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18.畑で何かを栽培している
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翌日、日の出とともに、アキヲと宿を出た。ナミや両親はまだ眠っていたので、何も言わずに出ることにした。
朝陽が眩しく輝いている。きらりとした光が目を突いてくる。
私は、アキヲの後ろについて、畑に行く道をずんずんと進む。
「ねえ、昨日はなんで早く家を出たの?」
後ろからアキヲに向かって話しかける。
「ああ、言ってなかったっけ?昨日から、畑で働いているんだ」
アキヲは、さらりと答える。
「え?聞いてないよ」
私は、口を尖らせ、不満気に言い返す。
「ごめんごめん。田辺さんが、草原の家に持って行った野菜は、俺が掘り起こしたやつだよ」
アキヲは、悪びれもなく笑って言う。
「楽しかった?」
「体動かして働くの、初めてだからさ。最初きつかったけど、終わったとき汗流して働いたのが気持ち良かった」
アキヲの背中は、照れたように丸まっている。畑作業が気持ちいいことが、恥ずかしいみたいだった。
「良いじゃない!」
私は、大袈裟に言うと、アキヲは急に立ち止まる。私は、アキヲの背中に鼻をぶつけてしまう。
「アキヲ?どうしたの?」
私が聞くと、アキヲは、「静かに」と私の口を右手で塞ぐ。
「昨日見た、怪しい荷台だよ」
アキヲは、声を潜めて言った。私たちは、道の木々の後ろに隠れて、荷台と4人の人の影を見守った。
昨日のアキヲの話し通りだった。荷台に、何か積まれているが、黒い布が被さり、ここからでは、何が積まれているのか見えなかった。
「追ってみよう」
アキヲは、静かに言うと、木々に隠れながら怪しい人たちを追っていく。
私もアキヲに続いて、木々の隙間を縫って荷台と怪しい人を追った。
怪しい人たちは、黒い衣をまとい、顔を隠しているので、誰なのかわからない。体つきで、なんとなく、男女が識別できるくらいだった。
荷台を動かしているのは、男性だろう。息遣いも感じられない。かなり力がある男性に見えた。
畑道を通り、更に奥へと進み、森のような木々に囲われた入り口にたどり着く。
アキヲと私は、息を押し殺し、木々の隙間でじっと見張った。
荷台は、鬱蒼とした木々の入り口を入っていく。私とアキヲも、足を忍ばせて追っていく。
「!なに?」
私は、中に踏み込んだ瞬間、思わず声をだしてしまった。
畑なのだろうか?
森の入り口だと思われたが、中に入ると、森にカモフラージュされた、様々な花や草木が栽培されている畑のような空間が広がっていた。
所々に、植木鉢やプランターが置かれ、苗が植えられているものもある。
まるで、人工的な畑模様だった。
「だれだ?!」
私とアキヲの気配に気づいたのか、荷台を引く男がこちらを向いて怒鳴り上げた。
その瞬間、私は目を見張った。
「!お坊さん!」
その男は、山の麓の寺で、コンパスをくれた僧侶だった。
「逃げろ!」
アキヲは、私の手を引いて駆け出した。私は、アキヲに手を引かれ、できるだけ早く走った。
今まで、こんなに早く、長く、走ったことはないくらい、無我夢中で走り抜けた。
朝陽が眩しく輝いている。きらりとした光が目を突いてくる。
私は、アキヲの後ろについて、畑に行く道をずんずんと進む。
「ねえ、昨日はなんで早く家を出たの?」
後ろからアキヲに向かって話しかける。
「ああ、言ってなかったっけ?昨日から、畑で働いているんだ」
アキヲは、さらりと答える。
「え?聞いてないよ」
私は、口を尖らせ、不満気に言い返す。
「ごめんごめん。田辺さんが、草原の家に持って行った野菜は、俺が掘り起こしたやつだよ」
アキヲは、悪びれもなく笑って言う。
「楽しかった?」
「体動かして働くの、初めてだからさ。最初きつかったけど、終わったとき汗流して働いたのが気持ち良かった」
アキヲの背中は、照れたように丸まっている。畑作業が気持ちいいことが、恥ずかしいみたいだった。
「良いじゃない!」
私は、大袈裟に言うと、アキヲは急に立ち止まる。私は、アキヲの背中に鼻をぶつけてしまう。
「アキヲ?どうしたの?」
私が聞くと、アキヲは、「静かに」と私の口を右手で塞ぐ。
「昨日見た、怪しい荷台だよ」
アキヲは、声を潜めて言った。私たちは、道の木々の後ろに隠れて、荷台と4人の人の影を見守った。
昨日のアキヲの話し通りだった。荷台に、何か積まれているが、黒い布が被さり、ここからでは、何が積まれているのか見えなかった。
「追ってみよう」
アキヲは、静かに言うと、木々に隠れながら怪しい人たちを追っていく。
私もアキヲに続いて、木々の隙間を縫って荷台と怪しい人を追った。
怪しい人たちは、黒い衣をまとい、顔を隠しているので、誰なのかわからない。体つきで、なんとなく、男女が識別できるくらいだった。
荷台を動かしているのは、男性だろう。息遣いも感じられない。かなり力がある男性に見えた。
畑道を通り、更に奥へと進み、森のような木々に囲われた入り口にたどり着く。
アキヲと私は、息を押し殺し、木々の隙間でじっと見張った。
荷台は、鬱蒼とした木々の入り口を入っていく。私とアキヲも、足を忍ばせて追っていく。
「!なに?」
私は、中に踏み込んだ瞬間、思わず声をだしてしまった。
畑なのだろうか?
森の入り口だと思われたが、中に入ると、森にカモフラージュされた、様々な花や草木が栽培されている畑のような空間が広がっていた。
所々に、植木鉢やプランターが置かれ、苗が植えられているものもある。
まるで、人工的な畑模様だった。
「だれだ?!」
私とアキヲの気配に気づいたのか、荷台を引く男がこちらを向いて怒鳴り上げた。
その瞬間、私は目を見張った。
「!お坊さん!」
その男は、山の麓の寺で、コンパスをくれた僧侶だった。
「逃げろ!」
アキヲは、私の手を引いて駆け出した。私は、アキヲに手を引かれ、できるだけ早く走った。
今まで、こんなに早く、長く、走ったことはないくらい、無我夢中で走り抜けた。
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