1 / 1
序章
始まり
しおりを挟む
ふとログが窓の外を見ると、丁度木々や街道だけでなく空まで桃色に染め上げるサクラの花びらが風に巻かれて飛び立つところだった。
この近くにのみ生えているサクラ。それは昔何処からか現れた人物がひっそりと植えていったものらしく、ここ一帯の道はその頃の名残で「サクラナミキ」と呼ばれている。この世界ではおそらく生息していない珍しい植物で、その上花が咲くと見惚れる程壮大な美しい景色が窺える事もあり、この季節になると観光客が訪れることも多い。
そんな具合で賑わっている街道を暫し見つめた後、視線を外す。
廊下に並ぶ幾つかの扉の中の1つに近づき、ドアノブに手をかける。
目を瞑りこの部屋の主に心の中で断りを入れ、ドアノブを引く──
その瞬間、フワッとした風が頬に吹き付け、桃色の何かが目に飛び込んできた。
「…っ、窓が」
それはサクラの花びらで、部屋の奥を見ると窓が開いているのが見えた。
「閉めたはずだったけど」
と言いつつも、特に不可解に感じることも無く少し寂れた部屋を歩く。ここは元々祖父の部屋で、数年前に亡くなるまで過ごしていた部屋だ。この世界では見かけない物が多く散乱している。
そんな部屋の奥へ行き、窓に手を掛けようとして、ふと窓の横の机にある物に目が行った。
「……、これは……本……?」
昨日までは確かに無かったものだ。引き出しにあったのかもしれないが、開けたことが無いので確認のしようがない。それ以前にログはここに1人で暮らしている。誰かが移動させたとも考えづらいが……
そんなことを考えていると、この本に何かが挟まっているのに気づく。何も考えずその紙を引き抜き、読もうとした──瞬間、部屋の中が眩く光り始め、窓と扉が勢いよく閉まり部屋自身が激しく振動を始めた。 余りの明るさに目が眩み、揺れに耐えきれず床に倒れ込む。必死に手探りで壁に這い寄り、どうにか座り込んで目を開けると───
───目の前に見知らぬ少女が立っていた。
この近くにのみ生えているサクラ。それは昔何処からか現れた人物がひっそりと植えていったものらしく、ここ一帯の道はその頃の名残で「サクラナミキ」と呼ばれている。この世界ではおそらく生息していない珍しい植物で、その上花が咲くと見惚れる程壮大な美しい景色が窺える事もあり、この季節になると観光客が訪れることも多い。
そんな具合で賑わっている街道を暫し見つめた後、視線を外す。
廊下に並ぶ幾つかの扉の中の1つに近づき、ドアノブに手をかける。
目を瞑りこの部屋の主に心の中で断りを入れ、ドアノブを引く──
その瞬間、フワッとした風が頬に吹き付け、桃色の何かが目に飛び込んできた。
「…っ、窓が」
それはサクラの花びらで、部屋の奥を見ると窓が開いているのが見えた。
「閉めたはずだったけど」
と言いつつも、特に不可解に感じることも無く少し寂れた部屋を歩く。ここは元々祖父の部屋で、数年前に亡くなるまで過ごしていた部屋だ。この世界では見かけない物が多く散乱している。
そんな部屋の奥へ行き、窓に手を掛けようとして、ふと窓の横の机にある物に目が行った。
「……、これは……本……?」
昨日までは確かに無かったものだ。引き出しにあったのかもしれないが、開けたことが無いので確認のしようがない。それ以前にログはここに1人で暮らしている。誰かが移動させたとも考えづらいが……
そんなことを考えていると、この本に何かが挟まっているのに気づく。何も考えずその紙を引き抜き、読もうとした──瞬間、部屋の中が眩く光り始め、窓と扉が勢いよく閉まり部屋自身が激しく振動を始めた。 余りの明るさに目が眩み、揺れに耐えきれず床に倒れ込む。必死に手探りで壁に這い寄り、どうにか座り込んで目を開けると───
───目の前に見知らぬ少女が立っていた。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが集団お漏らしする話
赤髪命
大衆娯楽
※この作品は「校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話」のifバージョンとして、もっと渋滞がひどくトイレ休憩云々の前に高速道路上でバスが立ち往生していた場合を描く公式2次創作です。
前作との文体、文章量の違いはありますがその分キャラクターを濃く描いていくのでお楽しみ下さい。(評判が良ければ彼女たちの日常編もいずれ連載するかもです)
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる