ、ヒカルにはなんかエピソードないの?」
「エピソード?」
「そう、圭みたいな能力のエピソード」
あることにはあるが少し後味悪いものしかない。
「あるけど…」
「じゃあ言ってよ」
「この場で言う話でもないけどね」
「いいじゃん」
「ねぇみんな、死期を知ってしまった人はなにを思うか知ってる?」
その質問でみんなの顔はピクリと止まる。
僕は話し始めた。
これは僕がまだ小学生で能力の謳歌だった頃の話だ。
ひと昔前にホノカの家にお兄ちゃんが住んでいた。つまり僕の正規のいとこだ。
名を北沢修よくオサムって読み間違われていた。
背がとても高くバスケ部のキャプテンで推薦入学も決まっていたそうだ。
そして親族の中で立った1人だけの僕の能力を知ってくれている人だった。
単純にいつもの流れで数当てゲームをしていたら何連続が当たって不思議がった兄ちゃんが僕に聞いてきたわけ。
まだ小学校五年生だったから僕はペラペラと自分の能力についての話をした。
にいちゃんはすんなりと信じてくれたと言うわけ。
能力のことを信じて肯定してくれた兄ちゃん。
異変が起きたのはその翌年の春休みの頃、推薦入試だったので入学式の何日か前にバスケの練習をしていたらしい。
しかしそんな兄ちゃんが急に意識を失ったと。診断の結果、脳腫瘍だった。しかもかなりの奥深くに腫瘍ができているらしく手術は困難とみなされた。
当然にいちゃんは入院することになる。
兄ちゃんは俺やその親族がくるたびに
「病気なんかには絶対負けない」
って笑顔で言い切っていたが僕には聞こえる。
『俺、死ぬの?』
心の中ではもう終わりだということが計り知れた。
その日の夜、僕は兄ちゃんの声を聞いた。
病院ではない。自分の部屋で、声を聞いた。
その時の僕は驚きと動揺を隠せずに冷や汗を滝のように垂らしていた。
『辛い、苦しい、なんのために俺は生まれてきたんだ?全く』
いつもの兄ちゃんの声じゃない、苦しく聞くに耐えない哀れな声だった。
『ヒカル、聞こえているか?』
心の中でにいちゃんは僕を呼んでいた。その場に兄ちゃんなんていないのだが僕は自然と「うん」と頷いていた。
『ヒカル、俺…もうそろそろ死ぬみたいだ』
知ってるよ……。当時の僕はさらりとつぶやいていた。
『俺が死んだ後何をして過ごしているかな?俺の分まで生きてくれるか?』
僕は突然の質問に答えることができなかった。
『母ちゃんには言えねぇけど、おれ…怖いんだよ。死にたくないんだよ…』
所々息で掠れた声が僕の耳に聞こえてきた。
今頃兄ちゃんは病院のベッドで泣いているのだろうか?それとも心の中で涙を流してるのだろうか。
『ヒカル、俺の悩み、最後の悩みを聞いてくれ。』
兄ちゃんは最後の力を振り絞るようにさらに掠れた、紙が擦れ合うような声で話す。
『本当に…伝えたいことって……どうやったら伝えれるんだろうな……?』
兄ちゃんの声はそれっきりだった。プツンと消えて何もない。
それから次の日、兄ちゃんが死んだという知らせを受けた。
葬式に出席した時兄ちゃんの死顔はとても安らかだった。
果たして本当に安らかに死ねたのだろうか?棺桶の中に入っていてまでも怖かったことを伝えることができなかったんだろうか?だとしたら切ないものだった。
周りの親族は「あの子は強い子だった」と涙を流して言っていたが兄ちゃんが言って欲しかったのはそれじゃないと思う。
怖かったんだ。死ぬことに。自分という存在が消えてしまうことに、今思えばにいちゃんはただ
「怖かったね、よく頑張ったね」
それが聞きたかったんだと思う。しかし皮肉なことに心配させたくない彼の行動が裏目に出て兄ちゃんにとっては見当違いな言葉しか送られるようなことはなかった。
有能な選手だったって言われたいんじゃない。優しい子だったって言われたいんじゃない。強い子だって言われたいんじゃない。兄ちゃんは同情して欲しかったんだ。死という恐怖を味わうのはあまりに若すぎた兄ちゃんに頑張ったという人は誰一人としていなかった。
僕は兄ちゃんの棺桶の前でズルズルとへたり込み泣いた。
無力な自分が情けなくて仕方がなかった。僕はただ兄ちゃんの前で泣いて詫びることしかできなかった。
僕がこの話を終えた頃には線香花火の火がポツリと落ちて花火はからになる。
あとは黒い闇の広がる河原しかない。
ふと僕は背中に柔らかい感覚を覚えた。
振り返るとホノカがいる。ホノカは僕の肩を優しく抱いていた。
「泣いちゃダメ。お兄さんが悲しくなっちゃう」
そんなホノカの気遣いが嬉しくて僕は涙をこらえることができなくなった。
マイも圭も僕を真正面から見れるように屈み込む。
「お兄さん、幸せね。人のために涙を流せるいとこがいたなんて」
「ほら、もう泣き止めよ。涙がもったいない」
圭は僕にハンカチを渡してくれた。僕はそのハンカチで涙を拭き取る。
「お!もう8時じゃん!面白いテレビ番組あるんだよ!早く行こうぜ!」
ここは地上波は繋がらないってのに………。
圭に呆れて吹いてしまう。
「ここは電波繋がってないけど…」
「え?マジで?じゃあDVD持ってきたからホラー映画でも見ようぜ!」
「いいチョイスじゃん!あんたもたまにはやるじゃない!」
「ほらヒカル君、行こう?」
ホノカが立ち上がり僕に手を差し伸べる。僕はその手をとり立ち上がった。
ホノカの手は手汗をかきづらい性質なのかサラサラした柔らかい手だった。
僕はいい人にであったなぁ。
笑い合いながら家へと向かう圭達を見てそう思う。
過去は変えられないし未来はどうなるかわからない。だから現在をしっかり生きよう。
兄ちゃんに笑われないような公開のない未来を作ろう。そう思った。
ありがとうみんな、兄ちゃん。僕はまだまだ強くなれるよ。
マイが風呂から上がってきたのを見ておばあちゃんは微笑んで
「全員入ったね?ご飯の準備できたから食べなさい」
「「「「はーい」」」」
食膳には豪華な山菜料理が並んでいる。
今日の献立は山菜や野菜の天ぷらだ。
「うまそーーーーーー!!」
圭は料理を見るや否や座り込みもう箸を持っている。
僕たちはの隣へと座っていった。
「いただきまーす」
僕は獅子唐の天ぷらを取り抹茶塩につけてハムっとほおばんだ。
サクサクの衣にシャキリとした獅子唐とほのかな塩っ気がとっても美味しい。
「美味しい!」
「そうかいホノカ。いっぱいお食べ」
「おばあさん、おかわり!」
「おお、圭くんはご飯食べるのは早いねえ」
「そういえば父さんとおじいちゃんは?」
「まだ工房だよ。明日までの注文品があるからね。もう少しで終わるそうだよ」
やっぱり需要が高いなぁ。あのガラス工芸品は。
僕はご飯を詰めて飲み込む。
そして椎茸の天ぷら、美味しい。
マイは一口一口噛み締めて堪能していた。マイはグルメなんだな。
ホノカは絶えず可愛い笑顔を見せながらご飯を噛み締めている。
「お、美味しそうだな」
「やっと、終わったぞ」
父さんたちも来た。ガラス工芸師の体感温度はとても暑い。せいぜい40度だ。僕が耐えれるような温度じゃない。
よほど疲れていたのか父さんとじいちゃんは無言で食事を胃の中に放り込むようにして食べていた。
「あ、火傷が…」
父さんの右腕にある火傷の後を目ざとくホノカが見つけた。
父さんはハハッと笑い心配するなって言うように
「長年やってたらなれてくるよこんなの」
おじさんとは対象的で感情的なのがうちの父さんだ。彼女のお父さんは理性的だ。
感心するみんな、それからガラス工芸についてのことをたくさん教えてもらってから食事を食べ終わった。
街灯もあまりないこの地域は夜になると本当に暗くなる。星が降ってきているような綺麗な星空も見えるのだ。
僕が何かしようかと蔵を見ていると花火のセットが置いてあった。
「みんな、ちょっと早い思うけど花火しないか?」
「いいねえ!」
「花火かぁ、久しぶりだな」
「あの河原でしよう」
僕らはあの河原まで歩いた。
そして圭がつけている懐中電灯を頼りに袋を開けてみんなに配る。それからチャッカマンで火をつけた。
僕らにとっては懐かしい音が花火から出て夜の闇に光をもたらす。
「綺麗だなぁ」
肩を丸出ししているゆるい服を着たホノカは僕の隣で微笑む。
涼むためか髪を束ね上げているのでうなじは見放題だ。ふつうに可愛い。
「ねぇ、ヒカルにはなんかエピソードないの?」
「エピソード?」
「そう、圭みたいな能力のエピソード」
あることにはあるが少し後味悪いものしかない。
「あるけど…」
「じゃあ言ってよ」
「この場で言う話でもないけどね」
「いいじゃん」
「ねぇみんな、死期を知ってしまった人はなにを思うか知ってる?」
その質問でみんなの顔はピクリと止まる。
僕は話し始めた。
これは僕がまだ小学生で能力の謳歌だった頃の話だ。
ひと昔前にホノカの家にお兄ちゃんが住んでいた。つまり僕の正規のいとこだ。
名を北沢修よくオサムって読み間違われていた。
背がとても高くバスケ部のキャプテンで推薦入学も決まっていたそうだ。
そして親族の中で立った1人だけの僕の能力を知ってくれている人だった。
単純にいつもの流れで数当てゲームをしていたら何連続が当たって不思議がった兄ちゃんが僕に聞いてきたわけ。
まだ小学校五年生だったから僕はペラペラと自分の能力についての話をした。
にいちゃんはすんなりと信じてくれたと言うわけ。
能力のことを信じて肯定してくれた兄ちゃん。
異変が起きたのはその翌年の春休みの頃、推薦入試だったので入学式の何日か前にバスケの練習をしていたらしい。
しかしそんな兄ちゃんが急に意識を失ったと。診断の結果、脳腫瘍だった。しかもかなりの奥深くに腫瘍ができているらしく手術は困難とみなされた。
当然にいちゃんは入院することになる。
兄ちゃんは俺やその親族がくるたびに
「病気なんかには絶対負けない」
って笑顔で言い切っていたが僕には聞こえる。
『俺、死ぬの?』
心の中ではもう終わりだということが計り知れた。
その日の夜、僕は兄ちゃんの声を聞いた。
病院ではない。自分の部屋で、声を聞いた。
その時の僕は驚きと動揺を隠せずに冷や汗を滝のように垂らしていた。
『辛い、苦しい、なんのために俺は生まれてきたんだ?全く』
いつもの兄ちゃんの声じゃない、苦しく聞くに耐えない哀れな声だった。
『ヒカル、聞こえているか?』
心の中でにいちゃんは僕を呼んでいた。その場に兄ちゃんなんていないのだが僕は自然と「うん」と頷いていた。
『ヒカル、俺…もうそろそろ死ぬみたいだ』
知ってるよ……。当時の僕はさらりとつぶやいていた。
『俺が死んだ後何をして過ごしているかな?俺の分まで生きてくれるか?』
僕は突然の質問に答えることができなかった。
『母ちゃんには言えねぇけど、おれ…怖いんだよ。死にたくないんだよ…』
所々息で掠れた声が僕の耳に聞こえてきた。
今頃兄ちゃんは病院のベッドで泣いているのだろうか?それとも心の中で涙を流してるのだろうか。
『ヒカル、俺の悩み、最後の悩みを聞いてくれ。』
兄ちゃんは最後の力を振り絞るようにさらに掠れた、紙が擦れ合うような声で話す。
『本当に…伝えたいことって……どうやったら伝えれるんだろうな……?』
兄ちゃんの声はそれっきりだった。プツンと消えて何もない。
それから次の日、兄ちゃんが死んだという知らせを受けた。
葬式に出席した時兄ちゃんの死顔はとても安らかだった。
果たして本当に安らかに死ねたのだろうか?棺桶の中に入っていてまでも怖かったことを伝えることができなかったんだろうか?だとしたら切ないものだった。
周りの親族は「あの子は強い子だった」と涙を流して言っていたが兄ちゃんが言って欲しかったのはそれじゃないと思う。
怖かったんだ。死ぬことに。自分という存在が消えてしまうことに、今思えばにいちゃんはただ
「怖かったね、よく頑張ったね」
それが聞きたかったんだと思う。しかし皮肉なことに心配させたくない彼の行動が裏目に出て兄ちゃんにとっては見当違いな言葉しか送られるようなことはなかった。
有能な選手だったって言われたいんじゃない。優しい子だったって言われたいんじゃない。強い子だって言われたいんじゃない。兄ちゃんは同情して欲しかったんだ。死という恐怖を味わうのはあまりに若すぎた兄ちゃんに頑張ったという人は誰一人としていなかった。
僕は兄ちゃんの棺桶の前でズルズルとへたり込み泣いた。
無力な自分が情けなくて仕方がなかった。僕はただ兄ちゃんの前で泣いて詫びることしかできなかった。
僕がこの話を終えた頃には線香花火の火がポツリと落ちて花火はからになる。
あとは黒い闇の広がる河原しかない。
ふと僕は背中に柔らかい感覚を覚えた。
振り返るとホノカがいる。ホノカは僕の肩を優しく抱いていた。
「泣いちゃダメ。お兄さんが悲しくなっちゃう」
そんなホノカの気遣いが嬉しくて僕は涙をこらえることができなくなった。
マイも圭も僕を真正面から見れるように屈み込む。
「お兄さん、幸せね。人のために涙を流せるいとこがいたなんて」
「ほら、もう泣き止めよ。涙がもったいない」
圭は僕にハンカチを渡してくれた。僕はそのハンカチで涙を拭き取る。
「お!もう8時じゃん!面白いテレビ番組あるんだよ!早く行こうぜ!」
ここは地上波は繋がらないってのに………。
圭に呆れて吹いてしまう。
「ここは電波繋がってないけど…」
「え?マジで?じゃあDVD持ってきたからホラー映画でも見ようぜ!」
「いいチョイスじゃん!あんたもたまにはやるじゃない!」
「ほらヒカル君、行こう?」
ホノカが立ち上がり僕に手を差し伸べる。僕はその手をとり立ち上がった。
ホノカの手は手汗をかきづらい性質なのかサラサラした柔らかい手だった。
僕はいい人にであったなぁ。
笑い合いながら家へと向かう圭達を見てそう思う。
過去は変えられないし未来はどうなるかわからない。だから現在をしっかり生きよう。
兄ちゃんに笑われないような公開のない未来を作ろう。そう思った。
ありがとうみんな、兄ちゃん。僕はまだまだ強くなれるよ。
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