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幕間話
没SS「リーゼロッテの日常」
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注:完全没にして消そうか悩んだ作品です。気分が悪くなる方がいらっしゃるかもしれませんので、変態ヤンデレ要素が嫌いな方は読まず飛ばしてください。
……いや、いつものリーゼのような気もしますが。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
突然ですが、私、リーゼロッテ・ホムーロスはホムーロス王国の第三王女です。
名目上、修行と教会に命を狙われたため療養中という立場で王都からタイコーン辺境伯にいることになっています。このことは王宮内部でも極秘事項になっています。
しかしながら――
「今日は三名ですか……昨日より少ないとはいえ、まったく……」
工房の秘密部屋――という名の私専用の倉庫を小窓から覗き込むと、目隠しに悪轡を噛ませられ、荒縄で縛られている男二人、女一人を見てため息をつきました。
この三人は無断でこの工房内に立ち入った者です。
昨日は七人、一昨日は五人が捕まえました。これでも、数は減っている方です。
「彼らの目的は?」
私はファントムの一人に尋ねました。
「一人は工房の調査、一人は姫様のようです」
「工房へのスパイは素性を調べた後、釘を刺して解放して貰っても構いません。雇用主にはしかるべき制裁を。私のことを調べていた者はミミコ様に送ってください」
いったい、どこから情報が漏れたのか。
まぁ、本気を出して情報統制を行ったわけではありませんが。
「……それで、もうひとりは?」
「クルト様の熱狂的なファンのようで……とても恐ろしい相手でした。ファントム五名の猛追を振り切り、物干し場に辿り着き、クルト様のパンツを抱きしめて悶絶していたところをなんとか捕縛できました」
「……そうですか……泥棒猫の女には死刑すら生ぬるいですね」
私はそう言って、縛られている女を見詰めます。
「……いえ、リーゼ様。その隣です」
「え?」
女の隣には、ガチムチの男しかいません。
あれが……クルト様の熱狂的なファン?
「……まぁ、仕方ありませんね。クルト様相手ですから」
クルト様は、お嫁にしたい男の子ナンバーワンですから、あのような男がいても不思議ではありませんね。
私はそう納得して、命令をしました。
「では、死刑で」
「……下着泥棒の罪で一カ月の強制労働の後、領外追放にします」
「甘いのではありませんか? 私の下着を盗んだのならその罪でも構いませんが、クルト様の下着を盗むとなれば死刑が妥当だと思います」
「それでは、姫様は七回死刑になってしまいます」
「そんなことはありません。私はクルト様の下着を使用したあとは必ず返していますから、盗難ではなく、あくまでも借用です」
「使用……ですか?」
「……あ、思い出しました! 三十分後、クルト様と一緒にお菓子作りをする約束をしていました。急いで向かいませんと」
私はそう言うと、ファントムを背に工房に戻っていきました。
……いや、いつものリーゼのような気もしますが。
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突然ですが、私、リーゼロッテ・ホムーロスはホムーロス王国の第三王女です。
名目上、修行と教会に命を狙われたため療養中という立場で王都からタイコーン辺境伯にいることになっています。このことは王宮内部でも極秘事項になっています。
しかしながら――
「今日は三名ですか……昨日より少ないとはいえ、まったく……」
工房の秘密部屋――という名の私専用の倉庫を小窓から覗き込むと、目隠しに悪轡を噛ませられ、荒縄で縛られている男二人、女一人を見てため息をつきました。
この三人は無断でこの工房内に立ち入った者です。
昨日は七人、一昨日は五人が捕まえました。これでも、数は減っている方です。
「彼らの目的は?」
私はファントムの一人に尋ねました。
「一人は工房の調査、一人は姫様のようです」
「工房へのスパイは素性を調べた後、釘を刺して解放して貰っても構いません。雇用主にはしかるべき制裁を。私のことを調べていた者はミミコ様に送ってください」
いったい、どこから情報が漏れたのか。
まぁ、本気を出して情報統制を行ったわけではありませんが。
「……それで、もうひとりは?」
「クルト様の熱狂的なファンのようで……とても恐ろしい相手でした。ファントム五名の猛追を振り切り、物干し場に辿り着き、クルト様のパンツを抱きしめて悶絶していたところをなんとか捕縛できました」
「……そうですか……泥棒猫の女には死刑すら生ぬるいですね」
私はそう言って、縛られている女を見詰めます。
「……いえ、リーゼ様。その隣です」
「え?」
女の隣には、ガチムチの男しかいません。
あれが……クルト様の熱狂的なファン?
「……まぁ、仕方ありませんね。クルト様相手ですから」
クルト様は、お嫁にしたい男の子ナンバーワンですから、あのような男がいても不思議ではありませんね。
私はそう納得して、命令をしました。
「では、死刑で」
「……下着泥棒の罪で一カ月の強制労働の後、領外追放にします」
「甘いのではありませんか? 私の下着を盗んだのならその罪でも構いませんが、クルト様の下着を盗むとなれば死刑が妥当だと思います」
「それでは、姫様は七回死刑になってしまいます」
「そんなことはありません。私はクルト様の下着を使用したあとは必ず返していますから、盗難ではなく、あくまでも借用です」
「使用……ですか?」
「……あ、思い出しました! 三十分後、クルト様と一緒にお菓子作りをする約束をしていました。急いで向かいませんと」
私はそう言うと、ファントムを背に工房に戻っていきました。
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