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那珂について
しおりを挟む「…あのばばぁ…」
紘毅が呟いて、朱莉の頭を軽く叩いた。
「気にするなよ」
「…うん。大丈夫」
力なく答えながら、朱莉は思い当たることがあった。那珂の無意味とも思える寄り道。あれは、盗んだ遺灰を処分するためだったのだろう。
しかし今は、それを考えていても仕方が無い。
「伯母上は、いったい誰から…」
これにも、答えたのは蓮玉だった。
「想像に過ぎませんが、あの女は、幻術師の術にかかっているのではないかと」
「え? だって、幻術師を解放したのが伯母上なんでしょう? それだと順番が…」
「そこです。我々もそこが解らなかった。しかし、こうは考えられまいか。あの女が幻術にかけられていたわけではなく、幻術にかかったままになっていたのが、あの女だったのだと」
「え…」
朱莉も紘毅も首をかしげる。言葉にしたのは紘毅だった。
「わけが解らん。どういうことだ?」
「つまりだ。あの伝説は、多少脚色してあるが大筋は実話だ。幻術師が恐ろしい存在だと今でも言われているのは、当時の帝が送り込んだ討伐隊を、幻術師がことごとく打ち滅ぼしたという事実があるからだ。しかも、討伐隊の中に別の術師がいたにも関わらず、だ」
「まあ、そうだな」
「では、幻術師の存在自体は、どこから帝に伝わった?」
「どこからってそりゃ、誰かが都に行ったとしか…」
考えながら答える紘毅の隣で、朱莉が何かに思い当たったように「あ」と声を上げる。
「そう。誰かが帝に伝えなければ、帝は兵を動かさなかった。そして兵を動かさなければ、帝が抱えていた術師まで討たれることはなかった」
そこまで言われて、紘毅もやっと理解できてきた。
「罠だったのか? 幻術師の」
「証拠は無い。しかし、幻術師が帝の抱える術師たちを恐れて分断を狙っていたとしたら、帝の座を明け渡せと言いながら都ではなく小さな村を狙ったのも納得がいく。幻術師の存在を知れば帝は兵を動かすだろうが、自分の手元を空にしたりはしないだろうからな」
蓮玉の言葉に、奏琳が続ける。
「そして、間者を送り込むならば、幻術師が成りすますよりも本当の被害者を操ったほうが、嘘が露見しにくいでしょう」
「神女によって、幻術師は滅ぼされた。封印と結界によって、術にかけられていた村人も正気を取り戻した。だが、術をかけられつつ村の外にいた者は? 術師が死んだら正常に戻っているという保障は無い。しかも、幻術師の肉体は確かに滅びたが、魂は生きていた。楠木の中で」
朱莉の表情に緊張が走る。
「まさか、その子孫が――」
「あの女ではないかと、我々は見ています」
「でも、そしたら吾妻の一族みんなってことにならねぇか? 下手したら朱莉もだろ」
当然といえば当然の紘毅からの疑問に、首を振ったのは朱莉だった。
「違うの。伯母上が、さっき叫んだこと覚えてない?」
――わたしは、前当主の長子となったのよ!
「伯母上は、吾妻の血は引いていないの」
吾妻の初代当主は、女性だったと朱莉は聞いている。因果関係があるのか判らないが、吾妻はずっと女系の一族なのだ。当主になるのも、精霊を呼び出せる者がいない代は、性別に関わらず長子が当主を継いできた。吾妻に産まれれば、誰であろうとあらゆる医療技術を学び、そこに男も女も関係が無いからだ。
だがしかし、朱莉の伯母は、弟である朱莉の父親に当主の座を譲らなければならなかった。なぜならば、本来なら彼女は吾妻の血筋ではなかったからである。
「伯母上はね、前当主…わたしの祖母なんだけど、祖母の再婚相手の連れ子なの」
前当主の元々の夫は、結婚してすぐに地方で起こった戦争の地に医者として赴き、戦いに巻き込まれて亡くなった。子どももおらず、当時は精霊を呼び出せる者もいなかったため、次期当主の席が空白になった。当然のように、一族内での当主争いが勃発。そこで、当主だった朱莉の祖母が取った行動は、次期当主の候補を出すことではなく自分が再婚することだった。自分の子どもに継がせたかったのだ。
そして再婚相手だったのが、当時都で吾妻に次ぐ医師の名家の嫡男。彼も夫人を病気で亡くしたばかりだった。彼には子どもがいた。それが、那珂だ。
「でも、その再婚のあとでわたしの父が産まれて、伯母上は当主になれなくなっちゃった。父が産まれるまで、必死に吾妻のために勉強していたのに」
那珂の、必死の形相が目に浮かぶ。
「それでも伯母上は父とは仲が良かったから、父が当主になることは受け入れていたみたい。……わたしが、産まれるまでは」
たかが四つの少女が当主の席に座れるのに、吾妻に翻弄されて、死に物狂いで勉強してきた自分は、当主の親ですらない。一生、その席には座れない。それどころか、吾妻の血筋でもないのに当主になろうとしていた那珂は、ずっと一族中に冷たい視線で見られてきた。
「伯母上だって、必死だったのに」
結局、朱莉には那珂を憎むことはできない。朱莉への態度はどこまでも理不尽だが、しかし那珂も十分に理不尽な目に遭ってきたのだ。
「そんなことがお前を殺していい理由になるか」
「ならぬな」
「なりませんね」
紘毅、蓮玉、奏琳がそれぞれ切り捨てる。どんな理由があっても、朱莉に危害を加えようとした事実は動かない。
「人が好すぎる。とにかく! あのばばぁには吾妻の血は入ってないと。で、ばばぁの先祖が術にかかっていた可能性があるってことだな」
「ああ。幻術にかかっていた親の血を引き、皮肉にも吾妻に育てられたのだ。精霊たちを姫から引きはがせば、幻術師は復讐が為しやすくなるしあの女は当主になれる。面白くない利害の一致だ。冠が先か主が先かを幻術師が判別する術は無いから、あのような奇行に走ったのだろう。帝への間者とするくらいだ。おそらくかなり高濃度な幻術を掛けられていたはず。いまだに残っていても不思議ではない」
なんとなく話は解った。だが、紘毅はまだ納得できない。
「それで、どうして今なんだ?」
「様々なことが重なったのだろう。まず、姫の存在」
「ん?」
「精霊を呼び出す者がいなければ、冠を取り上げることはできないだろう」
「あ、なるほど」
「そして、都の病」
それを聞いて、朱莉の顔色が変わる。
「流行り病は、伯母上の嘘ではなかったの?」
「偽りです。ただ、少し前まで風邪が流行ってはいたようです」
答える蓮玉は、苛立っているようだった。
「今更言うのも迂闊ですが、診療所で太慎殿に流行り病の病状を聞かれたとき、あの女は一瞬言葉に詰まっていたと記憶しています。実際にはそんなものは流行っていないのだから、答えられなくても当然かと」
言われて、そういえばと思う。そしてすぐに話を逸らされていたような。
「都に流行ったのは単なる風邪。少し性質が悪かったらしく長引く者もいたようですが、今は吾妻が薬を作って騒ぎは収まっています。無論、死者も出ておりません」
「そう、なんだ…」
「長い年月をかけて、幻術師の力が少しずつ回復したのでしょう。回復したから、間違いとはいえ冠の意味を知ったとも考えられます。何か理由をつけて、姫を村から連れ出す機会をうかがっていたのでしょう。思えば、嫌悪しているにも拘らず、何年かごとに村に様子を見に来ていたのも同じ理由ではないかと。例えば村で姫が体調を崩していれば、連れ出す理由には十分です」
「え、でもなんでわたしを連れ出そうとなんて…」
「姫が村から出るということは、我々精霊も出るということです」
実際には、誄岑が残ったわけだが。
蓮玉の言葉を、奏琳が引き継いだ。
「これが先ほどのご質問の答えです。なぜわたしたちが神女伝説の真相を知っているのか」
答えは想像がついた。そしてその想像は裏切られることは無かった。
紘毅が呟いて、朱莉の頭を軽く叩いた。
「気にするなよ」
「…うん。大丈夫」
力なく答えながら、朱莉は思い当たることがあった。那珂の無意味とも思える寄り道。あれは、盗んだ遺灰を処分するためだったのだろう。
しかし今は、それを考えていても仕方が無い。
「伯母上は、いったい誰から…」
これにも、答えたのは蓮玉だった。
「想像に過ぎませんが、あの女は、幻術師の術にかかっているのではないかと」
「え? だって、幻術師を解放したのが伯母上なんでしょう? それだと順番が…」
「そこです。我々もそこが解らなかった。しかし、こうは考えられまいか。あの女が幻術にかけられていたわけではなく、幻術にかかったままになっていたのが、あの女だったのだと」
「え…」
朱莉も紘毅も首をかしげる。言葉にしたのは紘毅だった。
「わけが解らん。どういうことだ?」
「つまりだ。あの伝説は、多少脚色してあるが大筋は実話だ。幻術師が恐ろしい存在だと今でも言われているのは、当時の帝が送り込んだ討伐隊を、幻術師がことごとく打ち滅ぼしたという事実があるからだ。しかも、討伐隊の中に別の術師がいたにも関わらず、だ」
「まあ、そうだな」
「では、幻術師の存在自体は、どこから帝に伝わった?」
「どこからってそりゃ、誰かが都に行ったとしか…」
考えながら答える紘毅の隣で、朱莉が何かに思い当たったように「あ」と声を上げる。
「そう。誰かが帝に伝えなければ、帝は兵を動かさなかった。そして兵を動かさなければ、帝が抱えていた術師まで討たれることはなかった」
そこまで言われて、紘毅もやっと理解できてきた。
「罠だったのか? 幻術師の」
「証拠は無い。しかし、幻術師が帝の抱える術師たちを恐れて分断を狙っていたとしたら、帝の座を明け渡せと言いながら都ではなく小さな村を狙ったのも納得がいく。幻術師の存在を知れば帝は兵を動かすだろうが、自分の手元を空にしたりはしないだろうからな」
蓮玉の言葉に、奏琳が続ける。
「そして、間者を送り込むならば、幻術師が成りすますよりも本当の被害者を操ったほうが、嘘が露見しにくいでしょう」
「神女によって、幻術師は滅ぼされた。封印と結界によって、術にかけられていた村人も正気を取り戻した。だが、術をかけられつつ村の外にいた者は? 術師が死んだら正常に戻っているという保障は無い。しかも、幻術師の肉体は確かに滅びたが、魂は生きていた。楠木の中で」
朱莉の表情に緊張が走る。
「まさか、その子孫が――」
「あの女ではないかと、我々は見ています」
「でも、そしたら吾妻の一族みんなってことにならねぇか? 下手したら朱莉もだろ」
当然といえば当然の紘毅からの疑問に、首を振ったのは朱莉だった。
「違うの。伯母上が、さっき叫んだこと覚えてない?」
――わたしは、前当主の長子となったのよ!
「伯母上は、吾妻の血は引いていないの」
吾妻の初代当主は、女性だったと朱莉は聞いている。因果関係があるのか判らないが、吾妻はずっと女系の一族なのだ。当主になるのも、精霊を呼び出せる者がいない代は、性別に関わらず長子が当主を継いできた。吾妻に産まれれば、誰であろうとあらゆる医療技術を学び、そこに男も女も関係が無いからだ。
だがしかし、朱莉の伯母は、弟である朱莉の父親に当主の座を譲らなければならなかった。なぜならば、本来なら彼女は吾妻の血筋ではなかったからである。
「伯母上はね、前当主…わたしの祖母なんだけど、祖母の再婚相手の連れ子なの」
前当主の元々の夫は、結婚してすぐに地方で起こった戦争の地に医者として赴き、戦いに巻き込まれて亡くなった。子どももおらず、当時は精霊を呼び出せる者もいなかったため、次期当主の席が空白になった。当然のように、一族内での当主争いが勃発。そこで、当主だった朱莉の祖母が取った行動は、次期当主の候補を出すことではなく自分が再婚することだった。自分の子どもに継がせたかったのだ。
そして再婚相手だったのが、当時都で吾妻に次ぐ医師の名家の嫡男。彼も夫人を病気で亡くしたばかりだった。彼には子どもがいた。それが、那珂だ。
「でも、その再婚のあとでわたしの父が産まれて、伯母上は当主になれなくなっちゃった。父が産まれるまで、必死に吾妻のために勉強していたのに」
那珂の、必死の形相が目に浮かぶ。
「それでも伯母上は父とは仲が良かったから、父が当主になることは受け入れていたみたい。……わたしが、産まれるまでは」
たかが四つの少女が当主の席に座れるのに、吾妻に翻弄されて、死に物狂いで勉強してきた自分は、当主の親ですらない。一生、その席には座れない。それどころか、吾妻の血筋でもないのに当主になろうとしていた那珂は、ずっと一族中に冷たい視線で見られてきた。
「伯母上だって、必死だったのに」
結局、朱莉には那珂を憎むことはできない。朱莉への態度はどこまでも理不尽だが、しかし那珂も十分に理不尽な目に遭ってきたのだ。
「そんなことがお前を殺していい理由になるか」
「ならぬな」
「なりませんね」
紘毅、蓮玉、奏琳がそれぞれ切り捨てる。どんな理由があっても、朱莉に危害を加えようとした事実は動かない。
「人が好すぎる。とにかく! あのばばぁには吾妻の血は入ってないと。で、ばばぁの先祖が術にかかっていた可能性があるってことだな」
「ああ。幻術にかかっていた親の血を引き、皮肉にも吾妻に育てられたのだ。精霊たちを姫から引きはがせば、幻術師は復讐が為しやすくなるしあの女は当主になれる。面白くない利害の一致だ。冠が先か主が先かを幻術師が判別する術は無いから、あのような奇行に走ったのだろう。帝への間者とするくらいだ。おそらくかなり高濃度な幻術を掛けられていたはず。いまだに残っていても不思議ではない」
なんとなく話は解った。だが、紘毅はまだ納得できない。
「それで、どうして今なんだ?」
「様々なことが重なったのだろう。まず、姫の存在」
「ん?」
「精霊を呼び出す者がいなければ、冠を取り上げることはできないだろう」
「あ、なるほど」
「そして、都の病」
それを聞いて、朱莉の顔色が変わる。
「流行り病は、伯母上の嘘ではなかったの?」
「偽りです。ただ、少し前まで風邪が流行ってはいたようです」
答える蓮玉は、苛立っているようだった。
「今更言うのも迂闊ですが、診療所で太慎殿に流行り病の病状を聞かれたとき、あの女は一瞬言葉に詰まっていたと記憶しています。実際にはそんなものは流行っていないのだから、答えられなくても当然かと」
言われて、そういえばと思う。そしてすぐに話を逸らされていたような。
「都に流行ったのは単なる風邪。少し性質が悪かったらしく長引く者もいたようですが、今は吾妻が薬を作って騒ぎは収まっています。無論、死者も出ておりません」
「そう、なんだ…」
「長い年月をかけて、幻術師の力が少しずつ回復したのでしょう。回復したから、間違いとはいえ冠の意味を知ったとも考えられます。何か理由をつけて、姫を村から連れ出す機会をうかがっていたのでしょう。思えば、嫌悪しているにも拘らず、何年かごとに村に様子を見に来ていたのも同じ理由ではないかと。例えば村で姫が体調を崩していれば、連れ出す理由には十分です」
「え、でもなんでわたしを連れ出そうとなんて…」
「姫が村から出るということは、我々精霊も出るということです」
実際には、誄岑が残ったわけだが。
蓮玉の言葉を、奏琳が引き継いだ。
「これが先ほどのご質問の答えです。なぜわたしたちが神女伝説の真相を知っているのか」
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