8 / 9
第八話 ラルク王子を操る者
しおりを挟む
カトレアの脳裏に浮かんだのは、サンドリア城の裏庭にある〈家名の祠で〉あった。秘密基地の近くにあるので、いつも気になっていたのだ。
〈家名の祠〉は古く、入り口には蜘蛛の巣がはられ、分厚い埃がたまっていることから、しばらくは誰も入っていない様子だった。
「でも、婆やがいつも言っていたのを覚えてる。‘’古のとき、魔女の毒を解く粉は、家名の祠にあり。扉はドラゴンの後継者のみ開かれる‘’ってね。開くかわからないけど、行ってみましょうよ!」
カトレアは皆に説明すると、早速ソフィアの家を後にしようと準備を始めた。
「そうね、謎の言葉だけど、意味深ね。行く価値あるわ」
「でも、ドラゴンの後継者って誰だろう?」
「うーん、王家の者であるのは、間違いないわ」
「じゃあ、カトレア姫の可能性もある?」
「おてんばでも後継者になれるのか?」
サラ、ランドン、ソフィアは、口々に考えを口にしながらも、カトレアの後について行く。
「大丈夫!なんとかなるわ!」
カトレアは、根拠はないのに自信満々で言った。
△△△△△△△
祠へ行く道は簡単であった。
サンドリア国からの攻撃を守るため、兵は主に国境に送られている。
城や城下町には、警備兵や救急隊を時々見かけるだけだった。
脱走をしたカトレアを追うまでの余裕はないのだろう、カトレアにとっては好都合だった。
四人はできるだけ目立たないように、城の裏門からこっそりと入り、祠へ向かった。
「ここよ、ぼろぼろの寺院みたいでしょう」
カトレアは、祠を指さして、入り口の扉の前に立った。
「あとは、どうやったら開くのか、、」
「ここに、掌の形をした石版があります」
ソフィアは鋭い観察力で、扉の横につけられた石版を指差した。
「なんだ?これは」
ランドンは首を捻って唸る。
「たぶん、ドラゴンの後継者が、その手形に合わせて手を合わせれば、扉は開くのだと思います。今まで誰も手形が合わなかったから、古びて誰も気にしなくなったのでしょう」
ソフィアは古文書を手に取って解説する。
「じゃあ、私が、、、」
カトレアが自信なさそうに、手形に手のひらを合わせてみる。
「、、、、、」
何の反応もなく、扉は固く閉まったままであった。
「やっぱり、駄目よね、、私以外の王家、妹を連れてこようかな」
カトレアが諦めて引き返そうとしたところ、
「待って!扉があく!」
サラがカトレアの肩を掴んで叫んだ。
「え?」
手形の石版が光り輝き、扉が開き始めた。
「うそ」
カトレアは、呆気にとられてぽかんと開いた扉を見た。
「カトレア姫が、金のドラゴンの後継者だったのですね」
ソフィアは、憧れるようにうっとりとカトレアを見て言った。
「おてんばでも後継者になれるんだな」
ランドンは、感心しながら頷く。
「とにかく進もう!」
サラは戸惑っている3人の先頭を切って、祠の中に入っていく。
慌てて、カトレア、ランドン、ソフィアと続いていく。
祠の中は真っ暗であった。
サラが用意しておいたランタンに火を灯す。
「わああ」
火が照らされると、ドラゴンの像と共に、宝箱が置いてある。
「ルーン文字だわ。えーと、金のドラゴンの後継者に幸あらん。宝を持ち、勇気を持って進め、と書かれているわ」
「じゃあ、宝を開けるね」
カトレアは恐る恐る宝箱を開けると、中には粉の入った瓶が入っていた。
「これよ!毒をとく粉!まさか、本当にあったなんて」
ソフィアは、興奮して顔を上気させる。
「すげえ、まじか」
「これで、ラルク王子の憑依がとける」
「やったぜ!」
カトレアは、ラルク王子に早く会いたくてたまらなくなっていた。
王子のことを考えると、不思議と胸が高鳴り、会いたくて会いたくてたまらなくなる。
「でも、いったい、誰がラルク王子を操っているのかしら?」
カトレアは、素朴な疑問を口にしてみる。
「それはたぶん、白のドラゴンの後継者だと思います」
「白のドラゴンの後継者?」
「ええ、たぶんですが、ラリアン王国の、王家の血を引く者。女だと思います」
「そいつを突き止めて、やっつければ災いはなくなるんじゃない?」
サラは考え深い表情になって発言する。
「そうかもしれません、でも、白のドラゴンの魔力はそれは強く、誰もかなうものがいなかったから、神が封印をしたのです」
ソフィアは、困惑顔で話した。
それでも、もしかしたら何か策があるかもしれない。カトレアたちは一筋の希望を見出し、秘宝を手に入れ、サンドリア城に向かった。
〈家名の祠〉は古く、入り口には蜘蛛の巣がはられ、分厚い埃がたまっていることから、しばらくは誰も入っていない様子だった。
「でも、婆やがいつも言っていたのを覚えてる。‘’古のとき、魔女の毒を解く粉は、家名の祠にあり。扉はドラゴンの後継者のみ開かれる‘’ってね。開くかわからないけど、行ってみましょうよ!」
カトレアは皆に説明すると、早速ソフィアの家を後にしようと準備を始めた。
「そうね、謎の言葉だけど、意味深ね。行く価値あるわ」
「でも、ドラゴンの後継者って誰だろう?」
「うーん、王家の者であるのは、間違いないわ」
「じゃあ、カトレア姫の可能性もある?」
「おてんばでも後継者になれるのか?」
サラ、ランドン、ソフィアは、口々に考えを口にしながらも、カトレアの後について行く。
「大丈夫!なんとかなるわ!」
カトレアは、根拠はないのに自信満々で言った。
△△△△△△△
祠へ行く道は簡単であった。
サンドリア国からの攻撃を守るため、兵は主に国境に送られている。
城や城下町には、警備兵や救急隊を時々見かけるだけだった。
脱走をしたカトレアを追うまでの余裕はないのだろう、カトレアにとっては好都合だった。
四人はできるだけ目立たないように、城の裏門からこっそりと入り、祠へ向かった。
「ここよ、ぼろぼろの寺院みたいでしょう」
カトレアは、祠を指さして、入り口の扉の前に立った。
「あとは、どうやったら開くのか、、」
「ここに、掌の形をした石版があります」
ソフィアは鋭い観察力で、扉の横につけられた石版を指差した。
「なんだ?これは」
ランドンは首を捻って唸る。
「たぶん、ドラゴンの後継者が、その手形に合わせて手を合わせれば、扉は開くのだと思います。今まで誰も手形が合わなかったから、古びて誰も気にしなくなったのでしょう」
ソフィアは古文書を手に取って解説する。
「じゃあ、私が、、、」
カトレアが自信なさそうに、手形に手のひらを合わせてみる。
「、、、、、」
何の反応もなく、扉は固く閉まったままであった。
「やっぱり、駄目よね、、私以外の王家、妹を連れてこようかな」
カトレアが諦めて引き返そうとしたところ、
「待って!扉があく!」
サラがカトレアの肩を掴んで叫んだ。
「え?」
手形の石版が光り輝き、扉が開き始めた。
「うそ」
カトレアは、呆気にとられてぽかんと開いた扉を見た。
「カトレア姫が、金のドラゴンの後継者だったのですね」
ソフィアは、憧れるようにうっとりとカトレアを見て言った。
「おてんばでも後継者になれるんだな」
ランドンは、感心しながら頷く。
「とにかく進もう!」
サラは戸惑っている3人の先頭を切って、祠の中に入っていく。
慌てて、カトレア、ランドン、ソフィアと続いていく。
祠の中は真っ暗であった。
サラが用意しておいたランタンに火を灯す。
「わああ」
火が照らされると、ドラゴンの像と共に、宝箱が置いてある。
「ルーン文字だわ。えーと、金のドラゴンの後継者に幸あらん。宝を持ち、勇気を持って進め、と書かれているわ」
「じゃあ、宝を開けるね」
カトレアは恐る恐る宝箱を開けると、中には粉の入った瓶が入っていた。
「これよ!毒をとく粉!まさか、本当にあったなんて」
ソフィアは、興奮して顔を上気させる。
「すげえ、まじか」
「これで、ラルク王子の憑依がとける」
「やったぜ!」
カトレアは、ラルク王子に早く会いたくてたまらなくなっていた。
王子のことを考えると、不思議と胸が高鳴り、会いたくて会いたくてたまらなくなる。
「でも、いったい、誰がラルク王子を操っているのかしら?」
カトレアは、素朴な疑問を口にしてみる。
「それはたぶん、白のドラゴンの後継者だと思います」
「白のドラゴンの後継者?」
「ええ、たぶんですが、ラリアン王国の、王家の血を引く者。女だと思います」
「そいつを突き止めて、やっつければ災いはなくなるんじゃない?」
サラは考え深い表情になって発言する。
「そうかもしれません、でも、白のドラゴンの魔力はそれは強く、誰もかなうものがいなかったから、神が封印をしたのです」
ソフィアは、困惑顔で話した。
それでも、もしかしたら何か策があるかもしれない。カトレアたちは一筋の希望を見出し、秘宝を手に入れ、サンドリア城に向かった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

愛しの貴方にサヨナラのキスを
百川凛
恋愛
王立学園に通う伯爵令嬢シャロンは、王太子の側近候補で騎士を目指すラルストン侯爵家の次男、テオドールと婚約している。
良い関係を築いてきた2人だが、ある1人の男爵令嬢によりその関係は崩れてしまう。王太子やその側近候補たちが、その男爵令嬢に心惹かれてしまったのだ。
愛する婚約者から婚約破棄を告げられる日。想いを断ち切るため最後に一度だけテオドールの唇にキスをする──と、彼はバタリと倒れてしまった。
後に、王太子をはじめ数人の男子生徒に魅了魔法がかけられている事が判明する。
テオドールは魅了にかかってしまった自分を悔い、必死にシャロンの愛と信用を取り戻そうとするが……。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる