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第九章
カエデの秘密
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「靴を脱いでおあがりください」
さすがに何週間もヤマトの国を旅していたら、家の中で靴を脱ぐ文化くらいは理解している。
木の板の廊下を歩く。
「やけに音が鳴る廊下ですね」
「たぶん、ここを通ったときに音が鳴る事で、周囲の人が気付くことができるようになっているんだと思います」
クルトが言う。
へぇ、さすがは忍びの屋敷。
千年以上侵入者が入ってきたことがないって言うのに、侵入者対策もしっかり行われているのか。
まぁ、要人の警護だったらそのくらいの心構えは必要か。
「こっそり屋敷を抜け出して、里の秘密を探ろうとする人がいるので、その対策です」
逆だったか。
要人を狙った暗殺者ではなく、要人そのものの対策だったみたいだ。
「こちらのお部屋をお使いください。護衛のお二人は隣の部屋をご自由に。ただし、天井裏への侵入は御遠慮ください」
気配を消してついてきていたファントムにもちゃんと気を配るのか。
私だって意識を向けなければ忘れそうになるのに。
「用件がございましたらこちらの鈴を鳴らしてください。直ぐに駆け付けます。外出の際も同様にお願いします」
カエデはさらに、夕食の準備ができたら持ってくると言って去っていく。
クルトが奥の部屋で着替えにいったので、私も改めて、変装を解く。
クルトから毛生え薬を貰って髪を伸ばし、服も女物のものに戻す。
もちろん、さらしも外した。
ずっと胸が押さえつけられていたからスッキリした。
リーゼも染めていた髪を元に戻している。
「それで、リーゼ。説明してくれるんだろうな?」
「なんのことでしょうか?」
「お前がカエデを信用した理由だよ。あの封筒の中に何が入っていたんだ?」
まさかとは思うが、あの封筒の中にリーゼを洗脳する魔道具が入っていたという可能性もあるので聞いておかないといけない。
「あの封筒の中に入っていたのは会員証です」
「会員証?」
「はい、クルミちゃんファンクラブの会員証です」
「…………はい?」
クルミちゃんファンクラブはリーゼが会長を務める女装したクルトのことを愛でる団体だ。
その会員数は私も正確に把握していないが、百とも千とも言われる。
数カ月に一度、会員限定で会誌を発売し、かくいう私もその会誌を楽しみにしているのだが、カエデもクルミちゃんファンクラブの会員だったのか。
「しかし、それだけで信用できるものなのか?」
「はい。クルミちゃんファンクラブの入会審査は非常に厳しいんですよ」
「身元がしっかりしていない草が入会している時点で甘いと思うが」
「嘘を判別する魔道具を使って、クルミちゃんへの愛を確認している上で、その愛が暴走しないかメンタルチェックもしています」
「ファンクラブの会長であるお前が一番暴走しているだろ……で、その嘘を判別する魔道具って本当に効果があるのか?」
嘘を判別する魔道具というのは私もいくつかしっているが、その信憑性は決して高くはない。なにしろ嘘かどうか調べる基準が、手の汗だったり脈の変化だったりと、多少訓練をしたら欺くことのできるものだ。
実際、ファントムの訓練の一つに嘘を判別する魔道具を欺く訓練なんていうものがあるとミミコに教えてもらったこともあり、忍びもそういう訓練をしている可能性は高い。
最悪、自己催眠でもかければ嘘を吐かずに騙すことだってできる。
「その嘘判別機を作ったのはクルト様です」
「あ、本物だ」
精度は百パーセントだった。
クルトが作っている嘘判別機なんて、自己催眠を掛けたとしても欺けない。
「お待たせしました」
クルトが戻っていた。
男の服を着て、髪も元の長さに戻っていた。
普段の姿にほっとする反面、少し寂しさも感じる。
「とりあえず一息付けそうですね。ダンゾウさんに会えたらきっと全部解決します」
クルトが楽観的に言うが、さっきのヒイラギの言葉が真実とは限らない。
本当にダンゾウがここに来るのだろうか?
「さっき、ヒイラギに嘘判別機を使って確かめればよかったな」
「クルト様の作った嘘判別機は使用する時に相手の同意が必要ですし、色々と準備が必要なので、あの場での使用は難しかったです。なにより、大型の魔道具ですから持ってきていないのですよ」
「そうなのか、クルト」
「はい。それに、嘘を判別する魔道具ってあんまり好きじゃないんですよ。そりゃ、嘘を言うことはいけないことですけれど、優しい嘘っていうのもあると思うんですよね。相手を気遣うためにつかう優しい嘘。そういうのまで見抜けるようになったら、寂しいじゃないですか」
クルトが言う。
本当に優しいな、こいつは。
クルトが嘘判別機を日常的に使うようになったら、私たちがクルトの能力について黙っていることもバレてしまうから私も助かる。
「あの、皆さん。お風呂に行きませんか? 温泉があるそうなんです」
「温泉! ええ、是非クルト様も御一緒に――」
「この里のお風呂は男女別だそうですよ、リーゼさん」
温泉か。
ずっとクルトが掘ったトンネルを歩いて来たんだが、しかし――
「混浴だったらいいが、クルトを一人で入れるのはな……」
「あ、そうですよね。すみません、僕安心して、少し気を抜いてしまいました」
まだ忍びが味方と決まったわけではない。
風呂には入りたいが、しかしクルトだけ風呂をお預けっていうのは申し訳ない。
「よし、決めた」
私は鈴を鳴らした。
直ぐにカエデが現れた。
「まさかこう直ぐに呼ばれるとは思っていませんでした。何の用事ですか?」
「温泉に入りたいんだが、さすがにクルト一人で入れさせるわけにはいかないからな。一時間でいい。温泉を貸し切りにしてもらえないか?」
「ちょうどこの時間は清掃の時間です。貸し切りにすることは可能ですが、三人で入るんですか?」
「あの、さすがに僕とお二人が一緒にお風呂に入るっていうのは」
「別に初めてじゃないだろ?」
タイコーン辺境伯領の領主町で一緒に風呂に入ったことがある。アクリが転移魔法で私たちの入っている風呂に乱入してきた。
あとは温泉宿で……いや、あの時のクルトは偽物だったか。
「あれは事故で……」
クルトが慌てたように弁明する。
ちょっと揶揄い過ぎたか。
「冗談だよ。カエデ、水着か何かあるか?」
無かったらクルトに作ってもらえばいい。
それを聞いてクルトも安心したようだ。
「そういうことなら、水を使った演習時に使う耐水性の高い布を使った服があります。それを用意しましょう」
カエデが用意した服を部屋で服の下に着ていき、温泉に向かう。
クルトが少し恥ずかしそうにしているが、正直恥ずかしいのは私も同じなんだよな。
それでも、上半身だけとはいえ裸のクルトと一緒にお風呂に入るというのは少し気恥ずかしい。
用意してくれたお風呂が男湯か女湯かはわからなかったが、カエデも一緒に四人で風呂に入る。
ファントムもきっとどこかで見ているだろう。
クルトが自分の服の袖に手を掛けた。
私は思わず息を呑む。
クルトの服が少し持ち上がり、おへそが見えたところで私は視線を背け――クルトを凝視しているリーゼが視界に入った。
瞬きをすることを忘れガン見している。
人間って、本当にやましい気持ちで誰かを見るときは、鼻の下を伸ばしたり頬を赤らめたりはせず、あのような無の表情になるんだな。
さっきまでの私ってあんな感じでクルトを見ていたのか――とリーゼを責める前に自分が情けなくなる。
「ほら、リーゼ。早く脱げ。クルトを待たせて風邪を引かせたらどうするんだ」
「あ、はい! そうですね」
私たちも服を脱ぎ、水着に着替えた。
さすがに何週間もヤマトの国を旅していたら、家の中で靴を脱ぐ文化くらいは理解している。
木の板の廊下を歩く。
「やけに音が鳴る廊下ですね」
「たぶん、ここを通ったときに音が鳴る事で、周囲の人が気付くことができるようになっているんだと思います」
クルトが言う。
へぇ、さすがは忍びの屋敷。
千年以上侵入者が入ってきたことがないって言うのに、侵入者対策もしっかり行われているのか。
まぁ、要人の警護だったらそのくらいの心構えは必要か。
「こっそり屋敷を抜け出して、里の秘密を探ろうとする人がいるので、その対策です」
逆だったか。
要人を狙った暗殺者ではなく、要人そのものの対策だったみたいだ。
「こちらのお部屋をお使いください。護衛のお二人は隣の部屋をご自由に。ただし、天井裏への侵入は御遠慮ください」
気配を消してついてきていたファントムにもちゃんと気を配るのか。
私だって意識を向けなければ忘れそうになるのに。
「用件がございましたらこちらの鈴を鳴らしてください。直ぐに駆け付けます。外出の際も同様にお願いします」
カエデはさらに、夕食の準備ができたら持ってくると言って去っていく。
クルトが奥の部屋で着替えにいったので、私も改めて、変装を解く。
クルトから毛生え薬を貰って髪を伸ばし、服も女物のものに戻す。
もちろん、さらしも外した。
ずっと胸が押さえつけられていたからスッキリした。
リーゼも染めていた髪を元に戻している。
「それで、リーゼ。説明してくれるんだろうな?」
「なんのことでしょうか?」
「お前がカエデを信用した理由だよ。あの封筒の中に何が入っていたんだ?」
まさかとは思うが、あの封筒の中にリーゼを洗脳する魔道具が入っていたという可能性もあるので聞いておかないといけない。
「あの封筒の中に入っていたのは会員証です」
「会員証?」
「はい、クルミちゃんファンクラブの会員証です」
「…………はい?」
クルミちゃんファンクラブはリーゼが会長を務める女装したクルトのことを愛でる団体だ。
その会員数は私も正確に把握していないが、百とも千とも言われる。
数カ月に一度、会員限定で会誌を発売し、かくいう私もその会誌を楽しみにしているのだが、カエデもクルミちゃんファンクラブの会員だったのか。
「しかし、それだけで信用できるものなのか?」
「はい。クルミちゃんファンクラブの入会審査は非常に厳しいんですよ」
「身元がしっかりしていない草が入会している時点で甘いと思うが」
「嘘を判別する魔道具を使って、クルミちゃんへの愛を確認している上で、その愛が暴走しないかメンタルチェックもしています」
「ファンクラブの会長であるお前が一番暴走しているだろ……で、その嘘を判別する魔道具って本当に効果があるのか?」
嘘を判別する魔道具というのは私もいくつかしっているが、その信憑性は決して高くはない。なにしろ嘘かどうか調べる基準が、手の汗だったり脈の変化だったりと、多少訓練をしたら欺くことのできるものだ。
実際、ファントムの訓練の一つに嘘を判別する魔道具を欺く訓練なんていうものがあるとミミコに教えてもらったこともあり、忍びもそういう訓練をしている可能性は高い。
最悪、自己催眠でもかければ嘘を吐かずに騙すことだってできる。
「その嘘判別機を作ったのはクルト様です」
「あ、本物だ」
精度は百パーセントだった。
クルトが作っている嘘判別機なんて、自己催眠を掛けたとしても欺けない。
「お待たせしました」
クルトが戻っていた。
男の服を着て、髪も元の長さに戻っていた。
普段の姿にほっとする反面、少し寂しさも感じる。
「とりあえず一息付けそうですね。ダンゾウさんに会えたらきっと全部解決します」
クルトが楽観的に言うが、さっきのヒイラギの言葉が真実とは限らない。
本当にダンゾウがここに来るのだろうか?
「さっき、ヒイラギに嘘判別機を使って確かめればよかったな」
「クルト様の作った嘘判別機は使用する時に相手の同意が必要ですし、色々と準備が必要なので、あの場での使用は難しかったです。なにより、大型の魔道具ですから持ってきていないのですよ」
「そうなのか、クルト」
「はい。それに、嘘を判別する魔道具ってあんまり好きじゃないんですよ。そりゃ、嘘を言うことはいけないことですけれど、優しい嘘っていうのもあると思うんですよね。相手を気遣うためにつかう優しい嘘。そういうのまで見抜けるようになったら、寂しいじゃないですか」
クルトが言う。
本当に優しいな、こいつは。
クルトが嘘判別機を日常的に使うようになったら、私たちがクルトの能力について黙っていることもバレてしまうから私も助かる。
「あの、皆さん。お風呂に行きませんか? 温泉があるそうなんです」
「温泉! ええ、是非クルト様も御一緒に――」
「この里のお風呂は男女別だそうですよ、リーゼさん」
温泉か。
ずっとクルトが掘ったトンネルを歩いて来たんだが、しかし――
「混浴だったらいいが、クルトを一人で入れるのはな……」
「あ、そうですよね。すみません、僕安心して、少し気を抜いてしまいました」
まだ忍びが味方と決まったわけではない。
風呂には入りたいが、しかしクルトだけ風呂をお預けっていうのは申し訳ない。
「よし、決めた」
私は鈴を鳴らした。
直ぐにカエデが現れた。
「まさかこう直ぐに呼ばれるとは思っていませんでした。何の用事ですか?」
「温泉に入りたいんだが、さすがにクルト一人で入れさせるわけにはいかないからな。一時間でいい。温泉を貸し切りにしてもらえないか?」
「ちょうどこの時間は清掃の時間です。貸し切りにすることは可能ですが、三人で入るんですか?」
「あの、さすがに僕とお二人が一緒にお風呂に入るっていうのは」
「別に初めてじゃないだろ?」
タイコーン辺境伯領の領主町で一緒に風呂に入ったことがある。アクリが転移魔法で私たちの入っている風呂に乱入してきた。
あとは温泉宿で……いや、あの時のクルトは偽物だったか。
「あれは事故で……」
クルトが慌てたように弁明する。
ちょっと揶揄い過ぎたか。
「冗談だよ。カエデ、水着か何かあるか?」
無かったらクルトに作ってもらえばいい。
それを聞いてクルトも安心したようだ。
「そういうことなら、水を使った演習時に使う耐水性の高い布を使った服があります。それを用意しましょう」
カエデが用意した服を部屋で服の下に着ていき、温泉に向かう。
クルトが少し恥ずかしそうにしているが、正直恥ずかしいのは私も同じなんだよな。
それでも、上半身だけとはいえ裸のクルトと一緒にお風呂に入るというのは少し気恥ずかしい。
用意してくれたお風呂が男湯か女湯かはわからなかったが、カエデも一緒に四人で風呂に入る。
ファントムもきっとどこかで見ているだろう。
クルトが自分の服の袖に手を掛けた。
私は思わず息を呑む。
クルトの服が少し持ち上がり、おへそが見えたところで私は視線を背け――クルトを凝視しているリーゼが視界に入った。
瞬きをすることを忘れガン見している。
人間って、本当にやましい気持ちで誰かを見るときは、鼻の下を伸ばしたり頬を赤らめたりはせず、あのような無の表情になるんだな。
さっきまでの私ってあんな感じでクルトを見ていたのか――とリーゼを責める前に自分が情けなくなる。
「ほら、リーゼ。早く脱げ。クルトを待たせて風邪を引かせたらどうするんだ」
「あ、はい! そうですね」
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