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幕間話
没SS ゴブリンじゃないな
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短編ネタの没SS、コーンフレーク風味です。
本編には関係ありません。
ーーーーーーーーーーーーーー
「ユーリシアちゃん。知り合いの冒険者から、とある魔物について話していたんだけど何の魔物かわからないのよ」
「へぇ、宮廷魔術師のミミコがわからないとはね。どんな魔物なんだい?」
「よく人里に現れては、野菜や家畜を盗んでいく魔物らしいの」
「へぇ……それってゴブリンじゃないのか? ゴブリンは人里近くに巣を作っては家畜を攫ったり女子供を攫ったりするからな」
「私もそう思ったんだけど、その冒険者が言うには、その魔物の力があれば国ひとつ滅ぼせるって言うのよ」
「それはゴブリンじゃないな。ゴブリンが滅ぼせるとしたら開拓中の村くらいなもんだ。集団発生してもたかが知れている。他に何か言ってなかったか?」
「その冒険者が言うには、その魔物は派生していろいろな種類の魔物がいるらしいの」
「ならゴブリンだろ。ゴブリン、ゴブリナ、ホブゴブリン、ゴブリンキングにゴブリンクイーン、レッドキャップ、オーガもゴブリンの一種だっていう学者もいるし、武器が変わっただけでソードゴブリンやアックスゴブリンなんて名前にもなるからな。ゴブリンだろ」
「でも、その冒険者が言うには、アイアンゴーレム十体相手にしても全く歯が立たたなかったって言うんだよ」
「それじゃゴブリンじゃないな。アイアンゴーレムといえば鉄の塊だ。あいつらナイフを持っていてもゴブリンパンチとか素手で戦ってくるところもあるからな。ますますアイアンゴーレム相手に勝てるわけがないだろ。ゴブリンじゃないよ。他に特徴はないのか?」
「スライム、コボルトと強さを争っている魔物だって言っていたよ」
「もうゴブリンしかないだろ。最弱を争っているといえば、ゴブリン、コボルト、スライムしかいないだろ。まぁ、魔物の中で最弱ってだけで、一般人からしたらどれも脅威であることには間違いし、群れの規模が百匹を超えるゴブリンは災害級の魔物として認知されることになるわけだし、コボルトだって野生の狼なんかより遥かに強い。スライムに至っては成長すれば物理攻撃が一切効かなくなるから恐ろしい魔物なんだが。とにかく、ゴブリンだ! 間違いない!」
「でも、その魔物、最強の魔剣を持って村を襲ってきたって言うんだよ」
「じゃあゴブリンじゃないな。伝説の魔剣って、そんなのゴブリンがドロップするわけがない。ゴブリンが落とすとすれば赤いバンダナか獣の皮くらいなものだろ。ゴブリンがそんな武器を持っていたっていうのなら、むしろゴブリンがその剣に操られているのを疑うね、私は。ゴブリンじゃないよ」
「あと、その魔物は人間の言葉を操り、自分のことを魔王だなんて言い出したの」
「ますますゴブリンじゃないだろ。ゴブリンの言葉なんて、せいぜいグギャギャギャだろ? 断末魔ですらグギャァーだし。絶対にゴブリンじゃない」
「でも、その冒険者が言うには、その魔物の名前はゴブリンだっていうのよ」
「ゴブリンなのかよ! 私がゴブリンの鳴き声を真似していたときにお前、どんな気持ちで聞いてい……ゴブリン?」
「そう、ゴブリンなの。人の言葉を操り、自分のことを魔王と言い、最強の魔剣を持ってアイアンゴーレム十体相手に無双して国を滅ぼす力を持っているゴブリン……なんとか追い払ったって言ってたけど」
「その冒険者って言うのは?」
「……クルトちゃん」
「……そうか、クルトか。そうかそうか……」
「ハスト村を襲っていたのって、本当にゴブリンだったのか?」
本編には関係ありません。
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「ユーリシアちゃん。知り合いの冒険者から、とある魔物について話していたんだけど何の魔物かわからないのよ」
「へぇ、宮廷魔術師のミミコがわからないとはね。どんな魔物なんだい?」
「よく人里に現れては、野菜や家畜を盗んでいく魔物らしいの」
「へぇ……それってゴブリンじゃないのか? ゴブリンは人里近くに巣を作っては家畜を攫ったり女子供を攫ったりするからな」
「私もそう思ったんだけど、その冒険者が言うには、その魔物の力があれば国ひとつ滅ぼせるって言うのよ」
「それはゴブリンじゃないな。ゴブリンが滅ぼせるとしたら開拓中の村くらいなもんだ。集団発生してもたかが知れている。他に何か言ってなかったか?」
「その冒険者が言うには、その魔物は派生していろいろな種類の魔物がいるらしいの」
「ならゴブリンだろ。ゴブリン、ゴブリナ、ホブゴブリン、ゴブリンキングにゴブリンクイーン、レッドキャップ、オーガもゴブリンの一種だっていう学者もいるし、武器が変わっただけでソードゴブリンやアックスゴブリンなんて名前にもなるからな。ゴブリンだろ」
「でも、その冒険者が言うには、アイアンゴーレム十体相手にしても全く歯が立たたなかったって言うんだよ」
「それじゃゴブリンじゃないな。アイアンゴーレムといえば鉄の塊だ。あいつらナイフを持っていてもゴブリンパンチとか素手で戦ってくるところもあるからな。ますますアイアンゴーレム相手に勝てるわけがないだろ。ゴブリンじゃないよ。他に特徴はないのか?」
「スライム、コボルトと強さを争っている魔物だって言っていたよ」
「もうゴブリンしかないだろ。最弱を争っているといえば、ゴブリン、コボルト、スライムしかいないだろ。まぁ、魔物の中で最弱ってだけで、一般人からしたらどれも脅威であることには間違いし、群れの規模が百匹を超えるゴブリンは災害級の魔物として認知されることになるわけだし、コボルトだって野生の狼なんかより遥かに強い。スライムに至っては成長すれば物理攻撃が一切効かなくなるから恐ろしい魔物なんだが。とにかく、ゴブリンだ! 間違いない!」
「でも、その魔物、最強の魔剣を持って村を襲ってきたって言うんだよ」
「じゃあゴブリンじゃないな。伝説の魔剣って、そんなのゴブリンがドロップするわけがない。ゴブリンが落とすとすれば赤いバンダナか獣の皮くらいなものだろ。ゴブリンがそんな武器を持っていたっていうのなら、むしろゴブリンがその剣に操られているのを疑うね、私は。ゴブリンじゃないよ」
「あと、その魔物は人間の言葉を操り、自分のことを魔王だなんて言い出したの」
「ますますゴブリンじゃないだろ。ゴブリンの言葉なんて、せいぜいグギャギャギャだろ? 断末魔ですらグギャァーだし。絶対にゴブリンじゃない」
「でも、その冒険者が言うには、その魔物の名前はゴブリンだっていうのよ」
「ゴブリンなのかよ! 私がゴブリンの鳴き声を真似していたときにお前、どんな気持ちで聞いてい……ゴブリン?」
「そう、ゴブリンなの。人の言葉を操り、自分のことを魔王と言い、最強の魔剣を持ってアイアンゴーレム十体相手に無双して国を滅ぼす力を持っているゴブリン……なんとか追い払ったって言ってたけど」
「その冒険者って言うのは?」
「……クルトちゃん」
「……そうか、クルトか。そうかそうか……」
「ハスト村を襲っていたのって、本当にゴブリンだったのか?」
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