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幕間話2
SS 矛盾
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ある日、ある町の大通りで矛と盾を売っている商人がいました。
ある客が商品に興味を示したので、商人はここぞとばかりに大袈裟に宣伝します。
「この矛はとても鋭く、どんなものでも貫きます。この盾はとても頑丈で、貫けないものはありません」
それを聞いた客は質問しました。。
「では、あなたの矛であなたの盾を突いたらどうなりますか?」
商人は答えることができませんでした。
今日も矛も盾も売りません。
ある日、ある町の大通りで矛と盾を売っている商人がいました。
そこにユーリシアという客がやってきました。
腰に異国風の剣を持つ白髪の少女です。
彼女が商品に興味を示したので、商人はいいます。
「この矛はとても鋭く、どんなものでも貫きます。この盾はとても頑丈で、貫けないものはありません。もちろん、あなたの剣の攻撃でもね」
それを聞いたユーリシアは質問しました。
「じゃあ、私の攻撃を防げたらどっちも言い値で買ってやるよ」
剣をバカにされたユーリシアは剣を振るいました。
盾は真っ二つになりました。
今日は矛が売れず、盾は切られました。
ある日、ある町の大通りで矛を売っている商人がいました。
そこにヒルデガルドという頭にローブを被った幼い少女が胸の大きな護衛を伴いやってきました。
胸の大きな女性の護衛です。
その護衛の胸に見とれながらも、さらに、このような少女に武器は必要ないだろうと思いながらも、彼はいつものように説明します。
「この矛はとても鋭く、どんなものでも貫きます」
盾がなくなったので説明が半文で済みました。
すると彼女は懐からあるものを取り出して言います。。
「じゃあ、この硬いパンを貫けたら買ってあげるわ。私の護衛の胸ばかり見ている商人さん」
彼女の手には金貨が握られていました。
商人は意気揚々と地面に置かれたパンに矛を突き刺し――矛が砕けました。
今日は矛も盾もバラバラになって商品がなくなってしまいました。
ある日、ある町の大通りに何も売っていない商人がいました。
店じまいの準備をしていると、クルトという女の子に間違えられそうなくらい可愛らしい少年がやってきました。
しかし、もう売るもの真っ二つになった盾とバラバラに砕けた矛だけで売るものはありません。
「いらっしゃい。といっても、ここにあるのは剣の一撃すら防げなかった盾と、パンも砕けない矛の破片しかないよ……トホホ、商売あがったりだ。子どもが生まれたばかりだというのに」
「大変ですね……あの、よければ僕が修理しましょうか?」
「ははは、そうしてくれると嬉しいけれど、これはもう修理できるようなものじゃ……ってえっ!? えぇぇぇぇぇえっ!?」
店主の目の前には、修理された矛と盾が置かれていました。
「商売頑張ってくださいね」
「え? あ、え? ……え?」
少年は何事もなかったように去っていきました。
今日は商品はまだ売れません。
ある日、王都である商品がオークションに出されました。
「この矛はとても鋭く、どんなものでも貫きます」
オークショニアが証拠とばかりに、分厚い鉄の板を壇上に置き、素人丸出しの動きで矛を突きます。
すると、分厚い鉄の板がまるで薄い紙だったかのように貫かれました。
「この盾はとても頑丈で、貫けないものはありません」
壁に掛けられた盾に、歴戦の戦士風の男たちが武器を振るいます。しかし、盾には傷一つ付くことはなく、逆に武器が砕け散りました。
それを見ていたオークションの参加者が訪ねます。
「では、その矛でその盾を突いたらどうなりますか?」
その無理難題の質問に、オークショニアは笑って言います。
「そのような勿体ないことはできません。試すのは自由ですが、購入後自己責任でお願いします」
今日、王都のオークションで矛と盾が史上最高値で落札されました。
ある客が商品に興味を示したので、商人はここぞとばかりに大袈裟に宣伝します。
「この矛はとても鋭く、どんなものでも貫きます。この盾はとても頑丈で、貫けないものはありません」
それを聞いた客は質問しました。。
「では、あなたの矛であなたの盾を突いたらどうなりますか?」
商人は答えることができませんでした。
今日も矛も盾も売りません。
ある日、ある町の大通りで矛と盾を売っている商人がいました。
そこにユーリシアという客がやってきました。
腰に異国風の剣を持つ白髪の少女です。
彼女が商品に興味を示したので、商人はいいます。
「この矛はとても鋭く、どんなものでも貫きます。この盾はとても頑丈で、貫けないものはありません。もちろん、あなたの剣の攻撃でもね」
それを聞いたユーリシアは質問しました。
「じゃあ、私の攻撃を防げたらどっちも言い値で買ってやるよ」
剣をバカにされたユーリシアは剣を振るいました。
盾は真っ二つになりました。
今日は矛が売れず、盾は切られました。
ある日、ある町の大通りで矛を売っている商人がいました。
そこにヒルデガルドという頭にローブを被った幼い少女が胸の大きな護衛を伴いやってきました。
胸の大きな女性の護衛です。
その護衛の胸に見とれながらも、さらに、このような少女に武器は必要ないだろうと思いながらも、彼はいつものように説明します。
「この矛はとても鋭く、どんなものでも貫きます」
盾がなくなったので説明が半文で済みました。
すると彼女は懐からあるものを取り出して言います。。
「じゃあ、この硬いパンを貫けたら買ってあげるわ。私の護衛の胸ばかり見ている商人さん」
彼女の手には金貨が握られていました。
商人は意気揚々と地面に置かれたパンに矛を突き刺し――矛が砕けました。
今日は矛も盾もバラバラになって商品がなくなってしまいました。
ある日、ある町の大通りに何も売っていない商人がいました。
店じまいの準備をしていると、クルトという女の子に間違えられそうなくらい可愛らしい少年がやってきました。
しかし、もう売るもの真っ二つになった盾とバラバラに砕けた矛だけで売るものはありません。
「いらっしゃい。といっても、ここにあるのは剣の一撃すら防げなかった盾と、パンも砕けない矛の破片しかないよ……トホホ、商売あがったりだ。子どもが生まれたばかりだというのに」
「大変ですね……あの、よければ僕が修理しましょうか?」
「ははは、そうしてくれると嬉しいけれど、これはもう修理できるようなものじゃ……ってえっ!? えぇぇぇぇぇえっ!?」
店主の目の前には、修理された矛と盾が置かれていました。
「商売頑張ってくださいね」
「え? あ、え? ……え?」
少年は何事もなかったように去っていきました。
今日は商品はまだ売れません。
ある日、王都である商品がオークションに出されました。
「この矛はとても鋭く、どんなものでも貫きます」
オークショニアが証拠とばかりに、分厚い鉄の板を壇上に置き、素人丸出しの動きで矛を突きます。
すると、分厚い鉄の板がまるで薄い紙だったかのように貫かれました。
「この盾はとても頑丈で、貫けないものはありません」
壁に掛けられた盾に、歴戦の戦士風の男たちが武器を振るいます。しかし、盾には傷一つ付くことはなく、逆に武器が砕け散りました。
それを見ていたオークションの参加者が訪ねます。
「では、その矛でその盾を突いたらどうなりますか?」
その無理難題の質問に、オークショニアは笑って言います。
「そのような勿体ないことはできません。試すのは自由ですが、購入後自己責任でお願いします」
今日、王都のオークションで矛と盾が史上最高値で落札されました。
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