6 / 28
クリーンアップ
しおりを挟む
「それでは、作動します」
王宮の地下にある広間では魔術師四十人による儀式が行われている。カビのはえた『結界』の解除と『新結界』の構築である。維持には三人程度で事足りるが、発動には爆発的な魔力を必要とするためだ。
練習を重ねた詠唱が一つに重なる。魔法陣がほのかに光る。明滅を繰り返し、やがて青色に輝く透明な半円を結界の上に築いた。
『新結界』の完成である。
「長い間、この国を守り続けてくれてありがとう。ご苦労だった、賢者様。だがこれからは私がこの国を支える」
メレディスは幸福の絶頂にいた。自分がこの国に新たな歴史を築くのだ。
その上、目障りなのろま聖女と口喧しい平民上がりをまとめて追い払うことができた。
あれが自分の婚約者だと紹介されたときは首をくくりたくなった。あの時ドロシーは十五歳だったがすでにのろまで無能で、大嫌いだった。あれが隣に並ぶだけで陰口を叩かれた。
まるで自分まで無能の仲間入りをしたようで不快感が込み上げてくる。兄たちはかぐわしき美姫を妻としているのに何故自分だけがと、子供心にも絶望したものだ。それを支えてくれたのが、幼馴染みのヴィストリアだ。
「二人で一緒に運命を変えましょう」
その言葉を信じて、様々な方法を考えた。手っ取り早いのがドロシーの暗殺だったが、聖女殺しは大罪と定められている。王族であろうと死罪だ。誰かに殺させたとしても一番の動機がある容疑者が自分である以上、疑われるのは避けられない。
八方塞がりだったが、そこで新たな道を切り開いたのもヴィストリアだった。
発想を転換させたのだ。
「聖女が重要なのは『結界』があるからよ。だったら、聖女に頼らなくてもいい、新しい『結界』を作ればいいのよ」
金も掛かった。時間も掛かった。犠牲も生まれた。けれど全ては報われた。
全ては愛するヴィストリアとともに作り上げた『新結界』のおかげだ。『新結界』はこの国に新たな秩序をもたらすだろう。
「成功ね、メレディス」
ヴィストリアが感極まった様子で抱きついてくる。
「君のおかげだよ」
国王陛下も今回の功績を大いに評価してくれている。ドロシーとの結婚に渋っていたせいで、ここ数年は冷たい目で見られていたがそれももう終わりだ。ドロシーとの婚約破棄と、メレディスとの婚約が認められた。
正式な発表はまだだが、折を見て大々的に執り行うつもりだ。翌年には更に盛大な結婚式を執り行うのだ。いずれはあの愚かな兄になりかわり、自分こそが王太子となる。そして次の王になる。美しきヴィストリアを王妃として。
「けれど」
腕の中に居るヴィストリアが不安そうに瞳を揺らす。
「あの『酒樽』が戻ってくることはないの?」
婚約破棄はしたが、聖女認定までは撤回できなかった。ウィンディ王国では聖女に関する法律が定められており、解任には国王をはじめとした諸侯会議での承認が必要になるためだ。そのため、公式的にはまだドロシーが聖女である。
「心配ないよ」
メレディスは安心させるべく、多くの令嬢を虜にした笑みを作る。
「どうせ途中で野垂れ死にさ。あの動きじゃあ魔物より前にオオカミに襲われたらそれでおしまいだ」
「でもあの騎士はどうなの? 力はありそうだけど」
「それこそ心配はないよ」
にたり、と自身の顔が愉悦に崩れるのを堪えきれなかった。
「口は達者だが腕はからっきしでね。ほかの騎士相手に、五本に一本取れればせいぜいだ」
*********************************************
エクスの不安と緊張に反して、魔物は遠巻きにするだけで道中、一度も馬車を襲って来なかった。
宿屋もないため、街道沿いで野宿した。夜はドロシーが簡易の結界を張ったために寝ずの番をせずに済んだ。
馬車は順調に進み、三日目の昼過ぎになってマッキンレイ辺境伯の領地に到達した。丘を越えれば辺境伯の館があるビリーゲイルの町である。
「これは……」
エクスは息を呑んだ。
町の外壁を何千何万という魔物が取り囲んでいた。ゴブリン、コボルトといった低級の魔物からオークにオーガ、一つ目巨人までいる。
壁にしがみつき、互いを踏みつけ合いながら壁を乗り越えようとしている。壁の上では兵士たちが槍を振るい、矢を放ち、熱湯や油をかけて追い払おうとしているが、後から後から寄せてきて、留まる気配はない。空からもハーピーやグリフォンといった翼の生えた魔物が急降下しては爪やクチバシで兵士たちを引き裂いている。
反対側の壁では一つ目巨人が壁を壊そうと、手にした岩をぶん投げて、壁に叩き付けた。轟音とともにすでに刻まれていた亀裂が深くなる。壊れるのは時間の問題、というより寸前と言うべきだった。
正確な兵数をエクスは知らないが、町の規模から考えればせいぜい数百人というところだろう。町の壊滅は目前に迫っていた。
「まずいな」
魔物に気づかれずに町に入るのは不可能だ。ならば何万という大群をどうにかするしかない。先日見せた隕石落としなら一掃も可能だろうが、町にも被害が及ぶ。何より、決死隊と思しき一団が町から打って出て、一つ目巨人を攻撃している。同士討ちになってしまう。
「問題ありませんよ」
ドロシーは馬車から降りると、町を見下ろしながら天に向かって手を突き上げる。
「『聖なる慈雨』」
魔術を唱えた途端、雲一つない晴れ渡った空から雨が降ってきた。一粒一粒が虹色に輝き、陽光に反射してまばゆい光を放っていた。
何事かと立ち尽くしていると、ドロシーに袖を引っ張られた。いつの間にか馬車の中に避難している。
「そこにいると濡れますよ」
言われるまま幌馬車の中に避難する。エクスは馬車の中から外の様子をうかがう。
雨を浴びた魔物は急に苦しみだした。まるで毒でも受けたように血を吐き、もがきながら地に倒れていく。
ハーピーやグリフォンは悲鳴を上げながら墜落し、地に赤い花を咲かす。巨漢のオーガや一つ目巨人ですら味方を巻き添えにして倒れた後は、白目を剥いて痙攣するばかりだ。
中には知恵の回る者もいて、仲間の体を盾にしていた。が、魔物たちは死ぬと黒いチリになって消滅するため、すぐに自身も虹の雨を浴びた。
反面、町の人間や外にいる兵士たちに苦しんでいる様子はなかった。ただ魔物が死んでいく様を呆然と見ている。
雨が止む頃にはビリーゲイルの周囲に魔物の姿は一体もなかった。
「これで通れるようになりましたね」
ドロシーが馬車から出るとうん、とのびをする。何万もの魔物を一掃したというのに、平然としている。
「では、行きましょう。エクス」
天使もかくやという笑顔に、エクスの心臓が高鳴る。動悸が抑えられず、曖昧に返事をすると逃げるように御者台へ回り込んだ。
王宮の地下にある広間では魔術師四十人による儀式が行われている。カビのはえた『結界』の解除と『新結界』の構築である。維持には三人程度で事足りるが、発動には爆発的な魔力を必要とするためだ。
練習を重ねた詠唱が一つに重なる。魔法陣がほのかに光る。明滅を繰り返し、やがて青色に輝く透明な半円を結界の上に築いた。
『新結界』の完成である。
「長い間、この国を守り続けてくれてありがとう。ご苦労だった、賢者様。だがこれからは私がこの国を支える」
メレディスは幸福の絶頂にいた。自分がこの国に新たな歴史を築くのだ。
その上、目障りなのろま聖女と口喧しい平民上がりをまとめて追い払うことができた。
あれが自分の婚約者だと紹介されたときは首をくくりたくなった。あの時ドロシーは十五歳だったがすでにのろまで無能で、大嫌いだった。あれが隣に並ぶだけで陰口を叩かれた。
まるで自分まで無能の仲間入りをしたようで不快感が込み上げてくる。兄たちはかぐわしき美姫を妻としているのに何故自分だけがと、子供心にも絶望したものだ。それを支えてくれたのが、幼馴染みのヴィストリアだ。
「二人で一緒に運命を変えましょう」
その言葉を信じて、様々な方法を考えた。手っ取り早いのがドロシーの暗殺だったが、聖女殺しは大罪と定められている。王族であろうと死罪だ。誰かに殺させたとしても一番の動機がある容疑者が自分である以上、疑われるのは避けられない。
八方塞がりだったが、そこで新たな道を切り開いたのもヴィストリアだった。
発想を転換させたのだ。
「聖女が重要なのは『結界』があるからよ。だったら、聖女に頼らなくてもいい、新しい『結界』を作ればいいのよ」
金も掛かった。時間も掛かった。犠牲も生まれた。けれど全ては報われた。
全ては愛するヴィストリアとともに作り上げた『新結界』のおかげだ。『新結界』はこの国に新たな秩序をもたらすだろう。
「成功ね、メレディス」
ヴィストリアが感極まった様子で抱きついてくる。
「君のおかげだよ」
国王陛下も今回の功績を大いに評価してくれている。ドロシーとの結婚に渋っていたせいで、ここ数年は冷たい目で見られていたがそれももう終わりだ。ドロシーとの婚約破棄と、メレディスとの婚約が認められた。
正式な発表はまだだが、折を見て大々的に執り行うつもりだ。翌年には更に盛大な結婚式を執り行うのだ。いずれはあの愚かな兄になりかわり、自分こそが王太子となる。そして次の王になる。美しきヴィストリアを王妃として。
「けれど」
腕の中に居るヴィストリアが不安そうに瞳を揺らす。
「あの『酒樽』が戻ってくることはないの?」
婚約破棄はしたが、聖女認定までは撤回できなかった。ウィンディ王国では聖女に関する法律が定められており、解任には国王をはじめとした諸侯会議での承認が必要になるためだ。そのため、公式的にはまだドロシーが聖女である。
「心配ないよ」
メレディスは安心させるべく、多くの令嬢を虜にした笑みを作る。
「どうせ途中で野垂れ死にさ。あの動きじゃあ魔物より前にオオカミに襲われたらそれでおしまいだ」
「でもあの騎士はどうなの? 力はありそうだけど」
「それこそ心配はないよ」
にたり、と自身の顔が愉悦に崩れるのを堪えきれなかった。
「口は達者だが腕はからっきしでね。ほかの騎士相手に、五本に一本取れればせいぜいだ」
*********************************************
エクスの不安と緊張に反して、魔物は遠巻きにするだけで道中、一度も馬車を襲って来なかった。
宿屋もないため、街道沿いで野宿した。夜はドロシーが簡易の結界を張ったために寝ずの番をせずに済んだ。
馬車は順調に進み、三日目の昼過ぎになってマッキンレイ辺境伯の領地に到達した。丘を越えれば辺境伯の館があるビリーゲイルの町である。
「これは……」
エクスは息を呑んだ。
町の外壁を何千何万という魔物が取り囲んでいた。ゴブリン、コボルトといった低級の魔物からオークにオーガ、一つ目巨人までいる。
壁にしがみつき、互いを踏みつけ合いながら壁を乗り越えようとしている。壁の上では兵士たちが槍を振るい、矢を放ち、熱湯や油をかけて追い払おうとしているが、後から後から寄せてきて、留まる気配はない。空からもハーピーやグリフォンといった翼の生えた魔物が急降下しては爪やクチバシで兵士たちを引き裂いている。
反対側の壁では一つ目巨人が壁を壊そうと、手にした岩をぶん投げて、壁に叩き付けた。轟音とともにすでに刻まれていた亀裂が深くなる。壊れるのは時間の問題、というより寸前と言うべきだった。
正確な兵数をエクスは知らないが、町の規模から考えればせいぜい数百人というところだろう。町の壊滅は目前に迫っていた。
「まずいな」
魔物に気づかれずに町に入るのは不可能だ。ならば何万という大群をどうにかするしかない。先日見せた隕石落としなら一掃も可能だろうが、町にも被害が及ぶ。何より、決死隊と思しき一団が町から打って出て、一つ目巨人を攻撃している。同士討ちになってしまう。
「問題ありませんよ」
ドロシーは馬車から降りると、町を見下ろしながら天に向かって手を突き上げる。
「『聖なる慈雨』」
魔術を唱えた途端、雲一つない晴れ渡った空から雨が降ってきた。一粒一粒が虹色に輝き、陽光に反射してまばゆい光を放っていた。
何事かと立ち尽くしていると、ドロシーに袖を引っ張られた。いつの間にか馬車の中に避難している。
「そこにいると濡れますよ」
言われるまま幌馬車の中に避難する。エクスは馬車の中から外の様子をうかがう。
雨を浴びた魔物は急に苦しみだした。まるで毒でも受けたように血を吐き、もがきながら地に倒れていく。
ハーピーやグリフォンは悲鳴を上げながら墜落し、地に赤い花を咲かす。巨漢のオーガや一つ目巨人ですら味方を巻き添えにして倒れた後は、白目を剥いて痙攣するばかりだ。
中には知恵の回る者もいて、仲間の体を盾にしていた。が、魔物たちは死ぬと黒いチリになって消滅するため、すぐに自身も虹の雨を浴びた。
反面、町の人間や外にいる兵士たちに苦しんでいる様子はなかった。ただ魔物が死んでいく様を呆然と見ている。
雨が止む頃にはビリーゲイルの周囲に魔物の姿は一体もなかった。
「これで通れるようになりましたね」
ドロシーが馬車から出るとうん、とのびをする。何万もの魔物を一掃したというのに、平然としている。
「では、行きましょう。エクス」
天使もかくやという笑顔に、エクスの心臓が高鳴る。動悸が抑えられず、曖昧に返事をすると逃げるように御者台へ回り込んだ。
0
お気に入りに追加
403
あなたにおすすめの小説
ふしだらな悪役令嬢として公開処刑される直前に聖女覚醒、婚約破棄の破棄?ご冗談でしょ(笑)
青の雀
恋愛
病弱な公爵令嬢ビクトリアは、卒業式の日にロバート王太子殿下から婚約破棄されてしまう。病弱なためあまり学園に行っていなかったことを男と浮気していたせいだ。おまけに王太子の浮気相手の令嬢を虐めていたとさえも、と勝手に冤罪を吹っかけられ、断罪されてしまいます。
父のストロベリー公爵は、王家に冤罪だと掛け合うものの、公開処刑の日時が決まる。
断頭台に引きずり出されたビクトリアは、最後に神に祈りを捧げます。
ビクトリアの身体から突然、黄金色の光が放たれ、苛立っていた観衆は穏やかな気持ちに変わっていく。
慌てた王家は、処刑を取りやめにするが……という話にする予定です。
お気づきになられている方もいらっしゃるかと存じますが
この小説は、同じ世界観で
1.みなしごだからと婚約破棄された聖女は実は女神の化身だった件について
2.婚約破棄された悪役令嬢は女神様!? 開国の祖を追放した国は滅びの道まっしぐら
3.転生者のヒロインを虐めた悪役令嬢は聖女様!? 国外追放の罪を許してやるからと言っても後の祭りです。
全部、話として続いています。ひとつずつ読んでいただいても、わかるようにはしています。
続編というのか?スピンオフというのかは、わかりません。
本来は、章として区切るべきだったとは、思います。
コンテンツを分けずに章として連載することにしました。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
【第一章完結】半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる