5 / 6
第一章 イカれた王国
店
しおりを挟む
「おいしい!」
「そうかい、良かったねぇ嬢ちゃん」
「うん!」
あの後言葉に甘えて店に入れてもらい、ちょうど少女が目を覚まし、ご飯まで出してくれていたのだった。
食事として出されたクロワッサンとコーンスープからは湯気が立ち上っており、コーンスープとバターの甘い香りが鼻腔をくすぐる。久々のしっかりとしたご飯に感動していると、隣ではしゃいでいた少女がこちらを振り向き、
「おにーさんたべないの?」
「なんか苦手なもんでも入ってたのか?まあ俺は無理してでも食える時に食っとくのをオススメするがな!」
ガハハ、などと言ってきたので、首をぶんぶん横に振り、
「そんなことないですよ!……久々のしっかりとした食事につい……」
……自分で言ってて悲しくなるな…と思いつつしんみりと言うと、男が
「ってこたぁ、お前さん下級民出身か?」
と聞いてきたので、驚いて男を見ていると
「ああいや、すまん、悪気があったわけじゃあないんだが……俺も元々はそうでな。まあ今でも扱いは変わってないが……」
「……そうだったんですか」
と相槌を打ちつつコーンスープに口をつける。
「ぁ………」
思わず吐息をこぼしてしまう。
──スープはこんなにも温かいものだったのか……
今まであの屋敷で食事として出されていたのは味のない水のような液体だったのだ。ここまで美味しいと思えるスープを飲んだのは初めてだった。
「喜んでくれたみてーで、よかったよ」
そんな俺や少女を見て男は満更でもなさそうな表情をしていた。
「そうかい、良かったねぇ嬢ちゃん」
「うん!」
あの後言葉に甘えて店に入れてもらい、ちょうど少女が目を覚まし、ご飯まで出してくれていたのだった。
食事として出されたクロワッサンとコーンスープからは湯気が立ち上っており、コーンスープとバターの甘い香りが鼻腔をくすぐる。久々のしっかりとしたご飯に感動していると、隣ではしゃいでいた少女がこちらを振り向き、
「おにーさんたべないの?」
「なんか苦手なもんでも入ってたのか?まあ俺は無理してでも食える時に食っとくのをオススメするがな!」
ガハハ、などと言ってきたので、首をぶんぶん横に振り、
「そんなことないですよ!……久々のしっかりとした食事につい……」
……自分で言ってて悲しくなるな…と思いつつしんみりと言うと、男が
「ってこたぁ、お前さん下級民出身か?」
と聞いてきたので、驚いて男を見ていると
「ああいや、すまん、悪気があったわけじゃあないんだが……俺も元々はそうでな。まあ今でも扱いは変わってないが……」
「……そうだったんですか」
と相槌を打ちつつコーンスープに口をつける。
「ぁ………」
思わず吐息をこぼしてしまう。
──スープはこんなにも温かいものだったのか……
今まであの屋敷で食事として出されていたのは味のない水のような液体だったのだ。ここまで美味しいと思えるスープを飲んだのは初めてだった。
「喜んでくれたみてーで、よかったよ」
そんな俺や少女を見て男は満更でもなさそうな表情をしていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】王太子妃の初恋
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。
王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。
しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。
そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。
★ざまぁはありません。
全話予約投稿済。
携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。
報告ありがとうございます。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる