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新章
後日談 癒やしの乙女は里帰りしたい2
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久方ぶりの実家に感慨深い思いを懐き、アリスが人の気配のする客間の扉を開けると、ガヤガヤと騒がしい出迎えが待っていた。
「あっ、アリス!お帰り~。遅~い」
「どこで道草食ってたんだ?」
「僕、待ちくたびれちゃったよ」
「なっ、何で!」
驚くアリスを各々の言葉で迎えたのは、ガイアール帝国皇太子夫妻とその息子だ。
ぽっかりと開けた口をパクパクさせたアリスを他所に、満面の笑みを浮かべたエルメが言った。
「そんなに驚くこと?里帰り全力で応援するって言ったじゃない。それにアリスの家族が転生者だと知って、私たちが大人しく待ってると思った?」
その声は、実に楽しそうに弾んでいる。
「いいえ・・でもエルメ様は、身重の身体。それなのにこんな遠くまで・・・・それに殿下までいらっしゃるとは、意外でした」
「そもそもこの里帰りは、私たちが同行することで、父上の許可が下りたんだ。君に同行していた護衛の数が少ないと思わなかったか?」
アリスは、マリオンの指摘に思い出す。確かに、癒やしの乙女が長旅をするのには、護衛の数が少ないと思っていた。しかし、選りすぐりの精鋭揃いなのだろうと、簡単に納得したのだ。
「確かに思いました」
「でしょう?私たちの護衛と合わせれば、貴女の思ってた数の二倍?いや、三倍よ!」
「それはそうですが、でも陛下は同行を条件に許可されたんですよね?城を出てからここまで一緒ではありませんでしたよ。これがバレたら、マズくありませんか?」
「同行してたぞ。君の一行の後ろからな」
「そうなの。アリスの後ろをつけてたのよ。何か尾行みたいで楽しかったよね~、リオル」
「はい!楽しい経験でした!」
どうやら楽しい旅だった様子にアリスは、苦笑する。
「それに、ほらっ!帝国の北で興味深い噂を聞けたしね」
「そうだな、あれは興味深い話だったな」
「何ですか?噂って」
首を傾げるアリスに、エルメはフフフッと含み笑いを浮かべた。
「あら、分からない?フフフッ・・アリスならすぐに分かると思うけど、ヒントね。北に向かう馬車・・」
与えられたヒントにピンときたアリスが「!!!あっ!」と声を上げたその時、懐かしい声がアリスの耳に届く。
「アリス!お帰りなさい!」
「話は聞いたぞ!癒やしの乙女になったんだってなぁ。有言実行じゃないか」
振り返ったアリスは、久しぶりに会う両親たちに駆け寄ると、飛びついた。
「ただいま!」
友人の幸せそうなを笑顔を目の当たりにしたエルメもまた、胸に温かいものが込み上げてきた。そして、その瞳に光るものがあることに気づいたのは、横にいるマリオンとリオル。
エルメのそれぞれの手をギュッと握りしめ、家族が揃う幸せを噛み締める。そして、顔を見合わせると微笑み合った。
「しかし、お前が帝国の皇太子ご夫妻にお世話になっていたとは、驚いたよ」
「そうね。しかも、妃殿下が私たちと同じ経験をなさっていたなんて・・・もう日本トークでもう盛り上がっちゃって盛り上がっちゃって・・・」
そう嬉々とした様子で話す両親に釘を刺すアリス。
「お父さん、お母さん・・・楽しむのもいいけど、それは絶対に秘密だからね!エルメ様たちにご迷惑をかけたらダメ!絶対にダメだよ!」
「もう、分かってるわよ。父さんもダニエルたちもね。ねぇ、あなた」
「ああ、もちろんだ。何年こっちの異世界人やってると思ってるんだ?」
両親の答えに満足したアリスは、エルメたちを振り返る。
すると、笑顔を浮かべるエルメの視線と交差した。
「“お父さん““お母さん”か・・やっぱりここに来て、正解だったわ。アリスも私もね・・・」
エルメの呟きは、両横から握られた手を一層固く結びつける。そして、そんなエルメの口からアリスへ送られるセリフは、どこか聞き覚えのあるものだった。
「アリス、貴女は幸せかしら?」
この問いかけにアリスが破顔し、心からの感謝を込めて出した答えは、ここサルコール侯爵家を幸せで溢れさせた。
「はい!とっても幸せです!」
◆◆◆◆◆
新章最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
最後は、あの作品のキャラたちを巻き込んでのフィナーレでしたね。
気づけば、長編作品に成長していたこの作品。最後の方はマリオンの溺愛不足気味だったのでソレ?とか、別視点のお話とか、まだまだ書き足りない部分はありますが、とりあえず一旦ここで終幕です。
ご希望がありましたら、また書きます。
お読みいただきまして、ありがとうございました。
「あっ、アリス!お帰り~。遅~い」
「どこで道草食ってたんだ?」
「僕、待ちくたびれちゃったよ」
「なっ、何で!」
驚くアリスを各々の言葉で迎えたのは、ガイアール帝国皇太子夫妻とその息子だ。
ぽっかりと開けた口をパクパクさせたアリスを他所に、満面の笑みを浮かべたエルメが言った。
「そんなに驚くこと?里帰り全力で応援するって言ったじゃない。それにアリスの家族が転生者だと知って、私たちが大人しく待ってると思った?」
その声は、実に楽しそうに弾んでいる。
「いいえ・・でもエルメ様は、身重の身体。それなのにこんな遠くまで・・・・それに殿下までいらっしゃるとは、意外でした」
「そもそもこの里帰りは、私たちが同行することで、父上の許可が下りたんだ。君に同行していた護衛の数が少ないと思わなかったか?」
アリスは、マリオンの指摘に思い出す。確かに、癒やしの乙女が長旅をするのには、護衛の数が少ないと思っていた。しかし、選りすぐりの精鋭揃いなのだろうと、簡単に納得したのだ。
「確かに思いました」
「でしょう?私たちの護衛と合わせれば、貴女の思ってた数の二倍?いや、三倍よ!」
「それはそうですが、でも陛下は同行を条件に許可されたんですよね?城を出てからここまで一緒ではありませんでしたよ。これがバレたら、マズくありませんか?」
「同行してたぞ。君の一行の後ろからな」
「そうなの。アリスの後ろをつけてたのよ。何か尾行みたいで楽しかったよね~、リオル」
「はい!楽しい経験でした!」
どうやら楽しい旅だった様子にアリスは、苦笑する。
「それに、ほらっ!帝国の北で興味深い噂を聞けたしね」
「そうだな、あれは興味深い話だったな」
「何ですか?噂って」
首を傾げるアリスに、エルメはフフフッと含み笑いを浮かべた。
「あら、分からない?フフフッ・・アリスならすぐに分かると思うけど、ヒントね。北に向かう馬車・・」
与えられたヒントにピンときたアリスが「!!!あっ!」と声を上げたその時、懐かしい声がアリスの耳に届く。
「アリス!お帰りなさい!」
「話は聞いたぞ!癒やしの乙女になったんだってなぁ。有言実行じゃないか」
振り返ったアリスは、久しぶりに会う両親たちに駆け寄ると、飛びついた。
「ただいま!」
友人の幸せそうなを笑顔を目の当たりにしたエルメもまた、胸に温かいものが込み上げてきた。そして、その瞳に光るものがあることに気づいたのは、横にいるマリオンとリオル。
エルメのそれぞれの手をギュッと握りしめ、家族が揃う幸せを噛み締める。そして、顔を見合わせると微笑み合った。
「しかし、お前が帝国の皇太子ご夫妻にお世話になっていたとは、驚いたよ」
「そうね。しかも、妃殿下が私たちと同じ経験をなさっていたなんて・・・もう日本トークでもう盛り上がっちゃって盛り上がっちゃって・・・」
そう嬉々とした様子で話す両親に釘を刺すアリス。
「お父さん、お母さん・・・楽しむのもいいけど、それは絶対に秘密だからね!エルメ様たちにご迷惑をかけたらダメ!絶対にダメだよ!」
「もう、分かってるわよ。父さんもダニエルたちもね。ねぇ、あなた」
「ああ、もちろんだ。何年こっちの異世界人やってると思ってるんだ?」
両親の答えに満足したアリスは、エルメたちを振り返る。
すると、笑顔を浮かべるエルメの視線と交差した。
「“お父さん““お母さん”か・・やっぱりここに来て、正解だったわ。アリスも私もね・・・」
エルメの呟きは、両横から握られた手を一層固く結びつける。そして、そんなエルメの口からアリスへ送られるセリフは、どこか聞き覚えのあるものだった。
「アリス、貴女は幸せかしら?」
この問いかけにアリスが破顔し、心からの感謝を込めて出した答えは、ここサルコール侯爵家を幸せで溢れさせた。
「はい!とっても幸せです!」
◆◆◆◆◆
新章最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
最後は、あの作品のキャラたちを巻き込んでのフィナーレでしたね。
気づけば、長編作品に成長していたこの作品。最後の方はマリオンの溺愛不足気味だったのでソレ?とか、別視点のお話とか、まだまだ書き足りない部分はありますが、とりあえず一旦ここで終幕です。
ご希望がありましたら、また書きます。
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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