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6巻

6-2

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 彼の発明した魔道具は数多く、その中には、転移石、転移結晶、転移盤てんいばんの三つがあります。
 転移石に触れるとその転移石の情報が触れた者の体に記憶され、転移結晶を使うことで触れたことがある転移石から転移石に瞬時に移動することができるようになります。そして転移盤は、その転移石の機能を無くすことができる魔道具です。
 転移石の存在はとても重要で、それがあるかないかだけで戦争の勝敗を左右しかねません。
 そんな魔道具の製法を知るのは、ヴィトゥキントのみ。
 結果、七ヵ国はヴィトゥキントから自身を工房主アトリエマイスターとして認め、さらに彼の六人の姉と母に、国内の重要な地位を与えるよう求められました。アークママ家の次女であった義母様も含めて。
 このホムーロス王国においても、国王陛下も元老院も、誰もが頭を悩ませたことでしょう。
 ヴィトゥキントの思惑おもわくは分かりませんが、受け入れないわけにはいかず、かといって国の運営に携わる地位を与えることはできない。
 結果、義母様は王族ではない第三王妃という矛盾むじゅんする立場に収まりました。
 その立場を利用して好き放題しているようですが、人間の欲望は尽きないもので、自分の子供を王族にしようと必死のようです。
 そんなこともあり、かつては私に呪術じゅじゅつを掛けたのではないかと勘繰ったものです。
 私に呪術を掛けさせたのは、トリスタン・メーノルフ司教でした。ただ、その司教に、ポラン教徒でもないイザドーラ義母様が寄進をしていたということもわかっています。
 しかしそんなやみの深そうなイザドーラ義母様のことを、私が内心でも「義母様」などと尊敬しているように言うには理由があります。
 だって、私にとって彼女はある意味希望なのですから。
 たとえ流浪の民であっても、理由さえあれば王族と結婚できる。
 つまり、王族である私も、クルト様と結婚できるということに他なりません。

「今すぐ帰ります! 待っていてください!」
「帰らないでください、リーゼロッテ様! まだ公務が残っています! あとここがリーゼロッテ様の家です!」

 側仕えが私を止めようとしましたが、そんなことで私の愛は止まりません!


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 クルトの魔力銃での訓練は、私、ユーリシアの目の前で失敗に終わった。
 目隠しをしても反対方向に向けて打っても何をしても、ゴブリンに向かっていく攻撃は攻撃力皆無の光の玉になるのだ。
 もしかしたら魔力銃に欠陥があるのではないかと、ミミコが試しにゴブリンに向かって魔力銃で魔力を放ってみたところ、ゴブリンは見るも無残な姿に変わってしまった。
 そんなわけで今、私とミミコは工房のお風呂ふろに入っていた。

「まぁ、魔力銃の改良方法がわかっただけでも良しとしようかな」

 ミミコが頭の上にタオルをせながら湯に浸かった。

「ふぅ……学校にあるシャワーも便利だけど、やっぱりお風呂が一番ね。私も学校からこっちに引っ越しちゃおうかな」
「学校と工房の二者択一にしてるようだが、お前の本来の家は王都だろ? ミミコカフェはどうするんだよ」
「あぁ、あれならオフィリアちゃんのところのミシェルちゃんが働いてくれてるから大丈夫だよ。さすがはオフィリアちゃんが仕込んだエルフ、薬や魔道具作成なら十分任せられるよ。台所は見るも無残な姿になってるけど」
「……あわれなエルフだな」

 私はそう言いながら湯に浸かる。
 すると、ミミコが私の一点をじっと見てきた。
 その視線には心当たりがある。
 リーゼと一緒に風呂に入ってきた時もいつも感じていたから。

「ユーリシアちゃん、また大きくなったよね」

 ミミコがズバリ言ってくる。
 たしかに少し大きくなっていると思う。男装した時、包帯でずっと押さえていたせいだろうか? その反動により、武道大会の間に二センチ程大きくなっていた。
 しかし、これ以上大きくなると、戦いにも影響が出るだろうから本当は勘弁してほしい。
 クルトに頼んで、豊胸剤ならぬ制胸剤を作ってもらいたいくらいだ。
 まぁ、そんなことをミミコに言えるはずもない。
 まだ十五歳で将来に可能性があるリーゼならまだしも、こいつの体がこれ以上成長するとは思えないからな。

「なにか失礼なこと考えてるでしょ」
「別に」
うそだよね」

 ミミコはそう言うと、湯の中に沈み、私の背後に回り込んで抱き着いてきた。

「ええい、こうしてやる!」
「やめろ、ミミコ! ちょ、そこは――」
「うりうり、ほら、私をクルトちゃんだと思って」
「リーゼじゃないんだ。そんなの思えるかっ!」

 だいたい、クルトならもっと優しくしてくれる!
 って、それだと私がいつも変なことを考えているみたいじゃないか。
 色ボケ王女リーゼじゃあるまいし。

「しつこい、今度はこっちの番……あ」

 振り向いてミミコの胸を鷲掴わしづかみにしようとして、手が空を切った。

「…………」
「…………」

 沈黙が場を支配する。
 悪気はなかったんだが。

「あ……あぁ、それで、魔力銃の力が働かない原因は、やっぱりクルトの呪いだろうか?」

 私は白々しらじらしく話題を切り替える。
 クルトの呪い。
 これは私が勝手に呼んでいた名称だが、今では私、ミミコ、オフィリアさんの間に浸透している。
 クルトは力もあり魔力もあり、さらにはゴーレムやトレント相手には戦闘能力だってある。
 そんなあいつが、それ以外の魔物や人間と戦う時は、人並み以下どころか赤子並みの力しか発揮できないのは正直言ってあり得ない。
 私たちは、なにかの呪いではないかと見ている。
 たぶん、魔物に対して攻撃をした時、ではなくクルトが攻撃だと認識した時に失敗するのだろう。
 タイコーン辺境伯の領主町で弓矢の射的ゲームをした時も、矢が飛ばなかったって言っていたし。

「……はぁ。まぁ、そうとしか思えないかな。でも、まさか本人の体だけじゃなく魔力銃にまで影響が出るなんてね」
「子供の頃、ゴブリンシャーマンに何度か呪いを受けたことがあるって言っていたけど、それじゃないよな?」
「まさか。ゴブリンシャーマンの呪いなんて、せいぜいお腹を壊す程度でしょ? クルトちゃんもおかゆを作ってもらって治したって言ってたし」

 そのおかゆで、リーゼにかかった呪いを治したこともあるからな。
 たしかにゴブリンシャーマン程度の呪いなら、クルトの普段の食事で解呪できているはずだ。
 逆に言えば、本当に呪いがかかっているとすれば、クルトでも治せない呪いということになる。
 そんなの、私の手に負える問題じゃない。
 治療できる可能性があるとすれば、ハスト村の住民たちくらいか。

「そういえば、ミミコ。お前、魔力銃の試射だけのためにここに来たわけじゃないよな?」
「うん。今日はクルトちゃんに仕事をお願いしようと思ってきたのよ。正確には、工房主アトリエマイスターとしてのお仕事ね」
工房主アトリエマイスターとしての仕事?」
「遺跡の調査よ。ラピタル文明の遺跡――前にユーリシアちゃんも上級悪魔と戦ったことがあるでしょ?」

 あぁ、あそこね。
 この町から西に行った、森の中にある遺跡のことだ。
 魔領から近く、最近まで発見されなかったんだよな。

「でも、なんでクルトなんだ?」
「あれ? 知らなかった? クルトちゃんは解読適性もSSSランクなの。古代文字とかパパっと読めるでしょ?」
「マジか……いや、まぁクルトだしな」

 しかし、遺跡の調査か。
 さすがにそんな場所だと、私も護衛としてついていかないといけないよな。
 となると、問題はアクリか。
 武道大会から帰ってきた日、ずっと一緒だからって約束しちゃったし、連れて行ったほうがいいかな?

「アクリも連れて行っていいか?」
「いいんじゃない? 今回は私も一緒に行くつもりだから、危険はないでしょ。むしろ万が一にも遺跡が崩れて生き埋めになりそうになったら、あの子の転移は便利でしょ? それに、アクリちゃんのこともちょっと気になるし」
「そんなに危険ならアクリは連れて行きたくないんだが。って、ミミコも来るのか?」

 アクリが時と空間を操る人工大精霊であるらしいということはミミコにも伝えている。
 ミミコなりにその目で確かめたいことがあるのだろう。
 しかし、そうなると親子三人水入らずのピクニック――というわけにはいかなそうだ。


 そういうことで、翌日、私たちはヴァルハの西にある遺跡に向かうことになった。
 目的地までは馬車での移動だ。

「みんなでピクニックなの」

 アクリが嬉しそうに言った。
 一応仕事なんだけど、まぁ危険はないって話だし、あの遺跡なら日帰りでも十分行って帰ることができる。日帰り旅行気分でも悪くないだろう。
 クルトも朝からお弁当を楽しそうに作っていたからなおさらだ。

「……しかし、なんで私が御者ぎょしゃなんだよ」

 馬車の中はクルト、アクリ、ミミコ、そしてリーゼがいた。
 リーゼの奴、出発時刻ギリギリに帰ってきやがったのだ。
 おそらく、ファントムに私たちの動きを見張らせていたんだろうな。

「仕方ありませんわ。中は四人しか座れませんもの。それに、護衛なら外というのが普通ですわ」
「アクリはひざの上に乗せたらいいだろ。あと、一応私、女准男爵おんなじゅんだんしゃくなんだけどな」

 貴族が自分で馬車を操るなんて普通ありえないぞ。
 まぁ、普通じゃないのは重々承知している。それに、この中で馬車の操縦にけているのは私だし。
 それでも、どうせなら、私たちのあとをこっそり尾行しているファントムの誰かに御者をさせればいいと思うんだが。
 あいつらこそ本当の意味で護衛だろ?
 私がため息をついていると、ミミコに渡された調査概要がいようの書類を手に、クルトが口を開く。

「すみません、ユーリシアさん。本当は僕が馬車を操るべきなんでしょうけど」
「いいのですよ、クルト様。こうして書類を確認するのも大切なお仕事です」
「あの、リーゼさん。そんなにくっつかれたら書類がめくれません」

 イライラしてくる。
 本当はさっさと遺跡に行きたいんだけど、これ以上スピードを上げると、こっそり付いてきているファントムに迷惑をかけるからな。

「ユーリママ?」
「うわ、アクリ。無暗に転移したらダメだって言っただろ?」

 アクリがいつの間にか私の膝の上に座っていた。

「ユーリママ、ひとりでさみしそうだからきたの」
「そうか。アクリはやさしいな」

 さっきまでのイライラが一瞬でなくなった。
 まるで転移魔法で飛んでいったみたいだ。

「アクリはすごいな」
「うん、アクリ、すごいの!」
「よし、じゃあ一緒に行こうな!」

 私はそう言って、馬車の手綱たづなを強く握った。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「わぁ、ここがラピタル遺跡なんですね」

 クルトが遺跡の入り口を見てそう言った。

「あれ? クルト、お前も来ただろ?」
「はい。でも、正面から入るのは初めてなので」

 あぁ、そうだった。
 クルトが以前来た時は、工房から直接穴を掘ってやってきたんだった。
 工房からここまで十キロはあるというのに。
 いったいどうやったらそんなことが可能なのか、一緒にいたリーゼに聞いたことがあるが、

『凄かったです……とにかく凄かったです』

 と、語彙力ごいりょくが怪しくなるくらいに凄かったということしかわからなかった。
 要するに、何が起こっているかわからないぐらいの速度で穴ができていくのだそうだ。掘った土はどこに消えたのか、リーゼにもわからなかったらしい。
 しかも、戻る時に同じ速度で穴をふさいでいったのだから恐ろしい。

「中も広いの!」

 アクリが遺跡の中を走り回る。

綺麗きれいな遺跡ですね。つい最近スケルトンが暴れたとは思えません。古代文明の叡智えいちを感じます」

 リーゼも前回はゆっくりと遺跡を見ている暇はなかったようで、感慨深げに周囲を見回した。

「天井付近の明かり取りの配置のお陰で、外と変わらないくらいに明るいみたいですね」

 クルトが当然のように中が明るい理由を告げた。
 ああ、言われてみればたしかに明るい。古代ラピタル人の建築技術は現代のそれにも匹敵するのかね。調査の報告書に書かせておかないと。クルトのことだから、この建築術もよくある話で済ませてしまうかもしれない。
 その後、私たちは遺跡の中を調べた。
 もっとも、遺跡はすでに調べ尽くされたあとなので、新しい発見などそうそうあるわけが――

「ここに隠し部屋がありますね」

 クルトがそう言って、地下に続く隠し階段を見つけた。
 地下といっても、階段の下は倉庫のようで、あるのは一部屋だけだ。

「あら、宝物庫のようですわね。さすがクルト様です。これでクルト様も大金持ちですね!」
「え? でも中にあるのはミスリルで作った金属細工ばかりでしたから、古代のアトリエだったんだと思います。歴史的な価値はあっても、金銭的な価値があるとは思えません」

 ……古代のミスリル細工……埋蔵金まいぞうきんってレベルじゃないんだが。
 一個一個が金貨数百枚から数千枚で取引される一級品だ。

「それに、ミミコさんからもらった書類に、遺跡で見つかった品は国庫に納めるという決まりがありましたから。価値があっても僕たちのものじゃありませんよ」
「クルトちゃんの言う通りよ。古代ラピタル文明の調度品は過去に古代人が滅んだ原因を知るのにとても重要なものなんだから」

 そうだよな。
 クルトの周りにいるのが、私たちでよかった。
 私たちが欲深い人間だったら、ミスリル細工に頼らなくても、クルトにちょっとお願いするだけで大金を得る手段なんて山のようにある。それをしないのは、ひとえにクルトのことを大切に思っているからだ。

「……でも、ちょっとだけならもらってもわからないんじゃない? 一人一個とか」
「おい!」

 私はミミコの頭にチョップを入れた。
 アクリが見ている前で泥棒どろぼうのお誘いなんかするんじゃない。
 今の聞いていなかったよな?
 アクリの方を見ると、彼女はじっと壁を見ていた。
 よかった、ミミコの戯言ざれごとは耳に入っていないようだ。
 ってあれ? アクリの奴、そういえば何を見ているんだ?
 小さな子供が何もないところをじっと見ていると、そこには幽霊ゆうれいがいるって聞いたことがある。
 まさか――

「ん? どうしたの、アクリ」

 クルトが尋ねた。

「ここ――」

 アクリが何もない壁を指さした。
 やっぱり――幽霊がいるのかっ!?

「別の部屋があるの」
「ああ、うん。こっちにも部屋があるみたいだね。でも、こっちは調査済みっぽいから別にいいかな?」

 そうか、別の部屋があることに気付いたのか。
 アクリは転移魔法が使えるから空間の把握はあく能力が普通の人よりも優れているのかもしれないな。考えてみれば、転移した先が壁とか土の中だったら大惨事に繫がる。少なくとも転移できる空間があるということくらいは把握できるのだろう。

「え? 過去の調査団からは、この隣にも隠し部屋があるなんて報告は受けていないよ?」

 ミミコがそんなことを言い出した。
 でも、クルトはすでに調査されているって言ったよな?
 なんだ、この矛盾は。
 私たちは、クルトとアクリが「ある」と断言した別の部屋に向かった。
 クルトの案内で一度階段を上がり、隠されていない下り階段を降りる。
 そこは、かつてマーレフィスが魔法陣の中に閉じ込められていた部屋だった。

「ここですね」

 クルトは、まるで近くの雑貨屋さんを案内するかのように隠し扉を開けた。
 今日私たちは、この部屋にはまだ入っていない。
 おそらくクルトは、以前ここを訪れた時にすでに見つけていたのだろう。

「クルト、なんでここの調査が終わっているって思ったんだ?」
ほこりの切れ目ですかね? たぶん、ここは日常的に誰かが使っているんだと思います。前に来た時に見て覚えていました」

 クルトは扉近くの床を指でなぞって言った。
 いったいどんな観察眼なんだ。

「クルトちゃん、日常的に使われているって言った?」
「はい。今回も、少なくとも一週間以内に誰かが通っている形跡があります」

 ミミコの問いにクルトはうなずいた。

「ユーリさん。たしかここに調査に来たのって」
「ああ、例の事件があってからすぐに調査が行われたが、それ以降は公式には調査は行われていないはずだよ」
「遺跡荒らしでしょうか?」
「その可能性は否定できないが……遺跡荒らしは日常的に使わないと思うぞ」

 私とリーゼはささやきあった。
 しかし、警備をしている衛兵がいないとはいえ、めぼしい宝がない(と思われていた)遺跡を荒らすトレジャーハンターなんているだろうか?
 盗賊がアジトにしている可能性も考えたが、魔領近くのこんな場所にアジトを作る理由が見つからない。行商人は絶対に通らないだろう。
 この先の部屋に行けばなぞは解けるのだろうか?
 ミミコが部屋の中に探知の魔法をかけ、問題ないと判断した。
 密閉されていた部屋というのは毒ガスが満ちていることもあるが、人が出入りしていたということもあって、その心配はなかったようだ。
 部屋に入って最初に気付いたのは、この部屋は少なくとも一週間は密閉されていたはずなのに、妙に空気が新しいということだ。
 部屋に換気機能があるのか、それともここを利用している者の仕業かはわからない。
 そして部屋の壁には、古代文字と思われるものが書かれていた。

「クルト、これ解読できるか?」
「古代文字ですね。僕が子供の頃に遊びにいった遺跡にも似たような文字がありました。はい、読めます」
「……ラピタル文明の古代文字って、まだ解読が全然進んでいない未知の文字群なのに」

 ミミコがうなだれるように言ったが、まぁ、クルトだしな。

「パパ、なにがかかれてるの?」

 真っ暗な部屋が怖いのか、クルトのズボンのすそをしっかりと掴みながらアクリが尋ねた。

「これはね、転移の魔道具の作り方が書かれているんだよ」
「転移の魔道具っ!? 転移石と転移結晶の作り方かっ!?」
「いえ、ここに書かれているのは限定的な三次元転移ではなく、おそらく高次元――悪魔界や神界への転移を為すための魔道具の作り方だと思います」
「悪魔界に神界って、もう童話の世界じゃない!?」

 ミミコが言った。
 悪魔界や神界は、存在すると言われているが確認することもできない世界だ。

「ミミコ、そんなに驚くことなのか? 実際に悪魔が召喚されたのを私たちは見たことがあるだろ?」

 あれも言うなれば悪魔の転移装置だ。
 私はそう思って言ったのだが、違ったようだ。

「ユーリシアちゃんは知らないかもしれないけれど、召喚される悪魔っていうのは、元からこの世界にいる悪魔なの。はるか昔、魔神によって悪魔界から追放されたそうよ。ただ、悪魔はこの世界に実体を持つためには力が必要なの。その力を得るのが悪魔の契約――魔力やたましい生贄いけにえささげて実体化させる。この話は昔の学者が召喚された悪魔と契約し、直接聞いた話だそうだから、まず間違いないわ」

 悪魔は契約には絶対に従う。
 契約で情報を聞き出したというのならその情報は正しいのだろう。
 つまり、私たちが悪魔を召喚したと言っているのは、実際のところ悪魔を見えるようにしているということなのか。


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