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魔法省で臨時メイドになりました
状況は逆手に取って
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「そういえば、私は合同演習でご一緒した兵士の何名かにリリー殿とレオナール殿の関係を訊ねられましたね。付き合ってるんでしょうかって」
「あ、ルーカスもなんだー。子供がいるよーって言うと、めちゃくちゃガッカリするよね」
「子供……まぁ、嘘ではないですが、誤解を招きそうな言い方をまた……」
「だって、正直変なこと言って二人の邪魔されたら困るし?」
呆れたようなルーカスさんに飄々と答えるグレイさん。いやまって、どういうやりとり!?
あわあわしているとパチリと目があって、グレイさんがにっこりと笑いかけてくる。
「リリーちゃんもレオナールさんも、せっかく仲良くなっていたんだ。余計な波風立てて、ジルちゃんを不安にさせたらいけないでしょ?」
「それは、まぁ。確かにそうですね」
というかこれ以上聞いたら藪蛇になりそうだからやめておこう、うん!
「それにしても、レオちゃんがこうなっちゃうのは少し困った問題ねぇ。いくら王女様の頼みでもやっぱり毎回レオちゃん付き添わせるの、やめた方がいいんじゃない?」
「そうですね。ただ、それでもリリー殿は王女と行動を共にする必要があるんですよね。レオナール殿がいない状態でどんな態度をとってくるのかわからないのも、レオナール殿が心配になるのではと」
レオナール様を考える二人の言葉に頷く。確かに毎回こうなるのは問題だよね。一月近くこの状態が続くのはしんどいよねぇ……
「そろそろ結界の修復時期だろ? レオナールもなるたけ万全の状態になっていてほしいんだがな」
「うん、それに今回はジルにも経験を積ませたいんだ。機密扱いだからどのみち王女は一緒に行動出来ないし、そこでちょっとは息抜きできるだろうけど、リリーが……」
「王女様からしたら恋敵だものね……それに、王女様って信奉者みたいなお付きの人たちもいるでしょう? そこもちょっと心配なのよね」
どうしたものかと頭を悩ませていると、それまで考え込んでいたグレイさんが口を開いた。
「ちょっと確認したいんだけどさ。リリーちゃんって、魔法省での付き添いなんだよね?」
「ええ、そうですね」
「じゃあさ、そもそもリリーちゃんに話しかけられないようにしたらいいんじゃない?」
その言葉に全員が首を傾げる。
「グレイ、どういう意味ですか?」
「これまで王女が話しかけられたのって、講義形式だったからでしょ? レオナールさんがいないんだから、魔石の作成体験とかしてもらったらどうかな」
「なるほど、魔石の作成はレオちゃんの専売特許って訳じゃないし、なんなら王女様の疑問や提案通りに作ってみるのは自国よりこちらの方が向いているでしょうね。私がついて王女様に体験してもらうのは確かに良い案だわ」
大きく頷くヴィオラさんは私の方を見て笑う。
「魔石の作成は慣れている身でも集中しなきゃいけない作業だから、間違いなく作業中は話しかけることなんてないし、作った魔石を実際に使うのもリリーちゃんにはなるべく離れて見ていて欲しいの。レオちゃんの腕輪が干渉しないようにね」
「魔石作成なら確かにレオナールがいなくていいっつーか、いると魔力が多すぎて引っ張られたりするからいない方が向いてるわな。いい案じゃねーか」
満場一致という感じで話を進める中、レオナール様だけがまだ少しだけ心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「僕もいい案だと思うけど、王女がそれで納得するかな」
「そうですね……何か他にも興味を惹ける理由があるといいかもしれませんが」
王女様が興味を持ちそうで、レオナール様へ何かしらのアプローチをして来ないような……宝石言葉やお守りではやっぱり恋愛成就とか考えやすいよね。それだと本末転倒な気がするから、うーん。
「魔石の勉強は国の為、という印象だったので、王女様ご本人が興味を持てる手近な理由があると良さそうなんですよね。ただ、恋愛系に結びつけないで、と思うとなかなか難しいなと。ヴィオラさん、もし王女様に魔石を作成していただくのであれば、どういったものを想定されますか?」
「そうねぇ、王女様が今まで魔石を作ったことがあるかわからないから単純なものでまずは、と考えるけど。使うなら向こうの国でも手に入れやすいものを魔石にできればいいわよね」
海の国で手に入れやすくて、王女様に気に入ってもらえそうなものかぁ。
「真珠、は簡単に手に入りませんよね」
「そうね、それにやわらかいから魔石にするのには向いてないかも」
「じゃあ貝殻の内側を使う貝細工なんてどうでしょう。貝殻そのものはやわらかいですが、あれなら他の素材との組み合わせになりますよね。そこに魔石も組み込んでみるというのは興味を持ちやすいかと」
「……面白いかも。真珠や貝細工の話から入れば、関心を持ちやすそうだし……その方向性で、あらかじめ打診すればいけそうじゃない? ルーちゃん、どう?」
「いいと思います。案を作ってアラン殿経由で問い合わせてみましょうか」
今度はレオナール様も納得出来たみたい。これで少しは憂鬱な気分を晴らせたらいいんだけど。
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「あ、ルーカスもなんだー。子供がいるよーって言うと、めちゃくちゃガッカリするよね」
「子供……まぁ、嘘ではないですが、誤解を招きそうな言い方をまた……」
「だって、正直変なこと言って二人の邪魔されたら困るし?」
呆れたようなルーカスさんに飄々と答えるグレイさん。いやまって、どういうやりとり!?
あわあわしているとパチリと目があって、グレイさんがにっこりと笑いかけてくる。
「リリーちゃんもレオナールさんも、せっかく仲良くなっていたんだ。余計な波風立てて、ジルちゃんを不安にさせたらいけないでしょ?」
「それは、まぁ。確かにそうですね」
というかこれ以上聞いたら藪蛇になりそうだからやめておこう、うん!
「それにしても、レオちゃんがこうなっちゃうのは少し困った問題ねぇ。いくら王女様の頼みでもやっぱり毎回レオちゃん付き添わせるの、やめた方がいいんじゃない?」
「そうですね。ただ、それでもリリー殿は王女と行動を共にする必要があるんですよね。レオナール殿がいない状態でどんな態度をとってくるのかわからないのも、レオナール殿が心配になるのではと」
レオナール様を考える二人の言葉に頷く。確かに毎回こうなるのは問題だよね。一月近くこの状態が続くのはしんどいよねぇ……
「そろそろ結界の修復時期だろ? レオナールもなるたけ万全の状態になっていてほしいんだがな」
「うん、それに今回はジルにも経験を積ませたいんだ。機密扱いだからどのみち王女は一緒に行動出来ないし、そこでちょっとは息抜きできるだろうけど、リリーが……」
「王女様からしたら恋敵だものね……それに、王女様って信奉者みたいなお付きの人たちもいるでしょう? そこもちょっと心配なのよね」
どうしたものかと頭を悩ませていると、それまで考え込んでいたグレイさんが口を開いた。
「ちょっと確認したいんだけどさ。リリーちゃんって、魔法省での付き添いなんだよね?」
「ええ、そうですね」
「じゃあさ、そもそもリリーちゃんに話しかけられないようにしたらいいんじゃない?」
その言葉に全員が首を傾げる。
「グレイ、どういう意味ですか?」
「これまで王女が話しかけられたのって、講義形式だったからでしょ? レオナールさんがいないんだから、魔石の作成体験とかしてもらったらどうかな」
「なるほど、魔石の作成はレオちゃんの専売特許って訳じゃないし、なんなら王女様の疑問や提案通りに作ってみるのは自国よりこちらの方が向いているでしょうね。私がついて王女様に体験してもらうのは確かに良い案だわ」
大きく頷くヴィオラさんは私の方を見て笑う。
「魔石の作成は慣れている身でも集中しなきゃいけない作業だから、間違いなく作業中は話しかけることなんてないし、作った魔石を実際に使うのもリリーちゃんにはなるべく離れて見ていて欲しいの。レオちゃんの腕輪が干渉しないようにね」
「魔石作成なら確かにレオナールがいなくていいっつーか、いると魔力が多すぎて引っ張られたりするからいない方が向いてるわな。いい案じゃねーか」
満場一致という感じで話を進める中、レオナール様だけがまだ少しだけ心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「僕もいい案だと思うけど、王女がそれで納得するかな」
「そうですね……何か他にも興味を惹ける理由があるといいかもしれませんが」
王女様が興味を持ちそうで、レオナール様へ何かしらのアプローチをして来ないような……宝石言葉やお守りではやっぱり恋愛成就とか考えやすいよね。それだと本末転倒な気がするから、うーん。
「魔石の勉強は国の為、という印象だったので、王女様ご本人が興味を持てる手近な理由があると良さそうなんですよね。ただ、恋愛系に結びつけないで、と思うとなかなか難しいなと。ヴィオラさん、もし王女様に魔石を作成していただくのであれば、どういったものを想定されますか?」
「そうねぇ、王女様が今まで魔石を作ったことがあるかわからないから単純なものでまずは、と考えるけど。使うなら向こうの国でも手に入れやすいものを魔石にできればいいわよね」
海の国で手に入れやすくて、王女様に気に入ってもらえそうなものかぁ。
「真珠、は簡単に手に入りませんよね」
「そうね、それにやわらかいから魔石にするのには向いてないかも」
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「……面白いかも。真珠や貝細工の話から入れば、関心を持ちやすそうだし……その方向性で、あらかじめ打診すればいけそうじゃない? ルーちゃん、どう?」
「いいと思います。案を作ってアラン殿経由で問い合わせてみましょうか」
今度はレオナール様も納得出来たみたい。これで少しは憂鬱な気分を晴らせたらいいんだけど。
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