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愚者の旅編
ーNo,01ー魔女の街へとぶらり寄り道ー魔女さん、ごきげんよう、こんにちは。ところで僕の名前は何ですかぁ?
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「タロットおとぎ話」
#「愚者の旅__ーNo,01ー魔女の街へとぶらり寄り道ー__」#
太陽の方角へと向かうと、
魔法の杖によっていつのまにか導かれたのか
、そこにはたくさんの魔女でにぎわう「魔女の街」の風景が
愚者の目の前に広がっていた。
ここならこの魔法の杖の持ち主である魔女を探し出して
出会えるかもしれない。
彼はそう期待せずにはいられなかった。
しかしながら、愚者の踊る心とは裏腹に
そこの街での視線は冷ややかなものであった。
彼は魔法などは全く使えはしないが、
その彼でさえ、街中の人たちから警戒されているのが
感覚としてひしひしと分かる。
それというもの無理もない、魔女でもない
よそ者が、魔法の杖をもってウロウロとしているのだから・・・
だがしかし、そんなことも言ってられる状況ではない、
魔女の魔術によって愚者にされてしまった若者である彼は
元に戻るためには、一刻も早くこの魔法の杖の持ち主の魔女を探し出さなければならないのだ。
愚者は勇気を振り絞って、
街を歩いているそこら辺の魔女に声をかけてみる。
「あの~・・」
案の定門前払いだった、一人目は軽く手で追い払われてしまった。
2、3人目は
「なんだいあんた、魔女でもないのに魔法の杖なんて持ち歩いて
ここはごっこ遊びの場じゃないんだよ、分かったらお家に帰んな。」
といって聞く耳を持たない。
めげずに4人目の魔女に声をかけようとするが
、いきなり声をかけたからか、もしくは魔法の杖の魔力に驚いてしまったのか、
”ヒィィーッッ”と叫びを挙げながらどこかへ逃げてしまった。
ようやく5人目でまともそうな魔女を見つけ、
「あのーこの魔法の杖の持ち主を知りませんか?
もしくは僕にかけられた魔術を解いて欲しいんですけど・・・」
「・・・・・」
魔女は数秒間沈黙した後、
両方の手のひらを挙げてお手上げのポーズをする。
立ち去ろうとする愚者の背中に
また一呼吸おいてから、
「この街の外れに、ここらで一番の腕利きの魔女がいる。
その方だったらもしかしたら何かわかるかもしれないね。」
と言葉を添えた。
ー夜ー
すっかり日が暮れてしまった。
想像以上に街の広さに
街の外れまで来るのに時間が掛かってしまったのだが
、他の魔女でもこれほどてこずる魔術を施した
魔女に対して愚者自身は少し興味を惹かれつつあった。
森の入り口のような場所に着く。
そこに一本の大きなモミの木の大木があり、
木のてっぺんに、お腹に斑模様のあるこれまた大きなフクロウが
停まっていた。
フクロウは愚者が来るのを待っていたかのように
、鳴きだし、そうかと思えば
まだら模様は矢印の形へと変化して、
ついて来いといわんばかりに月明かりのように光るその目で薄暗い森の道を照らしながら、
愚者もそれに導かれるように森の方へと歩み出し進んでいった・・・。
#「愚者の旅__ーNo,01ー魔女の街へとぶらり寄り道ー__」#
太陽の方角へと向かうと、
魔法の杖によっていつのまにか導かれたのか
、そこにはたくさんの魔女でにぎわう「魔女の街」の風景が
愚者の目の前に広がっていた。
ここならこの魔法の杖の持ち主である魔女を探し出して
出会えるかもしれない。
彼はそう期待せずにはいられなかった。
しかしながら、愚者の踊る心とは裏腹に
そこの街での視線は冷ややかなものであった。
彼は魔法などは全く使えはしないが、
その彼でさえ、街中の人たちから警戒されているのが
感覚としてひしひしと分かる。
それというもの無理もない、魔女でもない
よそ者が、魔法の杖をもってウロウロとしているのだから・・・
だがしかし、そんなことも言ってられる状況ではない、
魔女の魔術によって愚者にされてしまった若者である彼は
元に戻るためには、一刻も早くこの魔法の杖の持ち主の魔女を探し出さなければならないのだ。
愚者は勇気を振り絞って、
街を歩いているそこら辺の魔女に声をかけてみる。
「あの~・・」
案の定門前払いだった、一人目は軽く手で追い払われてしまった。
2、3人目は
「なんだいあんた、魔女でもないのに魔法の杖なんて持ち歩いて
ここはごっこ遊びの場じゃないんだよ、分かったらお家に帰んな。」
といって聞く耳を持たない。
めげずに4人目の魔女に声をかけようとするが
、いきなり声をかけたからか、もしくは魔法の杖の魔力に驚いてしまったのか、
”ヒィィーッッ”と叫びを挙げながらどこかへ逃げてしまった。
ようやく5人目でまともそうな魔女を見つけ、
「あのーこの魔法の杖の持ち主を知りませんか?
もしくは僕にかけられた魔術を解いて欲しいんですけど・・・」
「・・・・・」
魔女は数秒間沈黙した後、
両方の手のひらを挙げてお手上げのポーズをする。
立ち去ろうとする愚者の背中に
また一呼吸おいてから、
「この街の外れに、ここらで一番の腕利きの魔女がいる。
その方だったらもしかしたら何かわかるかもしれないね。」
と言葉を添えた。
ー夜ー
すっかり日が暮れてしまった。
想像以上に街の広さに
街の外れまで来るのに時間が掛かってしまったのだが
、他の魔女でもこれほどてこずる魔術を施した
魔女に対して愚者自身は少し興味を惹かれつつあった。
森の入り口のような場所に着く。
そこに一本の大きなモミの木の大木があり、
木のてっぺんに、お腹に斑模様のあるこれまた大きなフクロウが
停まっていた。
フクロウは愚者が来るのを待っていたかのように
、鳴きだし、そうかと思えば
まだら模様は矢印の形へと変化して、
ついて来いといわんばかりに月明かりのように光るその目で薄暗い森の道を照らしながら、
愚者もそれに導かれるように森の方へと歩み出し進んでいった・・・。
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表紙のメイキングhttps://youtu.be/hKI1EIZfOn0
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