上 下
26 / 32
石化の少女

ケリュネイアの雌鹿 13

しおりを挟む
「ほう、貴様、光の一族の末裔か・・・・」

 カントウの言葉に耳を貸すこともせず、ジュンは両手をクロスさせ光線を放つ。

 しかし、その光線も魔法障壁に弾かれた。

 光線が尽きるのをまって、カントウは火炎弾を放つ。

 ジュンは、それを右方向に転がるように避けた。

 今度は光輪を放つ。

 しかし、今度も、光輪は魔法障壁に砕かれ、その攻撃はカントウに届かない。

「なるほど、奇妙な術をつかう・・・・。
 その腕輪の機能も興味深い・・・・」

 再び、カントウは火炎弾を放つ。

 よけきれないと判断したジュンは、ブレスレットを盾に変え、その攻撃を凌ぐ。

「取っ捕まえて、いろいろと調べさせていただくこととしようか・・・・」

 カントウは、間髪おかず、火炎弾を放つ。

 そして、ゆっくりとジュンとの距離を狭めていく。

 ジュンは、カントウの放つ火炎弾を盾にこもってなんとか耐えつつ、カントウとの間合いを計る。

 そして、カントウが、自分の力で届く距離まで近付いたところで、ジュンは、足元の小さな砂礫を拾い集め、カントウに向かって投げ放った。

 目つぶしのように飛来した砂礫にカントウは、思わず顔を背ける。

 よし、魔力を伴わない攻撃なら通る・・・・

「テレポート!」

 ポケットの中のカプセルが強い光りを放つや否や、ジュンの姿が消えた。
 そして、同時にカントウの足元にその姿を現す。

「てえぇぇい!」

 ジュンは、盾を短剣に変化させるとカントウの足元から、その短剣を突き上げる。

「クッ・・・!」

 カントウは手甲で、その短剣をはらいのけようとする。

「伸びろ!」

 ジュンの気合とともに、短剣の柄が槍のように長く伸び、手甲よりも速くカントウの眼前に切っ先が迫る。

 のけぞるように切っ先をよけるカントウ。

 カントウに届くかと思われた切っ先は自動的に展開された魔法障壁に阻まれる。

「はっ!」

 次の瞬間、ジュンは、短剣の頭側の柄を伸長させ、棒高跳びの要領で、空中高く舞い上がっていた。

「流星キィ~ック!!」

 のけぞるような姿勢でバランスを崩していたカントウの顔面にジュンの飛び蹴りがさく裂する。

 仰向けに蹴り倒されたカントウは、地面の瓦礫に後頭部を強打し、”うっ”と小さく声を上げた後、意識を失った。

「よしっ!
 勝った~!」

 ジュンは、右手を天に突き上げ、勝ち名乗りを上げる。

「さてと・・・・」

 意識が戻る前に・・・・と、ジュンはカントウの懐を探り始める。

 カントウの懐に、小ぶりの杖はあったが、目指す青い宝石のついた杖ではなかった。

「残念・・・・。
 とすると、あの杖は、もう一人の男の方が持ってるってこと・・・・か」

 それはさておき、とりあえずは、まあ、戦利品ということで・・・・と、ジュンは、カントウの懐から出てきた小ぶりな杖、腰についていたマジックバック、ポケットに入っていた小物など持って帰れそうなものはすべてはぎとって、自分の包みにしまい込む。

「これでよしっ。
 急いで、カグヤのところに向かわないと・・・・」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

西涼女侠伝

水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超  舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。  役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。  家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。  ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。  荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。  主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。  三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)  涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~

神城弥生
ファンタジー
なろう小説サイトにて「HJ文庫2018」一次審査突破しました!! 皆様のおかげでなろうサイトで120万pv達成しました! ありがとうございます! VRMMOを造った山下グループの最高傑作「Another Of Life Game」。 山下哲二が、死ぬ間際に完成させたこのゲームに込めた思いとは・・・? それでは皆様、AOLの世界をお楽しみ下さい! 毎週土曜日更新(偶に休み)

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

勘当されたい悪役は自由に生きる

雨野
恋愛
 難病に罹り、15歳で人生を終えた私。  だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?  でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!  ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?  1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。  ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!  主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!  愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。  予告なく痛々しい、残酷な描写あり。  サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。  小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。  こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。  本編完結。番外編を順次公開していきます。  最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

処理中です...