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本編
14.皇女エステファニアの淫らな夢(1-1)※
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エステファニアとシモンが結婚してから、およそ一年ほど経った。
一緒に休日を楽しんだあの日から、二人はだいぶ打ち解けていた。あのあとも、時折二人で余暇を過ごしたりしている。
シモンはエステファニアをそれとなく口説くことはあるが、それも彼の王太子としての振る舞いの範疇に収まる程度の不快にならない距離感だった。
今ではすっかり二人で同じベッドで寝るのが当たり前になっていたが、シモンが結婚の条件を破って不敬なことをすることもない。
二人の間には愛のある夫婦のような甘い空気や感情はないものの、王太子とその妃という仕事のパートナーとしての信頼感や、友人のような気安さが育っていた。
夜のいつもの寝室で、コンコンと扉をノックする音がした。この部屋にエステファニア以外に入る人物など、侍従を除けば一人しかいない。
「はい、どうぞ」
返事をすると、シモンが入ってきた。
「すみません、遅くなってしまいました。もしかして、お待たせしてしまいましたか?」
「いいえ、大丈夫ですわよ。ちょうど良いところだったので、夢中になっていましたわ」
エステファニアはシモンの方に本を上げて見せると、また続きを読み始めた。
「それは良かったです。では、すぐに準備をしますね」
シモンはほっと息をついて、寝る前のハーブティーを淹れ始めた。
今ではもう、エステファニアも一緒に飲んでいた。
これを飲み始めてから、シモンが言っていたとおり眠りの質が良くなって、本当にぐっすりと眠れるのだ。
シモンが側室の部屋に行った時には侍女に淹れさせて飲むほど気に入っているのだが、シモンが淹れた方が美味しかった。
以前は彼にとにかく側室の方に行って欲しいという気持ちがあったが、最近は紅茶のためにもずっとあちらに行かれては困ると思う程度に気に入っている。
しばらくすると、シモンが紅茶を淹れたティーカップを置いた。
エステファニアは切りの良いところまで本を読み進めると、栞を挟んだ。
ティーカップを手に取り、香りを楽しむ。落ち着くような甘い香りの中に少しすっきりとした清涼感があって、一日の疲れがリセットされるようだった。
飲むと、香りどおりの味わいが広がって身体に染み渡る。
一年も経てばエステファニアに任される公務も増えたし、シモンも例の鉱石の件で進展があったようで、軍服を着て忙しそうに城を出ることが増えた。
帰りも遅くなり、以前はエステファニアが寝室に来るといつもシモンが待っていたのに、今では彼の方が後に来ることが多くなった。
疲れているのか、側室の部屋に泊まる頻度も減っている。
何も知らない人に子どもを責付かれる前に作って欲しいが、最近の様子だと仕様がないだろう。
「では、そろそろ寝ますか」
「ええ。明かりは頼みましたわ」
ハーブティーを飲み終わると、シモンが言った。
エステファニアがベッドの端で横になると、シモンは明かりを消して反対側に上がり、背を向けた。
最早、わざわざシモンが寝てから潜り込むということすらしていなかった。
シモンの方が疲れているからか、ベッドに入るタイミングは同じでも、彼の方が寝るのが早い。
すうすうという寝息を聞きながら、エステファニアも眠りについた。
「……っ」
エステファニアの体を何かが這う。
その不快感に眉を寄せるが、それが何なのかを確認することはできなかった。
どうしてか瞼は開かないし、手で払おうと思っても動かない。
けれどそれを不思議に思うことはなく、そういうものなのだと、エステファニアはなぜか納得していた。
ちゅ、と僅かなリップ音のようなものが聞こえるのと同時に、エステファニアの額や頬、顎、首筋に、柔らかいものが押し当てられる。
同時に二つの何かが肌を撫で回し、それは心臓の近くまで寄ってきた。胸を包む膨らみが何かに包まれ、やわやわと揉まれる。
そこで、エステファニアは自分が衣類を身に纏っていないことに気付いた。
さらに揉まれている二つの脂肪の先端を撫でられて、吐息が漏れる。
「んっ……」
乳頭を、硬い皮で覆われた、柔らかいものに撫でられる。
エステファニアのものとは違うが、知っている感触だった。指だ。体に触れる何かは、人の手なのだ。
久しぶりの性感に、乳頭がぴんと立ち上がる。それを摘まんで捏ねられて、エステファニアはもぞもぞと体を揺らした。
最近はシモンがこちらで寝ることが多いので、一人で自分を慰めることもできていなかったのだ。
今日も、エステファニアはシモンと共にベッドに入って眠ったはずで……ならば、これは夢なのだろうか?
起きて本当に夢なのか確認したいような気持ちと、せっかくの欲を満たしてくれる夢から覚めたくない気持ちがせめぎ合う。
そんな中でも乳頭を愛撫する手は動き続けていて、性感が体を走っていく。
それはずっと微弱な電流を流されているようで、くすぐったさと気持ち良さの狭間のような感覚に、甘えるような声が漏れてしまう。
「ぁっ……んん、ん……んっ……」
乾いた身体が満たされていく感覚に、エステファニアの中で目を覚まそうという考えは霧散した。
せっかくの淫らな夢だ。こんな夢、見たくても見られないのだから、楽しまなければ損だろう。
自分で妄想して手を動かすのとは違う快楽を、まやかしでも良いから味わいたかった。
腫れ上がった乳頭をぴんっと弾かれて腰が跳ねる。そのまま何度も嬲られ、エステファニアの白い肌を汗がつたった。
胸だけじゃなくて下の方も触って欲しいと思っていると、乳房を触っていた手が離れた。
そして両脚を大きく広げられ、ドクンと心臓が高鳴る。
秘部に空気が触れてひんやりとする感覚に、そこが十分に濡れていることを知った。
脚を掴んでいた手が離れたかと思うと、くぱりと割れ目を開かれる。
自分でも見たことがない性器を晒されていると思うと、息が荒くなった。
一緒に休日を楽しんだあの日から、二人はだいぶ打ち解けていた。あのあとも、時折二人で余暇を過ごしたりしている。
シモンはエステファニアをそれとなく口説くことはあるが、それも彼の王太子としての振る舞いの範疇に収まる程度の不快にならない距離感だった。
今ではすっかり二人で同じベッドで寝るのが当たり前になっていたが、シモンが結婚の条件を破って不敬なことをすることもない。
二人の間には愛のある夫婦のような甘い空気や感情はないものの、王太子とその妃という仕事のパートナーとしての信頼感や、友人のような気安さが育っていた。
夜のいつもの寝室で、コンコンと扉をノックする音がした。この部屋にエステファニア以外に入る人物など、侍従を除けば一人しかいない。
「はい、どうぞ」
返事をすると、シモンが入ってきた。
「すみません、遅くなってしまいました。もしかして、お待たせしてしまいましたか?」
「いいえ、大丈夫ですわよ。ちょうど良いところだったので、夢中になっていましたわ」
エステファニアはシモンの方に本を上げて見せると、また続きを読み始めた。
「それは良かったです。では、すぐに準備をしますね」
シモンはほっと息をついて、寝る前のハーブティーを淹れ始めた。
今ではもう、エステファニアも一緒に飲んでいた。
これを飲み始めてから、シモンが言っていたとおり眠りの質が良くなって、本当にぐっすりと眠れるのだ。
シモンが側室の部屋に行った時には侍女に淹れさせて飲むほど気に入っているのだが、シモンが淹れた方が美味しかった。
以前は彼にとにかく側室の方に行って欲しいという気持ちがあったが、最近は紅茶のためにもずっとあちらに行かれては困ると思う程度に気に入っている。
しばらくすると、シモンが紅茶を淹れたティーカップを置いた。
エステファニアは切りの良いところまで本を読み進めると、栞を挟んだ。
ティーカップを手に取り、香りを楽しむ。落ち着くような甘い香りの中に少しすっきりとした清涼感があって、一日の疲れがリセットされるようだった。
飲むと、香りどおりの味わいが広がって身体に染み渡る。
一年も経てばエステファニアに任される公務も増えたし、シモンも例の鉱石の件で進展があったようで、軍服を着て忙しそうに城を出ることが増えた。
帰りも遅くなり、以前はエステファニアが寝室に来るといつもシモンが待っていたのに、今では彼の方が後に来ることが多くなった。
疲れているのか、側室の部屋に泊まる頻度も減っている。
何も知らない人に子どもを責付かれる前に作って欲しいが、最近の様子だと仕様がないだろう。
「では、そろそろ寝ますか」
「ええ。明かりは頼みましたわ」
ハーブティーを飲み終わると、シモンが言った。
エステファニアがベッドの端で横になると、シモンは明かりを消して反対側に上がり、背を向けた。
最早、わざわざシモンが寝てから潜り込むということすらしていなかった。
シモンの方が疲れているからか、ベッドに入るタイミングは同じでも、彼の方が寝るのが早い。
すうすうという寝息を聞きながら、エステファニアも眠りについた。
「……っ」
エステファニアの体を何かが這う。
その不快感に眉を寄せるが、それが何なのかを確認することはできなかった。
どうしてか瞼は開かないし、手で払おうと思っても動かない。
けれどそれを不思議に思うことはなく、そういうものなのだと、エステファニアはなぜか納得していた。
ちゅ、と僅かなリップ音のようなものが聞こえるのと同時に、エステファニアの額や頬、顎、首筋に、柔らかいものが押し当てられる。
同時に二つの何かが肌を撫で回し、それは心臓の近くまで寄ってきた。胸を包む膨らみが何かに包まれ、やわやわと揉まれる。
そこで、エステファニアは自分が衣類を身に纏っていないことに気付いた。
さらに揉まれている二つの脂肪の先端を撫でられて、吐息が漏れる。
「んっ……」
乳頭を、硬い皮で覆われた、柔らかいものに撫でられる。
エステファニアのものとは違うが、知っている感触だった。指だ。体に触れる何かは、人の手なのだ。
久しぶりの性感に、乳頭がぴんと立ち上がる。それを摘まんで捏ねられて、エステファニアはもぞもぞと体を揺らした。
最近はシモンがこちらで寝ることが多いので、一人で自分を慰めることもできていなかったのだ。
今日も、エステファニアはシモンと共にベッドに入って眠ったはずで……ならば、これは夢なのだろうか?
起きて本当に夢なのか確認したいような気持ちと、せっかくの欲を満たしてくれる夢から覚めたくない気持ちがせめぎ合う。
そんな中でも乳頭を愛撫する手は動き続けていて、性感が体を走っていく。
それはずっと微弱な電流を流されているようで、くすぐったさと気持ち良さの狭間のような感覚に、甘えるような声が漏れてしまう。
「ぁっ……んん、ん……んっ……」
乾いた身体が満たされていく感覚に、エステファニアの中で目を覚まそうという考えは霧散した。
せっかくの淫らな夢だ。こんな夢、見たくても見られないのだから、楽しまなければ損だろう。
自分で妄想して手を動かすのとは違う快楽を、まやかしでも良いから味わいたかった。
腫れ上がった乳頭をぴんっと弾かれて腰が跳ねる。そのまま何度も嬲られ、エステファニアの白い肌を汗がつたった。
胸だけじゃなくて下の方も触って欲しいと思っていると、乳房を触っていた手が離れた。
そして両脚を大きく広げられ、ドクンと心臓が高鳴る。
秘部に空気が触れてひんやりとする感覚に、そこが十分に濡れていることを知った。
脚を掴んでいた手が離れたかと思うと、くぱりと割れ目を開かれる。
自分でも見たことがない性器を晒されていると思うと、息が荒くなった。
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