上 下
12 / 60
Part 2. 蜜月

悶々としながら、お風呂を借りる※

しおりを挟む
「まってて、拭くもの持ってくる」

 遠矢は立ち上がると、棚からドライティッシュとウェットティッシュの箱をおろした。

「わりぃ……」

 良平はパンツを脱ごうとしてさすがに躊躇う。
 この汚い状況を、見せるのか? 遠矢に……。

 良平はわれにかえって、その異常な状況を改めて認識した。
 男友達の家で、男友達にキスして、激しく抱き合い、その身体で射精した?

 良平は真っ赤になった。

 遠矢はそんな良平の表情をみて言った。

「僕、出てようか? 自分でやる?」
「え? あ、すまねえ……外してて。頼むわ……」

 遠矢は顔をそむけて、部屋のドアから外に出た。

「必要なものがあれば持ってくるよ」
「わりぃ…」

 良平はひたすら謝り、床にこぼさないようにパンツを抜いだ。

『うわ……』

 良平の予想以上に、それはパンツの中になみなみと湛えられていた。自分でした時も、こんな量になったことはない。

「これ、ティッシュじゃダメだ。何か、拭くものか捨てるもの無い?」
「わかった!」

 遠矢は叫ぶと階段をトントントン、と勢いよく降りていった。
 テキパキとタオルやゴミ箱に、ビニール袋を取ってくる。
 ビニール袋にティッシュで液を搔き落とす。

『うわ、くせぇ……あーもう、遠矢の家で、遠矢の部屋で、こんなことするなんて……』

 良平は液を隠すように上からティッシュで覆い、少しでも吸わせた。
 そしてパンツの残った液を拭き取る。
 良平の身体に残った部分は、既に乾いてカピカピになりつつあった。
 遠矢がタオルをお湯で絞り、良平に渡した。
 先端に溜まったものをティッシュで拭い、タオルで周りや腰を拭く。

『こ、これ、遠矢のタオルだよな。なんかいい匂いするし……』

 良平のペニスの先端がピン、と跳ね上がり、残った液が散った。

『わ、わわわっ』

 良平は慌てて散った液をゴシゴシと拭き取った。

『ああー最低だ……もう、最悪……』

「パンツとズボン、洗濯機で洗うよ。乾燥機かけて、帰る頃には乾くと思う」
「わりー、ほんとごめん」
「いいよ、ごめんなんていらないって」

 遠矢は言いながら洗濯カゴを渡す。

「洗うものここに入れて。お風呂つけてくる。ゴミも捨てるね」

 遠矢はテキパキと言って階段を降りていった。

『なんか、凄い頼もしいな……』

 良平は遠矢に初めてそう感じた。

『あー、まずい。顔とか趣味だけじゃないや。俺自身、なんか遠矢を凄く好きになってるかも』

 こんなのこと、誰にも感じたことはない。

『いや感じるわけ無いだろ、こんなの』

 女の子を外見だけじゃなくて、本当に好きになる時って、こんな感じなんだろうか。

『いやこいつは女じゃねえし……いや、もうそんなこと関係ねえか……』

 憧れた女の子はいた。付き合うまねごとをしたこともある。
 おたがい飽きて離れていったが、まあいいか、と思った。
 だが、遠矢からは離れられるだろうか。とてもそうは思えない。

 良平は風呂を借りた。
 シャワーを浴び、股間の汚れをゴシゴシとボディーソープで落とす。

『人んちの風呂でこんなことやってるなんて、あー、すげー恥ずかしい……』

 湯船に沈み、ちら、と浴場内を見回した。遠矢のものと思しきボトルやアカスリが並んでいる。

『なにこの状況、むっちゃエロくね?』

 用意されたタオルで身体を拭き取る。

『これも遠矢のかなあ……』

 匂いを嗅ごうとして、「さすがにそれはキモすぎる」と思いとどまった。

 遠矢の部屋で、やはり借りたフリースに身を包んで待つ。

「洗濯機回してきたよ。一応、軽く洗っておとしたから、カピカピ残ったりはしないと思う」
「お前、あれ手でさわったの!?」
「だって……さわんないと、洗えないし……」

 遠矢はしどろもどろに答えた。

「わりーほんとすまない、ごめん!」

 良平はごとん、と倒れ伏し、床に頭をうちつけた。

「だーかーらー! ごめんなんていらないって! ぼ、僕のせいでこうなったんだから……」

 言いながら遠矢は真っ赤になった。
 良平も真っ赤になり、気まずくなってお互いに顔を逸らせた。

 帰り際、キスの代わりに遠矢は良平を抱きしめると、胸に頭を当て、「ぼくの方こそ、ごめんね」と言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

生意気な少年は男の遊び道具にされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

処理中です...