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第六章
クルトの商会立ち上げ
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私、ユーリシアの前にいたのはこの国の王、カルロス・ホムーロス三世だ。
正式の名前は、この三倍くらい長いんだけど、私は元々この国の出身じゃないし、覚えていない。
私が陛下に謁見を許されたのは、一年以上前、王家直属の冒険者として任命されたときの一度だけだ。
その時は跪いていてはっきりとその顔を見ることはできなかったが、まさか王家直属の冒険者を引退してから、こうして同じ部屋で二人きりで会うことになるとは思ってもいなかった。
まぁ、私が連れて来たんだけど。
「ユーリシア、健在でなによりだ。だが、許可も得ずにつれ出すのはいささか無礼が過ぎるのではないか?」
「あの、陛下。いまさらそんなことを言われても。というか、何をしているんですか、本当に。余計なことを言わないで下さい」
「余計なことではあるまい。儂はただ、ロックハンス士爵をリーゼロッテの婿にしようとしただけだ」
「それが余計なことだって言うんです。もしも、陛下がリーゼの父親だとクルトに知られてから、陛下の正体にクルトが気付いたら、同時にリーゼが王女であることもバレてしまうのです」
「それの何が問題が?」
「陛下の耳にも届いているはずです。クルトは自分の能力に気付いたとき、意識を失ってしまう呪いのようなものに掛けられていることを。だから、リーゼが王女だと知ればどうなるか?」
「リーゼが王女であることを知るのと、クルトが自分の能力について気付くのは別問題であろう?」
陛下は何を言っているのだ? という目で私を見て来た。
そうだ、それとこれとは別の問題なんだ。
わかっていたが、私はそれを同じ問題として処理していた。
一応、一国の王女であるリーゼが、呪いを受けた状態そのままにしていたのか?
という問題はある。
誰にも解呪できなかった呪いを、クルトが解いてしまったのだから。
だが、それも誤魔化そうと思ったら簡単にできるのだ。
「まぁ、よい。儂はこれから、クルト殿専用の商会を立ち上げて商品を販売してもらう。こちらは問題あるまい?」
なんだって?
陛下が自ら商会を立ち上げて販売?
クルトが作った品を売る?
「いえいえ、それこそ大問題です。あいつの商品が評価されたら――」
「ロックハンス士爵は料理は得意だと知っているのであろう? それこそBランクだと自覚しているほどに。それに、彼の料理は身内だけでなく、親しい者には振舞われていると聞いている。なら、クルト士爵の作った料理だけを売ればいい」
「そこまでする理由がクルトにはございません。あいつは金には興味がない。というか、金なら十分にありますから」
クルトの貯金残高は、なんというか天文学的な数字になってきている。
ともかく、あいつの能力が世間にバレるのも危うい。
クルトに商会を作るなんて、危険の方が高い。
「自信にはなると思うぞ」
「え?」
「儂はロックハンス士爵のことをかっておる。だが、あの少年の自信の無さはいかんともしがたい。我が孫、アクリにも要らぬ影響を及ぼさぬとも限らん。それならば、せめて得意だと思っている料理の分野で、自信を付けさせるのはどうだ? 妙な商会に卸せば、料理人を調べようとする者が現れるやもしれん。だが、国王である儂が後ろ盾となりロックハンス士爵のことを隠せば、わざわざ儂を敵に回してまで料理人を調べる愚か者など出てはこんだろう。まずはワイン等、貴族が楽しむ嗜好品などを販売していこう」
クルトに自信を付けさせる。
あいつに自分の能力を気付かせたらいけないと思っていたが、確かに陛下の言う通りだ。
自分の能力が異常だと気付かない範囲で自信をつけてもらいたいという点については私も同意見だ。
だが――
「で、陛下の本音は?」
「ロックハンス士爵が作ったワインにより、貴族たちをロックハンス士爵の作ったワイン無しでは生きられる体に改造。これから先、ロックハンス士爵が王家に入るのを貴族が反対してきたとき、ワインを作っているのがロックハンス士爵であり、彼を王家に入れないとワインの供給を止めると脅せばよい。完璧な作戦だ」
ダメに決まってるだろ、そんな作戦!
考えていることが本当にリーゼとそっくりだ。
とはいえ、陛下の作戦、あながち的外れとは言えない。
いや、むしろあり得る話だから怖いのだ。
私だって、クルトが淹れた紅茶を飲み続けたせいで、他の紅茶が泥の味になる呪いにかかっている。
ゴルノヴァやマーレフィスといった炎の竜牙のメンバーもクルトが作った料理を食べ続けたせいで、他の料理が不味く思えるようになった。
もしもワインで同じことが起きたら――アルコールを含んでいるだけ恐怖だな。
「クルトの料理で誰かが不幸になるのは避けたい。ワインの販売数を限定していただきたい。たぶん、月にボトル一本までなら依存症にはならないと思う」
「商会については反対はせぬのか?」
「ええ……反対致しません、陛下の御心のままに」
「それと、アクリに週に一度会いに来ても――」
「ダメに決まって――」
私はそう言おうとして、孫と会いたいときに会えない陛下の辛さを感じた。
というのも、私の半身とも言えるユーナの奴、いまだにアクリとほとんど会えていなくて寂しそうだったから、つい同情してしまったのかもしれない。
「はぁ、リーゼと相談して、月に一度くらい王都に遊びに行くことにしますから、その時にお会いになられては?」
「なんと、それはまことか!?」
「ええ。といっても、宰相に黙って抜け出すのはやめてください。私まで怒られてしまいますから」
「うむ、わかった」
本当にわかってるんだろうな?
リーゼの親だから信用ならないぞ。
そう思っていたら、グリムリッパーの連中がファントムと一緒に現れ、「時間です、城にお戻りください」と言って、「待て、アクリに、もう一度我が孫に――」という願いを無視して連れ去っていった。
※※※
僕――クルトがキッチンでお客様のために紅茶を用意していると、ユーリシアさんが帰ってきた。
「あぁ、クルト。客なら帰ったぞ。私も紅茶は飲んできたから必要ない」
「え? もうお帰りになられたんですか? あの、話が――」
「結婚のことだろ。まぁ、あれは軽い冗談のようなものだ。気にするな」
「冗談? あぁ、やっぱりそうですよね。よく老人会にお手伝いに行くと、『うちの孫と結婚してほしい』ってお爺さんやお婆さんに言われるので、そうじゃないかって思ってたんです」
「ああ、そうだ、そういうノリだ。ちなみに、全部断ってるんだよな?」
「もちろんですよ。僕はまだ結婚するには半人前ですからって断っています。結婚って好きな人同士が結婚するものでしょ? 僕の両親もそうでしたし。あ、ユーリシアさん、会ったんですよね?」
「ああ、ニコラスさんとソフィさんな。いい人たちだった」
ユーリシアさんは懐かしむように言った。
ユーリシアさんから、過去の世界であったことはすべて聞いている。
どうやってこの世界に戻ってきたかも含めて、僕、リーゼさん、ユーリシアさん、アクリの四人で話を聞いた。
なんでも、家族全員で話を共有するべきだって大賢者様に言われたらしい。
そして、この世界の成り立ちについて、ポラン教会の人がハスト村を毛嫌いしていることについて。
それに――
「もしも僕が結婚しても、子供ができるかどうか不安ですし――」
ハスト村の人間は子供ができにくい体であるということについても知った。
僕の村でも子供の数は少なかった気がするけど、まさかそんな理由があるだなんて。
もしかして、僕が生まれるよりもっと昔は、もっと村の人口は多かったのかな?
「まぁ、子供がすべてってわけじゃないさ。それに、私やリーゼだったらアクリがいるから結婚してもいいんじゃないか?」
「あ、そうですね。確かにユーリシアさんやリーゼさんなら問題ありませんね」
「そうだろ――って私は何を言ってるんだ!?」
ユーリシアさんが自分に対してツッコミを入れた。一人ツッコミと言う奴だ。
そんな冗談で僕を元気づけようとしてくれるユーリシアさんの優しさが心に染みる。
「それで、お客様は何の用事がここに?」
「ああ、あのお客さん、これから商会を立ち上げるんだが、契約していたワイン酒房が破綻してワインが仕入れられなくなったんだ。それで、この工房にワインを作ってもらえないかって相談に来たんだよ」
「ワインですか。リクト様ってワインも作れるんですか?」
「いや、リクト様の専門は料理じゃないからな。そこで、クルト。お前がワインを作ってくれないか?」
「えぇっ!? 僕がですかっ!?」
「もちろん、嫌なら断る。でも、クルト。お前の料理の適性ランクはBランク、プロレベルだ。それにハスト村で飲んだワイン、あれは美味しかった(ホントは飲んでないけど)。きっと自然豊かな環境で作られた葡萄を素に作ったワインだから、あの味が出たんだろう」
確かに、ユーリシアさんの言う通り、村の人たちはワインについてかなりの拘りがあった。
何年ワインを寝かせたら、最良のワインができるか、というのでいつも大人の人たちが盛り上がって、時には喧嘩になっていた。
「クルト、ハスト村でどんな風にワインが造られていたかわかるか?」
「はい。飲んだことはありませんが、造り方なら覚えています」
「ハスト村が伝統的に作ってきたワイン、現代に蘇らせて販売してみせてくれないか?」
そう……だよね。
ヒルデガルドちゃんもハスト村に来たときは子供だったからワインのことは知らない。
この時代では、ハスト村のワインを作ることができるのは僕しかいないんだ。
「……わかりました! 僕、全力で作ってみます」
「いや、全力じゃなくてもいいんだぞ? 少しは手を抜いても」
「大丈夫です! 家事や他の仕事に穴を開けたりはしませんから! まずは葡萄畑作りから始めてみます!」
よし、やるぞ!
世界で一番のワイン……は無理かもしれないけど、ヴァルハで三番目くらいのワインを作るんだ!
正式の名前は、この三倍くらい長いんだけど、私は元々この国の出身じゃないし、覚えていない。
私が陛下に謁見を許されたのは、一年以上前、王家直属の冒険者として任命されたときの一度だけだ。
その時は跪いていてはっきりとその顔を見ることはできなかったが、まさか王家直属の冒険者を引退してから、こうして同じ部屋で二人きりで会うことになるとは思ってもいなかった。
まぁ、私が連れて来たんだけど。
「ユーリシア、健在でなによりだ。だが、許可も得ずにつれ出すのはいささか無礼が過ぎるのではないか?」
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「それの何が問題が?」
「陛下の耳にも届いているはずです。クルトは自分の能力に気付いたとき、意識を失ってしまう呪いのようなものに掛けられていることを。だから、リーゼが王女だと知ればどうなるか?」
「リーゼが王女であることを知るのと、クルトが自分の能力について気付くのは別問題であろう?」
陛下は何を言っているのだ? という目で私を見て来た。
そうだ、それとこれとは別の問題なんだ。
わかっていたが、私はそれを同じ問題として処理していた。
一応、一国の王女であるリーゼが、呪いを受けた状態そのままにしていたのか?
という問題はある。
誰にも解呪できなかった呪いを、クルトが解いてしまったのだから。
だが、それも誤魔化そうと思ったら簡単にできるのだ。
「まぁ、よい。儂はこれから、クルト殿専用の商会を立ち上げて商品を販売してもらう。こちらは問題あるまい?」
なんだって?
陛下が自ら商会を立ち上げて販売?
クルトが作った品を売る?
「いえいえ、それこそ大問題です。あいつの商品が評価されたら――」
「ロックハンス士爵は料理は得意だと知っているのであろう? それこそBランクだと自覚しているほどに。それに、彼の料理は身内だけでなく、親しい者には振舞われていると聞いている。なら、クルト士爵の作った料理だけを売ればいい」
「そこまでする理由がクルトにはございません。あいつは金には興味がない。というか、金なら十分にありますから」
クルトの貯金残高は、なんというか天文学的な数字になってきている。
ともかく、あいつの能力が世間にバレるのも危うい。
クルトに商会を作るなんて、危険の方が高い。
「自信にはなると思うぞ」
「え?」
「儂はロックハンス士爵のことをかっておる。だが、あの少年の自信の無さはいかんともしがたい。我が孫、アクリにも要らぬ影響を及ぼさぬとも限らん。それならば、せめて得意だと思っている料理の分野で、自信を付けさせるのはどうだ? 妙な商会に卸せば、料理人を調べようとする者が現れるやもしれん。だが、国王である儂が後ろ盾となりロックハンス士爵のことを隠せば、わざわざ儂を敵に回してまで料理人を調べる愚か者など出てはこんだろう。まずはワイン等、貴族が楽しむ嗜好品などを販売していこう」
クルトに自信を付けさせる。
あいつに自分の能力を気付かせたらいけないと思っていたが、確かに陛下の言う通りだ。
自分の能力が異常だと気付かない範囲で自信をつけてもらいたいという点については私も同意見だ。
だが――
「で、陛下の本音は?」
「ロックハンス士爵が作ったワインにより、貴族たちをロックハンス士爵の作ったワイン無しでは生きられる体に改造。これから先、ロックハンス士爵が王家に入るのを貴族が反対してきたとき、ワインを作っているのがロックハンス士爵であり、彼を王家に入れないとワインの供給を止めると脅せばよい。完璧な作戦だ」
ダメに決まってるだろ、そんな作戦!
考えていることが本当にリーゼとそっくりだ。
とはいえ、陛下の作戦、あながち的外れとは言えない。
いや、むしろあり得る話だから怖いのだ。
私だって、クルトが淹れた紅茶を飲み続けたせいで、他の紅茶が泥の味になる呪いにかかっている。
ゴルノヴァやマーレフィスといった炎の竜牙のメンバーもクルトが作った料理を食べ続けたせいで、他の料理が不味く思えるようになった。
もしもワインで同じことが起きたら――アルコールを含んでいるだけ恐怖だな。
「クルトの料理で誰かが不幸になるのは避けたい。ワインの販売数を限定していただきたい。たぶん、月にボトル一本までなら依存症にはならないと思う」
「商会については反対はせぬのか?」
「ええ……反対致しません、陛下の御心のままに」
「それと、アクリに週に一度会いに来ても――」
「ダメに決まって――」
私はそう言おうとして、孫と会いたいときに会えない陛下の辛さを感じた。
というのも、私の半身とも言えるユーナの奴、いまだにアクリとほとんど会えていなくて寂しそうだったから、つい同情してしまったのかもしれない。
「はぁ、リーゼと相談して、月に一度くらい王都に遊びに行くことにしますから、その時にお会いになられては?」
「なんと、それはまことか!?」
「ええ。といっても、宰相に黙って抜け出すのはやめてください。私まで怒られてしまいますから」
「うむ、わかった」
本当にわかってるんだろうな?
リーゼの親だから信用ならないぞ。
そう思っていたら、グリムリッパーの連中がファントムと一緒に現れ、「時間です、城にお戻りください」と言って、「待て、アクリに、もう一度我が孫に――」という願いを無視して連れ去っていった。
※※※
僕――クルトがキッチンでお客様のために紅茶を用意していると、ユーリシアさんが帰ってきた。
「あぁ、クルト。客なら帰ったぞ。私も紅茶は飲んできたから必要ない」
「え? もうお帰りになられたんですか? あの、話が――」
「結婚のことだろ。まぁ、あれは軽い冗談のようなものだ。気にするな」
「冗談? あぁ、やっぱりそうですよね。よく老人会にお手伝いに行くと、『うちの孫と結婚してほしい』ってお爺さんやお婆さんに言われるので、そうじゃないかって思ってたんです」
「ああ、そうだ、そういうノリだ。ちなみに、全部断ってるんだよな?」
「もちろんですよ。僕はまだ結婚するには半人前ですからって断っています。結婚って好きな人同士が結婚するものでしょ? 僕の両親もそうでしたし。あ、ユーリシアさん、会ったんですよね?」
「ああ、ニコラスさんとソフィさんな。いい人たちだった」
ユーリシアさんは懐かしむように言った。
ユーリシアさんから、過去の世界であったことはすべて聞いている。
どうやってこの世界に戻ってきたかも含めて、僕、リーゼさん、ユーリシアさん、アクリの四人で話を聞いた。
なんでも、家族全員で話を共有するべきだって大賢者様に言われたらしい。
そして、この世界の成り立ちについて、ポラン教会の人がハスト村を毛嫌いしていることについて。
それに――
「もしも僕が結婚しても、子供ができるかどうか不安ですし――」
ハスト村の人間は子供ができにくい体であるということについても知った。
僕の村でも子供の数は少なかった気がするけど、まさかそんな理由があるだなんて。
もしかして、僕が生まれるよりもっと昔は、もっと村の人口は多かったのかな?
「まぁ、子供がすべてってわけじゃないさ。それに、私やリーゼだったらアクリがいるから結婚してもいいんじゃないか?」
「あ、そうですね。確かにユーリシアさんやリーゼさんなら問題ありませんね」
「そうだろ――って私は何を言ってるんだ!?」
ユーリシアさんが自分に対してツッコミを入れた。一人ツッコミと言う奴だ。
そんな冗談で僕を元気づけようとしてくれるユーリシアさんの優しさが心に染みる。
「それで、お客様は何の用事がここに?」
「ああ、あのお客さん、これから商会を立ち上げるんだが、契約していたワイン酒房が破綻してワインが仕入れられなくなったんだ。それで、この工房にワインを作ってもらえないかって相談に来たんだよ」
「ワインですか。リクト様ってワインも作れるんですか?」
「いや、リクト様の専門は料理じゃないからな。そこで、クルト。お前がワインを作ってくれないか?」
「えぇっ!? 僕がですかっ!?」
「もちろん、嫌なら断る。でも、クルト。お前の料理の適性ランクはBランク、プロレベルだ。それにハスト村で飲んだワイン、あれは美味しかった(ホントは飲んでないけど)。きっと自然豊かな環境で作られた葡萄を素に作ったワインだから、あの味が出たんだろう」
確かに、ユーリシアさんの言う通り、村の人たちはワインについてかなりの拘りがあった。
何年ワインを寝かせたら、最良のワインができるか、というのでいつも大人の人たちが盛り上がって、時には喧嘩になっていた。
「クルト、ハスト村でどんな風にワインが造られていたかわかるか?」
「はい。飲んだことはありませんが、造り方なら覚えています」
「ハスト村が伝統的に作ってきたワイン、現代に蘇らせて販売してみせてくれないか?」
そう……だよね。
ヒルデガルドちゃんもハスト村に来たときは子供だったからワインのことは知らない。
この時代では、ハスト村のワインを作ることができるのは僕しかいないんだ。
「……わかりました! 僕、全力で作ってみます」
「いや、全力じゃなくてもいいんだぞ? 少しは手を抜いても」
「大丈夫です! 家事や他の仕事に穴を開けたりはしませんから! まずは葡萄畑作りから始めてみます!」
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