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ピースの整理
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ダイイングメッセージ解読遊びを提案した緑川くんに、私も乗っかる事にする。
「そっか、なら急いで解かないと。被害者が浮かばれないね」
「よし。まずは手がかりを丁寧に調べよう」
気合を込めて、二人で立ち上がってそのゴミたちにスマホのライトを当てる。
まずはタバコの吸い殻に、それからかき氷の容器、何かの棒、プラスチック容器、割り箸の入ったビール缶。
「ふむ。タバコはワイルドファイブスター。ビールは生三番しぼりか」
「見ただけで銘柄分かるんだ……」
大きく商品名が書いてあるビール缶はともかく、吸い殻一つで商品名が分かるって、なんか名探偵っぽい。……それとも、吸った事あるのかな。緑川くんにそういう不良要素感じないけど。
「親父が愛煙家だから」
「お父さんが好きなんだね」
納得。
それから、次のゴミ。
さっきちらっと見ただけでは分からなかったけど、プラ容器には竹串が二本入ってたり、かき氷の容器の中にも何か入ってた。ライトで照らしながら覗き込むと、茶色い半円型の物体。これは……栗の殻みたい。
「そういえば、天津甘栗があっちで売ってたね」
「ああ。半分のカラが4つ入ってる。つまり、栗二粒分だな」
栗二個だけをバラ売りしているわけもないから、あとのは袋に入れて持ち帰ったのかな。さすがにまだ食べられる栗まで捨てるわけないか。
それから次は、こちらは単体で落ちている木の棒。箸くらいの長さで、表面に何かついてる。
おもむろに緑川くんがその棒をつまんで、鼻に近づけた。……よくそんな事出来るなぁと感心してると、彼がこう言った。
「甘い匂いがするな」
「あまい……じゃあ、それってひょっとしてわたあめの棒かな」
「いや、ここで売ってるわたあめって大体、割り箸にあめを巻くタイプだから、この棒とは違う。それに、表面のこれも飴には違いないけど、かなり固まってるぞ」
「かたいあめ……そっか。フルーツあめね」
そういえばさっき、売ってるところを通ったっけ。彼も頷く。
「棒に染みてる色からすると、多分いちごあめだな」
「ふーん。じゃあ、そっちも?」
次に、プラ容器に入っていた串を示す。
こっちはなんだか、容器も竹串も茶色く汚れてる気がした。また緑川くんが鼻を近づけて匂いを嗅いでいる。
「こっちは……醤油っぽい匂いかな。甘辛い感じ」
「その容器で甘辛いって事は……焼き鳥のタレ?」
私の推理に、けど彼はかぶりを振る。
「焼き鳥なら、串の手元に『モモ』とか書いてあるんじゃないかな。それに若干、海の潮っぽい香りもするような……」
「魚介系でタレといえば、分かった。イカ焼きね」
お祭りで売ってるものでそれらしいのといったら、イカ焼きくらいしか思いつかない。
「多分そうだ。これはイカ焼きが入ってた容器だな。焼きそばとかじゃなく」
「じゃあそのビールに突っ込んである割り箸って、焼きそば用のとかじゃなさそうだね」
それを示すと、やっぱり緑川くんは躊躇なく箸をつまんで引っ張り上げた。底に残ってたビールに浸ってたのか、箸の先端がちょっと濡れてて、でも焼きそばソースで汚れた様子はなく、代わりに、ピンク色の水滴みたいな汚れが着いている。
「おっと、これは」
「何?」
「こっちこそ、わたあめの棒に使った割り箸らしいな。わたあめを舐めると、唾液であめがこんなふうになるだろ」
「おー、確かに」
天津甘栗に、いちごあめに、わたあめ。
これを捨てた人、甘党なのかな……。
「そっか、なら急いで解かないと。被害者が浮かばれないね」
「よし。まずは手がかりを丁寧に調べよう」
気合を込めて、二人で立ち上がってそのゴミたちにスマホのライトを当てる。
まずはタバコの吸い殻に、それからかき氷の容器、何かの棒、プラスチック容器、割り箸の入ったビール缶。
「ふむ。タバコはワイルドファイブスター。ビールは生三番しぼりか」
「見ただけで銘柄分かるんだ……」
大きく商品名が書いてあるビール缶はともかく、吸い殻一つで商品名が分かるって、なんか名探偵っぽい。……それとも、吸った事あるのかな。緑川くんにそういう不良要素感じないけど。
「親父が愛煙家だから」
「お父さんが好きなんだね」
納得。
それから、次のゴミ。
さっきちらっと見ただけでは分からなかったけど、プラ容器には竹串が二本入ってたり、かき氷の容器の中にも何か入ってた。ライトで照らしながら覗き込むと、茶色い半円型の物体。これは……栗の殻みたい。
「そういえば、天津甘栗があっちで売ってたね」
「ああ。半分のカラが4つ入ってる。つまり、栗二粒分だな」
栗二個だけをバラ売りしているわけもないから、あとのは袋に入れて持ち帰ったのかな。さすがにまだ食べられる栗まで捨てるわけないか。
それから次は、こちらは単体で落ちている木の棒。箸くらいの長さで、表面に何かついてる。
おもむろに緑川くんがその棒をつまんで、鼻に近づけた。……よくそんな事出来るなぁと感心してると、彼がこう言った。
「甘い匂いがするな」
「あまい……じゃあ、それってひょっとしてわたあめの棒かな」
「いや、ここで売ってるわたあめって大体、割り箸にあめを巻くタイプだから、この棒とは違う。それに、表面のこれも飴には違いないけど、かなり固まってるぞ」
「かたいあめ……そっか。フルーツあめね」
そういえばさっき、売ってるところを通ったっけ。彼も頷く。
「棒に染みてる色からすると、多分いちごあめだな」
「ふーん。じゃあ、そっちも?」
次に、プラ容器に入っていた串を示す。
こっちはなんだか、容器も竹串も茶色く汚れてる気がした。また緑川くんが鼻を近づけて匂いを嗅いでいる。
「こっちは……醤油っぽい匂いかな。甘辛い感じ」
「その容器で甘辛いって事は……焼き鳥のタレ?」
私の推理に、けど彼はかぶりを振る。
「焼き鳥なら、串の手元に『モモ』とか書いてあるんじゃないかな。それに若干、海の潮っぽい香りもするような……」
「魚介系でタレといえば、分かった。イカ焼きね」
お祭りで売ってるものでそれらしいのといったら、イカ焼きくらいしか思いつかない。
「多分そうだ。これはイカ焼きが入ってた容器だな。焼きそばとかじゃなく」
「じゃあそのビールに突っ込んである割り箸って、焼きそば用のとかじゃなさそうだね」
それを示すと、やっぱり緑川くんは躊躇なく箸をつまんで引っ張り上げた。底に残ってたビールに浸ってたのか、箸の先端がちょっと濡れてて、でも焼きそばソースで汚れた様子はなく、代わりに、ピンク色の水滴みたいな汚れが着いている。
「おっと、これは」
「何?」
「こっちこそ、わたあめの棒に使った割り箸らしいな。わたあめを舐めると、唾液であめがこんなふうになるだろ」
「おー、確かに」
天津甘栗に、いちごあめに、わたあめ。
これを捨てた人、甘党なのかな……。
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