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4✿宣戦布告
しおりを挟む卒業式翌日。紫陽のクラスでは異様な現象が起こっていた・・・。
「ねぇ、青凪君て中学ではサッカー部キャプテンで全国大会にも行ったんでしょ?」
「格好よくて、頭も良くて、スポーツも出来るとか完璧過ぎ///」
「しかも医者の息子なんでしょ?」
「実力テスト1位とってね!私達、青凪君のこと応援してるからッ!」
「ありがとう。あ、青凪じゃなくて紫陽でいいよ?」
(か、かっこいい上に爽やかでフレンドリーとか王子様過ぎるー///)
外面がいい紫陽に心を奪われる女子達。ちなみに紫陽が素で話すのは小学校から一緒の雅紀の前くらいだ。
「紫陽の王子っぷりには見飽きたけどさ~この感じは新しいよな!笑」
そう笑いながら雅紀が物珍しそうに目線をやった先には・・・
「華園さん!あ、華園君って呼んだ方がいいのかな?何か綺麗過ぎて君って呼ぶの違和感が・・・///」
「確かに!そう言えば昨日先生も華園さんって呼んでたよね?」
「それ思ったー!!他の男子は君付けの癖にさ~結局先生も認めてるようなもんじゃん?」
「僕はどっちでもいいよ。でも下の名前気に入ってるから葵って呼んで欲しいな♪」
(はぅ・・・///)
あちらはあちらで花園が出来ていた。
「葵君は何部に入るの?」
「僕は華道部。母親が華道家だから小さい頃からずっと習ってて・・・」
それを聞いた誰もが『流石、華園!』と思ったのは言うまでもない。
「ぴったりだよ~!むしろ葵君の為にある部活って感じ///」
「そうそう!私も華道部入る!」
「いやもうさ、葵君にはずっと女子の制服着てて欲しいー!私ら女子よりも断然似合ってるもん。次のテストも絶対1位とってね?」
「そうだね。僕頑張るよ!」
(か、可愛い~///)
そうなのだ。このクラスには完全に紫陽派と葵派という派閥が出来てしまっていたのだった・・・。
____________
昼休み。紫陽は雅紀と2人で屋上で昼食をとっていた。
「王子様サービスはよかったのか~?笑」
「いや、流石に休み時間の度に女子に囲まれるのはキツいだろ・・・」
紫陽が気怠そうに紙パックのジュースを飲みながら中庭の方を見下すと葵と数人の男子生徒が校舎裏の方へ歩いていくのが見えた。
(なんだ?・・・あれ、上級生だよな?)
「なになに?可愛い子でもいた?」
そう言って雅紀が隣に駆け寄って来て同じように下を見るとそこにはもう誰もいなかった。
「・・・・悪い、先教室戻ってて。」
「へ?あ、紫陽?!どこ行くんだよッ」
急に慌てたように紫陽はバタバタと屋上を出ていった。
____________
紫陽が校舎裏の方につくと上級生の男子達が話しているのが聞こえて、咄嗟に隠れて様子を伺った。
「葵ちゃーん?あ、葵君だっけ~?1年に面白い奴入ってきたって聞いたからさ~」
「いや、マジで女にしか見えねぇ。笑」
「ほんとに付いてんのかコイツ。」
「確かめてやろーぜ?」
そう言って2人が葵を押さえ込み、もう1人が葵のスカートに手を掛ける。
「おいッ!やめ・・・」
_ドカッ ドカッ「うッ・・」
咄嗟に紫陽が助けに出ようとすると、一瞬にして目の前にいた上級生が雪崩れのように倒れた。
「は?・・・」
「え?・・・」
急に目が合った葵と紫陽はお互いびっくりして固まってしまった。
「なんだよ、コイツ!」
「普通に男じゃねーか。クソッ」
そうしているうちに上級生達は怯えるようにバタバタと逃げ去って行った。
「・・・あれ?紫陽君?なんでここに?」
「いや、屋上からお前らが見えて・・」
何やら気まずそうにしている紫陽を見て葵は嬉しそうに表情を緩める。
「あ、もしかして僕を心配して来てくれたの?」
「・・・・まぁ、全然心配なかったみたいだけどな。」
(よく考えたらこいつ男だし、わざわざ助けに来る必要なかったよな?いや、でも3対1だったし?つーかこんな細っそい身体しといてどっからあんな力・・・)
紫陽がそんなことを頭でグルグルさせていると、その考えを見透かしたかのように葵が笑いながら答えた。
「僕見た目こんなだから、護身術習ってるんだ。でもまさか紫陽君が来てくれるとは思わなかったからびっくりだよ!てっきり嫌われてるのかと思ってたからさ~」
「・・・・ん?なんでだ?」
「だって紫陽君、教室とかでもずっとこっち見てたでしょ?それに僕が勝手にあんな条件出したからやりずらくて怒ってんのかな~って。」
葵は少し申し訳なさそうな顔をしながら紫陽の顔を覗き込んだ。20センチ程ある身長差のせいで、その視線は図らずとも上目遣いになる。
「・・・・いや、別に怒ってねーよ///」
(ちょっと待て。なに赤くなってんだ俺?葵は男だぞ?いやその前に女の上目遣いくらいでこんな・・・)
そんな紫陽を見て葵はいたずらっぽく笑うと、急に背伸びをして腕を紫陽の首に回してきた。
「ちょ、、おい、何?」
___チュッ
一瞬のことに紫陽は呆然とする。
「なーんてね。別に君に嫌われてようが僕には関係ないし?気を遣わなくても大丈夫だよ!心配しなくとも次のテストも僕が1位取るから♪」
そう言って不適な笑みを見せると、何事もなかったかのように葵は校舎の方へ去っていった。
「・・・・はぁ?」
(今何が起こった?いや、それより今アイツ何て言った?!心配しなくとも僕が1位取るからだと???)
「・・・ふざっけんなよッ!!!」
(誰が心配なんかしてやるかあんな奴!ぜってぇ次こそ俺が1位取ってやる!そんでアイツに女装辞めさせてやるよ!!!)
こうして1人取り残された紫陽は葵へのリベンジに燃えるのだった・・・。
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