3 / 12
ユニコーン角杖物語
1-3
しおりを挟む
「いやぁ、ユニコーンの角が欲しいやなんて、マーレフィスも強欲やなぁ」
バンダナさんがあっけらかんとした口調で言った。
僕とバンダナさん、マーレフィスさんの三人は昨日とは別の近くの森にユニコーンを求めてやってきた。
「あの場から逃げていたあなたに言われたくありません。それより、ユニコーンがこの森にいるというのは本当なのでしょうね、バンダナ」
「あぁ、この森での目撃情報は昔からあんねん。知らんけど」
「『知らんけど』なんて無責任なことは言わないでください。あぁ、もう」
「まぁ、信憑性は高いけど、見つからんかっても責任は持たへんよってことで。なぁ、クルも聞いたよな」
「はい。討伐対象としても登録されていますね」
僕は冒険者ギルドで見た貼り紙を思い出し、頷くように言った。
その話を聞き、マーレフィスさんは首を傾げた。
「ユニコーンなのに討伐対象ですの? ユニコーンは草食系で大人しい魔物だと聞いておりますよ?」
「ユニコーンは草食系の幻獣ですけれど、示威目的で他の大型の魔物や動物、人間等に襲い掛かるんです。むしろ、草食なので殺した相手を食べることはありませんから、他の肉食獣を呼び寄せることがあり、人里近くで発見された場合は討伐、もしくは捕獲対象になります。畑も荒らしますしね」
僕は冒険者ギルドで聞いた話をそのままマーレフィスさんに語った。
逆に、人里離れた森の奥にいるユニコーンには手を出してはいけないと言われている。
「ちなみに、ユニコーンは清らかな乙女の前でのみ大人しくなるんや。ユニコーンを発見したらクルは離れた場所で待機やな。男なんて見た日には凶暴化して、クルなんて一瞬で串刺しやからな。ここはマーレフィスでなんとかせんとあかんな」
「何故私だけなんですか」
「うちが清らかな乙女のわけがないやん。その点、法術師としての腕前は未熟やけど、そっちは期待しているで」
「ぐっ……仕方ありませんわね。すべてはユニコーンの角のためですわ」
マーレフィスさんは頷いた。
ユニコーンの角は、法術師の杖としては最高峰の素材になるらしい。
ハスト村の近くにユニコーンがいたという記録がないので、僕はその角を扱ったことがないから知らないけれど、やっぱりオリハルコンの杖とかドラゴンの角杖よりも凄いものができるんだろうなぁ。
バンダナさんがあっけらかんとした口調で言った。
僕とバンダナさん、マーレフィスさんの三人は昨日とは別の近くの森にユニコーンを求めてやってきた。
「あの場から逃げていたあなたに言われたくありません。それより、ユニコーンがこの森にいるというのは本当なのでしょうね、バンダナ」
「あぁ、この森での目撃情報は昔からあんねん。知らんけど」
「『知らんけど』なんて無責任なことは言わないでください。あぁ、もう」
「まぁ、信憑性は高いけど、見つからんかっても責任は持たへんよってことで。なぁ、クルも聞いたよな」
「はい。討伐対象としても登録されていますね」
僕は冒険者ギルドで見た貼り紙を思い出し、頷くように言った。
その話を聞き、マーレフィスさんは首を傾げた。
「ユニコーンなのに討伐対象ですの? ユニコーンは草食系で大人しい魔物だと聞いておりますよ?」
「ユニコーンは草食系の幻獣ですけれど、示威目的で他の大型の魔物や動物、人間等に襲い掛かるんです。むしろ、草食なので殺した相手を食べることはありませんから、他の肉食獣を呼び寄せることがあり、人里近くで発見された場合は討伐、もしくは捕獲対象になります。畑も荒らしますしね」
僕は冒険者ギルドで聞いた話をそのままマーレフィスさんに語った。
逆に、人里離れた森の奥にいるユニコーンには手を出してはいけないと言われている。
「ちなみに、ユニコーンは清らかな乙女の前でのみ大人しくなるんや。ユニコーンを発見したらクルは離れた場所で待機やな。男なんて見た日には凶暴化して、クルなんて一瞬で串刺しやからな。ここはマーレフィスでなんとかせんとあかんな」
「何故私だけなんですか」
「うちが清らかな乙女のわけがないやん。その点、法術師としての腕前は未熟やけど、そっちは期待しているで」
「ぐっ……仕方ありませんわね。すべてはユニコーンの角のためですわ」
マーレフィスさんは頷いた。
ユニコーンの角は、法術師の杖としては最高峰の素材になるらしい。
ハスト村の近くにユニコーンがいたという記録がないので、僕はその角を扱ったことがないから知らないけれど、やっぱりオリハルコンの杖とかドラゴンの角杖よりも凄いものができるんだろうなぁ。
11
お気に入りに追加
420
あなたにおすすめの小説
これが普通なら、獣人と結婚したくないわ~王女様は復讐を始める~
黒鴉宙ニ
ファンタジー
「私には心から愛するテレサがいる。君のような偽りの愛とは違う、魂で繋がった番なのだ。君との婚約は破棄させていただこう!」
自身の成人を祝う誕生パーティーで婚約破棄を申し出た王子と婚約者と番と、それを見ていた第三者である他国の姫のお話。
全然関係ない第三者がおこなっていく復讐?
そこまでざまぁ要素は強くないです。
最後まで書いているので更新をお待ちください。6話で完結の短編です。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する
平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。
しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。
だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。
そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。
勘違いの工房主~英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話~
時野洋輔
ファンタジー
英雄のパーティ、『炎の竜牙』をリストラされたクルトは、実は戦闘以外は神の域に達している適正ランクSSSの持ち主だった。
そんなことを知らないクルトは、自分の実力がわからないまま周囲の人間を驚かせていく。
結果、多くの冒険者を纏める工房主(アトリエマイスター)となり、国や世界の危機を気付かないうちに救うことになる。
果たして、クルトは自分の実力を正確に把握して、勘違いを正すことができるのか?
「え? 山を適当に掘ったらミスリルが見つかるのってよくある話ですよね?」
……無理かもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※令和元年12月より、コミカライズスタート(毎月第三火曜日更新)
※1~5巻好評発売中(コミカライズ1巻発売中)2020年11月時点
※第11回ファンタジー小説大賞受賞しました(2018年10月31日)
※お気に入り数1万件突破しました(2018年9月27日)
※週間小説ランキング1位をいただきました(2018年9月3日時点)
※24h小説ランキング1位をいただきました(2018年8月26日時点)
ポニーテールの勇者様
相葉和
ファンタジー
※だいたい月/木更新。
会社を辞めて実家に帰る事にした私こと千登勢由里。
途中で立ち寄った温泉でゆっくり過ごすはずが、気がつけば異世界に召喚され、わたしは滅びに瀕しているこの星を救う勇者だと宣告されるが、そんなのは嘘っぱちだった。
利用されてポイなんてまっぴらごめんと逃げた先で出会った人達や精霊の協力を得て、何とか地球に戻る方法を探すが、この星、何故か地球によく似ていた。
科学よりも魔力が発達しているこの世界が地球なのか異世界なのか分からない。
しかしこの星の歴史と秘密、滅びの理由を知った私は、星を救うために頑張っている人達の力になりたいと考え始めた。
私は別に勇者でもなんでもなかったけど、そんな私を勇者だと本気で思ってくれる人達と一緒に、この星を救うために頑張ってみることにした。
ついでにこの星の人達は計算能力が残念なので、計算能力向上のためにそろばんを普及させてみようと画策してみたり・・・
そんなわけで私はこの星を救うため、いつのまにやら勇者の印になったポニーテールを揺らして、この世界を飛び回ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる