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25.国を超えて仲良し
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6人の子どもたちは、テーブルを囲ってそれぞれの椅子に座った。
ミサトが焼きたてのクッキーをテーブルに置いた。子どもたちは、目を輝かせてクッキーを目で追う。
「リサ、紹介するわね。左の子から、名前はファイト、9歳で、頑張り屋の男の子よ。足が早くてね、たまにイノシシの肉が配達くるでしょ、それを狩ってくれているの」
ミサトが一番に紹介したファイトは、黒人だった。痩せていて、ひょろっと背が高い。170センチはあるように見えた。
「はじめまして、ファイトです。新宿で彷徨ってたところ、紗羅さんに拾ってもらいました」
ファイトは、大きな目をくるくるまわして、あどけない笑顔で頭を下げる。
「はじめまして、倉田リサです。最近この村にきた、新米です」
私もつられるように頭を下げて、あわてて自己紹介をした。
「二人とも、そんなにかしこまらなくて良いから!」
ミサトは、おかしそうに笑って、次の子を紹介する。
「ファイトの隣の子は、タロウよ。5歳だけど、よくお手伝いしてくれるのよ」
ミサトは、タロウの頭を撫でながら言った。
「おばちゃん、こんにちは!」
タロウは、つぶらな目を輝かせて挨拶をしてくれる。ほっぺが赤くて、素直そうな子に見えた。
「タロウの隣の子は、ミチルちゃん。8歳だから、ファイトの1つ下ね。みんなのお姉さん的な存在よ!」
ミチルちゃんは、8歳にしては大人びた笑顔を見せて、丁寧に挨拶をする。笑うとエクボができて、可愛い。
「ミチルちゃんの隣はね、チョロちゃん、3歳でお調子者、チョロちゃんの隣は、ハナコちゃん、6歳なのに、自分の世界がある。あまり話さないけど、話したときは、しっかりと自分の意見を言う子よ」
子どもたちがクッキーを食べたそうにもぞもぞとし始めたので、口早に紹介していく。
チョロちゃんは、「ピース!」と右手でポーズをとる。ハナコちゃんは、言葉は出さず、静かに礼だけをした。
「最後に、ジル。ジルは、たぶんドイツ人だと思う。5歳よ。まわりの子の心配をいつもしている優しくて空気が読める子よ!」
ニッコリとはにかむように笑うジルの青い目は、大空を連想させるような広い空間を感じさせる。
「さあ!お待たせ!お待ちかねのクッキーを食べましょう!」
アイリがクッキーがてんこ盛りにのった皿を子どもたちに勧める。子どもたちは、嬉しそうに、クッキーを手に取って、食べ始めた。
「ほっぺたがおちるほど、おいしい!」
チョロちゃんは、2枚目のクッキーに手をつけながら元気よく言った。
「よくそんなことわざ、知ってるわね」
ミサトは感心して言った。
「ミチル姉ちゃんに教えてもらった。ご馳走様を食べたときに言ったら良いって。姉ちゃんは、なんでも知ってるよ!」
チョロちゃんは、ペロっと舌をだして言う。確かに、お調子者のようだった。
「もう、チョロは本当に、お調子者なんだーら」
ミチルちゃんは、そう言いながらも、満更でないように、頬を赤くしている。
「ふふふ、子どもたちはね、国籍は違うけど、みんな仲良しなのよ」
ミサトは、クッキーを頬張る子どもたちを、嬉しそうに見ながら話す。
「そうね、畑のおじさんやおばさんが親代わりでね、みんな血のつながりはなく、国籍も違うけど、肩を寄せ合って生きてるの。たまにね、草原の家にも、遊びに来てくれるのよ」
アイリも頷いて、嬉しそうに言った。
「子どもたちも、しっかりお手伝いをして、良い子なのよ。草原の家のことも、手伝ってくれるのよ」
ミサトは腰に手をおいて、自慢気に話した。
癒しの村では、みんな何かの役割をもちながら、繋がりをもっているのも、仲良しの秘訣なのかもしれない。
電気やガスがなく、機械もなく、すべてを自分たちで作っているから、満足感も高いのかもしれない。
今まで、決して埋められなかった心の隙間が、少しずつ埋まっているのが感じられる。
ミサトが焼きたてのクッキーをテーブルに置いた。子どもたちは、目を輝かせてクッキーを目で追う。
「リサ、紹介するわね。左の子から、名前はファイト、9歳で、頑張り屋の男の子よ。足が早くてね、たまにイノシシの肉が配達くるでしょ、それを狩ってくれているの」
ミサトが一番に紹介したファイトは、黒人だった。痩せていて、ひょろっと背が高い。170センチはあるように見えた。
「はじめまして、ファイトです。新宿で彷徨ってたところ、紗羅さんに拾ってもらいました」
ファイトは、大きな目をくるくるまわして、あどけない笑顔で頭を下げる。
「はじめまして、倉田リサです。最近この村にきた、新米です」
私もつられるように頭を下げて、あわてて自己紹介をした。
「二人とも、そんなにかしこまらなくて良いから!」
ミサトは、おかしそうに笑って、次の子を紹介する。
「ファイトの隣の子は、タロウよ。5歳だけど、よくお手伝いしてくれるのよ」
ミサトは、タロウの頭を撫でながら言った。
「おばちゃん、こんにちは!」
タロウは、つぶらな目を輝かせて挨拶をしてくれる。ほっぺが赤くて、素直そうな子に見えた。
「タロウの隣の子は、ミチルちゃん。8歳だから、ファイトの1つ下ね。みんなのお姉さん的な存在よ!」
ミチルちゃんは、8歳にしては大人びた笑顔を見せて、丁寧に挨拶をする。笑うとエクボができて、可愛い。
「ミチルちゃんの隣はね、チョロちゃん、3歳でお調子者、チョロちゃんの隣は、ハナコちゃん、6歳なのに、自分の世界がある。あまり話さないけど、話したときは、しっかりと自分の意見を言う子よ」
子どもたちがクッキーを食べたそうにもぞもぞとし始めたので、口早に紹介していく。
チョロちゃんは、「ピース!」と右手でポーズをとる。ハナコちゃんは、言葉は出さず、静かに礼だけをした。
「最後に、ジル。ジルは、たぶんドイツ人だと思う。5歳よ。まわりの子の心配をいつもしている優しくて空気が読める子よ!」
ニッコリとはにかむように笑うジルの青い目は、大空を連想させるような広い空間を感じさせる。
「さあ!お待たせ!お待ちかねのクッキーを食べましょう!」
アイリがクッキーがてんこ盛りにのった皿を子どもたちに勧める。子どもたちは、嬉しそうに、クッキーを手に取って、食べ始めた。
「ほっぺたがおちるほど、おいしい!」
チョロちゃんは、2枚目のクッキーに手をつけながら元気よく言った。
「よくそんなことわざ、知ってるわね」
ミサトは感心して言った。
「ミチル姉ちゃんに教えてもらった。ご馳走様を食べたときに言ったら良いって。姉ちゃんは、なんでも知ってるよ!」
チョロちゃんは、ペロっと舌をだして言う。確かに、お調子者のようだった。
「もう、チョロは本当に、お調子者なんだーら」
ミチルちゃんは、そう言いながらも、満更でないように、頬を赤くしている。
「ふふふ、子どもたちはね、国籍は違うけど、みんな仲良しなのよ」
ミサトは、クッキーを頬張る子どもたちを、嬉しそうに見ながら話す。
「そうね、畑のおじさんやおばさんが親代わりでね、みんな血のつながりはなく、国籍も違うけど、肩を寄せ合って生きてるの。たまにね、草原の家にも、遊びに来てくれるのよ」
アイリも頷いて、嬉しそうに言った。
「子どもたちも、しっかりお手伝いをして、良い子なのよ。草原の家のことも、手伝ってくれるのよ」
ミサトは腰に手をおいて、自慢気に話した。
癒しの村では、みんな何かの役割をもちながら、繋がりをもっているのも、仲良しの秘訣なのかもしれない。
電気やガスがなく、機械もなく、すべてを自分たちで作っているから、満足感も高いのかもしれない。
今まで、決して埋められなかった心の隙間が、少しずつ埋まっているのが感じられる。
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